救世主カニカマ
彼らはスマホを初めて見たのか?それとも、スマホで通話ができているという事実に反応しているのか?恐竜たちがこちらに群がってきた。
「ミスターブルーズ、誰と話しているの?」
ブルターはまだ心配そうなまなざしでこちらを見ている。
「えっと・・・」
急にどう説明して良いのか分からなくなってしまった。カニカマと説明したところで、結局さらに疑問点を増やすだけだし、カニカマの素性を全て説明するには時間がない。
「友達です」
「え?俺が友達だって?なんか照れるじゃねぇか」
何が照れるのか分からないが、ひとまずそういうことにして、話を進めようとした。
「それで、どうやってこのスマホに電話かけてるわけ?」
「やっぱり、今おまえ、過去にいるんだろ?」
カニカマの口調だけで、今彼がどんなに憎たらしい表情をしているのかが、安易に想像できた。
「ちょっと、どうやってあなたと通信ができているのよ?」
外野もいまのこの光景に興味津々のようだ。このままでは確実に話が進まないだろう。
僕は、スマホをスピーカーにした。
「わかったから、どうやってこのスマホで話ができてるのか説明してくれる?」
「説明って言われてもなぁ・・・あんたらは電波でタイムトラベルしてるなら、そんなに難しい話ではないと思うけどなぁ」
カニカマは難しそうに悩んでいるような声を発していた。
「なるほど、ということは発信元は地球の未来からという事でしょうか?」
「だから、シールドをすり抜けて、通信ができるというわけですね」
恐竜たちが盛り上がっている。
「おい、今誰といるんだよ?」
カニカマにもその声が聞こえているようだ。
「今、恐竜時代に来てるんだけど、そこにいたダイナー星の人たちだよ」
そう紹介すると、映像でもないのに、みんなスマホに向かって無言で手を振り始めた。
「どうも、お友達さん。私はダイナー星技術開発本部長のブルターと申します」
ブルターは何度も言うが見えていない状況なのに、ぺこぺことお辞儀をしながら、自己紹介をした。そもそも恐竜もお辞儀をすることに、驚いた。
すると、カニカマから少し間が空いた後に反応が返ってきた。
「なぁ、誰かなんか言ってるのか?こっちにはなんかの唸り声しか聞こえなかったぞ?」
自然と会話をしていてすっかり忘れていたが、今彼らとコミュニケーションが取れている理由は、ここにあるメガホンレーザーのおかげで、本来我々は、言語が違う種族同士なのだ。
ブルターは、せっかく丁寧にあいさつをしたのに、それが伝わらず、寂しそうな顔をしていた。
「そんなことより、早くこっちに戻ってきてくれよ。いま、地球はとんでもないことになってるぞ」
カニカマの言葉に恐竜たちも静まり返った。
「どういうことだ?そっちは今何年だ?」
「2025年、あの一件のあと俺は、自分の家に戻って、レットストーンと俺たちのあざについて調べようとしていた。ところが、すぐにべリングキャットの仲間から救援要請が来たんだ。それで、外を見てみたら・・・わりぃが俺の頭じゃ言い表せねぇや」
「わかってる、僕もその状況を目にしたさ」
だが、僕がいた2020年からは5年も経ってしまっている。もしかしたら、もっとひどい状況になっているのかもしれない。
「だったら、早く戻ってきてくれよ。戦うには仲間が必要だ」
「帰りたいのは山々だけど、今僕たちは閉じ込められているんだよ」
「閉じ込められているってなにに?」
そう、もしかしたら、僕らがこの時代から脱出するには、彼が最後の砦なのだ。
「ATシールドだよ。もしかしたら、それよりも強力なものかもしれないけれど」
この後のカニカマの反応によって、僕たちの運命が決まる。
「なんだ?それならすぐにそこから出れるぜ!そこに技術者はいるんだろ?だったら、軽くやつらのシールドを壊す爆弾を作ればそれで、余裕よ」
その言葉を聞いたとたんに恐竜たちは再び歓声を上げた。
「よし、だったら早速準備に取り掛かるわよ」
カニカマがこんなに頼もしいと思える日が来るとは思っていなかった。
だが、そうは言っても彼らには、変異を止める薬を製造するという役割があるはずだ。果たしてそれは大丈夫なのだろうか?
「大丈夫、彼らを信じて」
どうやら、今の思いが顔に出ていたようだ。少し恥ずかしくなった。
「よし、なら作り方を教えてくれ」
「良いけどこれで大丈夫か?俺の声ってみんなに届いてるのか?」
「大丈夫、こっちにはハイテク装置があるから」
「そうか!よーし!」
明らかに今、カニカマに要らない気合が入ったような気がする。少し嫌な予感がする。
「レディースダイナソーアンドジェントルダイナソー!俺たちの力で、安物のシールドなんかぶっ壊してやろうぜ!」
すると、なぜか恐竜たちはそれに鼓舞されて各所で、咆哮が飛び交った。
「おう!そっちは随分な盛り上がりじゃねぇか」
「彼、面白いね」
ブルターもご機嫌だった。なぜだろう?あまり良い気はしなかった。
「そうだミスターブルーズ!その装置できたら、大量生産してくれないか?」
「なんで?」
「いや、多分そっちの状況と同じことが、こっちでも起きてるんだよね。でも、俺たちは今そこまで自由にウロウロできなくてさぁ。べリングキャットの仲間もどれくらいいるのかわからない状態なんだよ」
いつものカニカマと少しばかり様子が違って聞こえた。
「今、そっちはどんな状況なんだ?」
「そんなのこっちに帰ってくれば分かることだろ?だから早く爆弾作って、早急に帰ってきてくれ」
そう言うとカニカマは、爆弾の作り方を恐竜たちに説明し始めた。
さぁ反撃するぞー
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記念すべき第一話はこちら!https://ncode.syosetu.com/n3719ku/1




