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ミスター・ブルーズ 〜命運を握る背中のあざ〜  作者: マフィン
竹林と月とかぐや姫

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子孫

 造を斬った樫太郎も、立っているだけなのに体がまっすぐに保てていなかった。


 「頼む、誰か彼の手当をしてくれ・・・」


 だが、デルはティランの手当におわれ、僕はメガホンレーザーを持っていない。でも、できることはあるかもしれない。


 とにかく僕は、彼の近くへ駆け寄った。


 「無駄だよ。彼との戦いに勝ったとしても、この爺さんは死ぬ」


 いよいよ一人残されたトキ基メイジーは、まだ余裕の表情を浮かべながら、言い放った。


 「聞くな!どうにかして彼を助けるんだ!」


 樫太郎はメイジーの言葉をかぶせるように、懇願した。


 メイジーはそれを聞いて、ただ鼻で笑った。


 僕も彼の懇願を受けて、必死で造を助けようと、出血する傷口を探した。しかし、樫太郎がいれた太刀傷はどこにも見当たらないどころか、傷一つない。


 これも、体の変異の影響なのだろうか?それなのに、どうして彼はめざめないのか?


 必死になっている僕をみて、メイジーは嘲笑っている。

 

 「なぜだ?なぜ殺そうとしてきた男を、お前は救おうと・・・」


 「命を救うことに理由なんてないだろ!」


 またしても樫太郎は、メイジーの言葉にかぶせた。まるで、彼女の言葉をはなから完全に否定しているように。


 「まぁなんでも良いが、どちらにしても、もう彼は助からない。そんなよぼよぼの身体で、自分の潜在能力以上の身体能力を使ったのだ。自業自得ってやつだよ」


 「一体、なぜそんなことを・・・。造殿が、そんなことをする必要はなかったはずなのに」


 樫太郎はおろおろと造の元へ寄って行った。


 それをメイジーは再び鼻で笑ったのだった。僕は、見ていてだんだん腹が立ってきて、こんな女にほんのわずかとはいえ、惹かれていた自分を恥じた。 


 「ふん、そんなに心配しているが、だったら、最初からこの哀れな老人を斬らなければよかっただけの話ではないか」


 「だがその力を与えたのは貴様だ。そうであろう?」


 樫太郎は静かに彼女に質問している。


 「彼が求めたのよ。娘を救いたいって私の目の前で泣いちゃったから、かわいそうだったのよ」


 「だが、こうなることを貴様は知っていたのだろ?」


 樫太郎の声は震えていた。


 「ええ、でもそれは彼もよ。彼はその運命を分かったうえで、こうなったのよ」


 「なぜにそんなむごいことを・・・」


 樫太郎は怒りのあまり、満足に声を出すことすらできていなかった。


 「貴様を許すことは出来ん。たとえ貴様がおなごだろうが、関係ない。私は貴様を斬る」


 「あら、怖い」


 もう彼女はだます相手がいないせいで、すっかり、本当の彼女に成り代わっていた。もはや、トキどころかメイジーの面影すらない。


 「だがその前に、貴様に尋ねたいことがある。なぜ、貴様はかぐや姫の命を狙うのだ」


 確かにそうだ。それになぜメイジーは彼にまで手をかけようとしたのか?これもまた実験だったのか?それともほかに何か理由があるのか。


 「これから私を斬るのに、そんなことを聞いてどうするの?中途半端な覚悟なら、私を斬ることはできないわよ?」


 その自信がどこから来るのかわからない。正直彼女が戦闘をしているイメージが湧かなかった。とはいえ、彼女の機転の速さは油断できない。


 「ああ、私は貴様を斬る。だが、それで本当に終わるのか?貴様を殺したところで、また新たな敵がやってくるのか?」


 樫太郎の言葉に、メイジーは不敵な笑みを浮かべながら、なぜかこちらに視線を向けた。


 「そうね。あなたの私を斬りたいという意思の強さで、万が一私が死んでも、代わりに彼女の命を狙ってくる奴は、現れるわ。もし私が死んで次がくるとしたら、そいつは私よりしつこいわよ?」


 「そんなに、彼女は悪い罪人なのか?」


 そりゃそう思ってもおかしくない。


 「そうねぇ?そうなのかもしれないわね。なにせ彼女は、私たちの計画の邪魔なのよ。というより、彼女の子孫がと言った方が良いかもしれないわね」


 彼女はまた、こちらを見てくる。


 もしかして・・・そういうことなのか?


 「そうだ!良いことを思いついたわ」


 メイジーが上機嫌になると、決まってこちらに不幸が降りかかる。できれば、彼女の場合は一生不機嫌でいてほしい悪役である。


 「分かったわ!もしかぐや姫を助けたいのなら、代わりにあいつを殺して!」


 そう言いながらメイジーは思った通り、こちらに指をさしてきた。樫太郎も彼女の指した指の先を見ている。


 だが、すぐに彼はメイジーの方に向き直った。


 「なるほど、そういうことだったのか・・・」


彼は溜め息をつきながら、話を続けた。


 「だが、ここで私が彼を殺しても、姫が死ななければ、結局生まれてきてしまうではないか?」


 「ええ。でもここで、彼が死ぬ歴史が新たに刻まれれば、私たちには好都合なのよ」


 樫太郎の表情が見えない。でも、僕は彼を信じていた。


 「なるほど、であるならなおさら私は貴様をここで討たねばならぬという事だ!」


 彼の叫び声は、今までの彼女に対する怒りや、造に対する贖罪の念などいろいろな気持ちも一緒に飛び出していた。


 「なにせ、かぐや姫の子孫ということは、私の子孫ということではないか!」


 「あら、ロマンティックというべきか、キモいというべきか」


 「なんにせよ。私は彼も姫も守り、貴様を打ち滅ぼさねばならぬ!いざ!」


 樫太郎は、メイジーに向かって走り込んでいく。


 「うわ!キモ男が来た!」


 メイジー笑みを浮かべながら、樫太郎を迎え撃つ。


 「今じゃ!」


 僕は、ずっとその言葉を待っていた。

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よろしくお願いします。


感想も待ってます。


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