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ミスター・ブルーズ 〜命運を握る背中のあざ〜  作者: マフィン
竹林と月とかぐや姫

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忠誠心

 竹筒から放たれている僅かな光は月光よりも弱く、もはや光っていると言っていいものなのかどうかもわからないほどだった。


 「これがバンブーネットワークの痕跡ですか?」


 「そうみたいね。でも、どうやら最後に使われてから数年が経っているみたいね」


 恐竜たちはメガホンレーザーをいろいろな角度から照らしている。


 「ブルターさん?」


 「ちゃん!」


 そうだった。すっかり忘れていた。


 「ブルターちゃん、この中からその月の使者ってやつが出てくるんですか?」


 「そうよ、まぁまだ不安定なシステムだから、大抵罪人が送り込まれてきて、レチウムをどれだけ回収してくるかで、刑が軽くなる可能性があるってわけ」


 すると今度はデルがため息をつきながら、説明を続けた。


 「でも、どうやらまだレチウムは見つけられていないみたいですね」


 「何でですか?」


 すると今度はアルが説明した。


 「レチウムはこのシステムの燃料です。システムが弱っているということは、そういうことなのだと・・・」


 つまりそのレチウムを見つけなければ、2025年にはいけないということだ。


 足止めだ。


 そのとき、どこからともなく声が聞こえてきた。


 「お願いです・・・どうかわたしを・・・」


 女性の声だ。なにかを誰かに懇願している。だが、それ以上の情報はわからない。


 「今の聞こえました?」


 しかし、他の恐竜たちは不思議そうな顔でこちらを見るだけだった。


 「何?何?なんかこの星ってお化けっていう見えないエネルギー体が時々悪さをするんでしょ?」


 ブルターはそう言いながら、辺りを見渡した。


 「ブルターさん、よくよく考えてください。あなたの知っているエネルギー体の種族は?」


 デルがあきれた口調で尋ねた。ブルターはさん付けで呼ばれたことに不満を抱きながらも一生懸命に考え込んだ。


 「ジーブス?」


 首をかしげながら、答えた。


 「以上です」


 デルがぶっきらぼうに答えると、ブルターは少しだけ視線を上に向けながら考えた。


 「ああ!」


 どうやら、納得できたようだ。ということは、今まで人間が恐れおののいていた、幽霊の正体は肉体という牢獄から解放された自分たちだったということだ。だとしたら、幽霊に関する考え方は、あながち間違えていないのかもしれない。


 その時、ラプトル三匹が一斉に、同じ方角に視線を向けた。


 「誰だ!」


 声を発したのは、視線の先にいる得体のしれない何かだった。すると周りからそよ風程度の風と、足音が消えていった。


 周りをみると、もう恐竜たちはどこかへ姿を隠していた。


 「え!」


 そんな声を発しているうちに、提灯の明かりが一つ、こちらを照らしている。もう逃げるには手遅れだった。


 「貴様は何者だ?妙な格好をして・・・、もしかして月の使者か!」


 思いがけない単語が飛び出して、困惑の表情を浮かべていたに違いない。だが、逆に提灯の明かりのせいでこちらから、彼の表情はおろか、ぼんやりと人影は見えるものの、何者なのかは分からなかった。


 だが、彼が少し体を動かすだけで、がしゃがしゃと大きな音が鳴っている。


 恐らくこの時代の甲冑を身にまとっているのかもしれない。ということは近衛の一人というわけか?だが、こんな夜中の竹林に近衛がいるのは、かなり不自然に思えた。


 もしかすると、この寝殿造りの建物が関係しているのだろうか?


 僕は、とにかく何も言わないことには事態が悪くなってしまうと思い、なにか言葉を発することにした。


 だがしかし……、何も思いつかない。


 すると、近衛は急に身構え始めた。


 「もしお主が月の使者であるならば、ここで姫様の為に、お命頂戴仕る」


 威勢よく彼がそういうと、暗闇にもかかわらず提灯を手元から離し、こちらに襲ってきた。真っ暗闇になったことで、僕はとっさになぜか視界を回復させることを優先し、メガホンレーザーを前方に照らしながら、体をそらした。


 その勢い余って、しりもちをつきながらもメガホンレーザーの光が、彼を包み込んでいるのが見えた。


 すると彼は、その光を避けるために、まるでエビのようにさっと後ろに下がった。


 「なんだ?この光は!やはりお主、月の使者か?」


 ちがうのだが、まぁ彼らからしたら同じようなものだ。このまま話を合わせた方が良いのか?


 「プス」


 どこからともなく声がする。


 「プス」


 まただ。


 メガホンレーザーを彼に向けている間は、恐らくこちらに向かってくることはないだろう。


 僕は彼を視線の端にとどめながら、声のする方へと近づいた。


 「何ですか?」


 相手は木の枝を駆使して、見事なまでに身を隠しているブルターだった。

 

 「なんかわかんないけど、やつに着いて行った方が良いかも」


 だが、この時代の近衛ともなると、もしかしたらそのまま打ち首にされて、首と胴体がサヨナラしてしまうかもしれない。


 「確かにね」


 まただ。最近僕は言葉を発していないのに、相手に言葉が通じる時がある。だが、それはカイの特殊技能か何かだと思っていたが。


 するとブルターが何かをひらめいたような顔をしていた。僕はは少しいやな予感がした。


 「どうした?誰かそこにいるのか?」


 近衛は若干声が震えている。だが、それに追い打ちをかけるように、ブルターが恐竜の鳴き声を上げた。その声は竹林どころか、国中に響き渡ったのではないと思うほど、夜風を震わせた。


 「なんだ?今のは!」


 近衛は予想通りの反応を示した。もしかしたら、生き物の鳴き声とすら思っていないかもしれない。


 するとまた、ブルターが合図を送ってきた。


 「早く!なんでも良いからなんか言って!」


 すると今度は別の方角からも恐竜の咆哮が聞こえた。


 近衛は情けない悲鳴を上げながら、後ろを振り返った。


 すると今度は別の方角から、そしてまた別の方角からと……


 近衛は全身の震えが止まらない。そして恐怖に耐えきれなかったのか勢いよく膝をつき、額を地面に付けた。


 「頼む!命だけは!」


 「なら、その姫に会わせろ」


 だが、近衛は最後まで抗った。


 「それだけはなりません」


さすがは日本古来の忠誠心。それを覆せる気がしなかった。


 だがそんな忠誠心もティランが姿を表すと、まるで根無し草のように覆ってしまった。

この物語が気になった方はぜひ一話から

第一話はこちら!https://ncode.syosetu.com/n3719ku/1

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