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Fake Real Game  作者: まもる
5/12

大掃除

謎の言動から何故かこの家の掃除をすることになった空。掃除のその字も知らなそうな男とともにする作業は、むしろ仕事を増やしてる気でならない。

そんな空は、仕方なく窓を拭いている男に目を向けると、あることに気づく。

「ゴホッ!ゴホッ」

 空は咳をしながら、ほうきを手に持ち、部屋の埃を掃く。

「ここ、マスクくらい……ゴホッ、ないんですか?せめて布とか」

 同じく、咳をしながら窓の埃を棒状にした紙で払い落とす男の姿があった。

「贅沢言うな、ゴホッ奇跡的にほうきがあっただけでも、ありがたいと思え」

 パンッパンッと音を立てて窓辺を叩く姿に、空が声を上げる。

「というかいい加減それやめてくれません!?余計埃舞って仕方ないです!」

「埃を舞わせるのが役目だろ?」

「掃除をなんだと思ってるんですか!?」

 大声を出したせいで、また再びゴホゴホと咳を打つ。

「もうそこはいいですから、窓拭いてください。はいぞうきん」

 すでに水で濡らしてあるぞうきんを男に手渡す。

「ちぇ」

 と不満そうにしながらぞうきんを受け取った。

 なぜこんなことになっているのか。

 それはつい昨日のことである。

 なぜか掃除を頼まれ、その後討論になったが、結果的に付き合わされる羽目になったのである。

 そして、寝ずにずっと掃除。

 昨日はいろいろあったというのに、なぜこんなことを……それよりも出口を探さなければ……ん?出口?

「あーーー!」

 その声に驚いた男は吹いていた手を止めて空の方に振り返る。

「なんだよ、ただでさえでかい声出して」

「でかいとは失礼な!じゃなくて!出口です!」

「は?出口?」

「この世界から出る出口に決まって——」

 と言いかけると、空はあるものが目に入った。

 窓を拭く男の腕には、空と同じ装置が装着されている。

「えーー!」

「今度はなんだ」

「そ、それ……」

 と、男の腕を指差す。

 男は差された腕を見つめると言った。

「ああこれ?ていうか今気づいたの?」

「はい……全然。というか私も——」

「いや大丈夫、気づいてるから……」

 腕を見せようとする空に、片手を前に出して遠慮する。

「あなたも巻き込まれた人なんですか……」

「まあ、そうなりますな」

「なんで教えてくれなかったんですか!」

 身を乗り出してくる空に男は言う。

「そんな空気じゃなかったし、そんな時間もなかった」

「今の時間は充分言えたと思いますが!?」

 相変わらず元気な子だなと思いながらも、男は窓拭きを再開する。

 空も不満そうにしながら、床を掃く。

「あ、教えるといえば、あなたの名前……聞いてません」

 窓を拭きながら、男は答える。

「答える必要ある?」

「私が教えたんだから教えてください!」

「そんな簡単にホイホイ名前教えない方がいいよ」

「正論ですけど遅いです!というか教えろと言ったのはあなたです!」

「えー」

 と嫌そうな声を出したのが気に食わなかったのか、空は男の方に向かう。

「ちょっとこっち向いてもらえます?」

「え?なに——」

 と振り返ると、空の持つほうきを向けられる。

「答えなければ、一生埃地獄の刑ですよ?」

「っぐ……」

 棒ではなく、掃く方を向けられ、必死に堪える。

「いいんですか?もっと振ってもいいんですよ?」

 フルフルと振ってくる地獄の刑に男は苦戦する。

「くっ……恐ろしい女め……」

「ふっふっふっ……なんとでも言うが良い。さぁ!はけ!」

 追い討ちをかけるようにさらに振ると、降参したように手を上げて言った。

「わーかった……だからそれゴホッ、やめろ……」

「嘘は許さん」

「ゴホッゴホッ!嘘ついてねーゴホッよ」

 と、しばらく乱闘が続くが、本当にどうでもいいのでそこは省かせてもらおう。

「俺の名前は天月あまつきだ」

 すると、またほうきを取り出すと空は言う。

「フルネーム」

「…………」

 ほうきの魔の手が近づいてくると、観念したように言う。

星輝せいき天月星輝あまつきせいき!はい終わり!」

「よろしい」

 満足したように、やっとほうきを下ろす。

 ホッと星輝は息を吐くと、掃除の話に戻る。

「まあ、一通り綺麗になったけど、あとは……」

 と目を向けた先は、奥にある一つドアがあった。

「あそこは?」

「風呂場」

「風呂場……」

 と呟くと、何か思ったことがあるようで「えっ!?」と声を上げる。

「まさか……」

 チラッと星輝を見る。それを察した星輝はすぐさま言った。

「あ、ちゃんと体は洗ってるからな」

「あ、よかった」

 風呂場を洗ってないのなら体も?と思った空はホッとする。

「あそこ、そんなにまずいの?」

「ああ、なんかもう、風呂かどうかも怪しい」

「それはなんというか、もう……」

 再びドアに目を向けると、恐ろしいオーラが漂っているのを感じる。

「風呂じゃないんじゃない?」

 空はぽつりと呟いた。

どうもこんにちは。この前の続きです。

よくわからない状況続きだと思いますが、よろしくお願いします!

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