ヘルプ
いろいろなことがあり、ご飯をご馳走になることになり、店に案内された星輝たち。温かなご飯にありつけ、満足していたのだが……
店に着くと、さっそく席に案内された。木でできた机と椅子は、綺麗に形取られていて、表面もツルツルしていた。
机に置かれたのは、ほかほかと湯気の立った真っ白なスープ。皿に置かれたのは、程よく焼き目のついたまん丸のパンらしきものだった。
温かい食べ物なんて久々に感じられる。ましてやこんなまともな料理まで。
皆、目を輝かせ、食事に齧りついた。
なんなら、空はおかわりまでしていた。
頭の片隅で考えていた飯代の請求という可能性を考えていたが、なんとお代はいらないと言われた。
なんか逆に悪いことが起こりそうな気がする。
移動の途中でわかったことだが、彼女の名は「ハリム」と言うらしい。
この店の二階に住む代わりに、店のことを手伝っているようだ。
さて、そして本題に入ろう。
と思ったが、まだ店にはお客がいる。そして今はとても混む時間帯らしい。この流れはまさか——
「私、手伝うよ」
「わ、私も!」
空と瞳がそう名乗りを挙げた。
「お前らな……」
だが、幸いこの言葉が通じない。星輝が言わなければなんとも——
すると、二人は店主らしき人の元へ行き、口を開いた。
「えっと……お店って、なんで言うんだっけ……?」
空がヒソヒソと瞳と話し始める。
「ショップ……じゃなかったでしょうか?」
「ショップ……うん!なになにショップとか言うもんね。だとすると、手伝う……助ける……ヘルプかな?」
「ですね!それで通じるでしょうか?」
「やってみよう!」
店主に向き直り、空が自分の胸に手を当て、口を開いた。
「アイム、ソラ……ショップ、ヘルプ……!」
それに続き、瞳も声を出した。
「同じく!ひ、ヒトミ。ショップ……ヘルプ!」
その様子を少し離れたところから見ていた星輝は、お面の奥で、なんとも言えない表情をしていた。
店主は「?」と書いてありそう顔をしていた。
(さすがにそれで通じるわけ——)
と思った星輝は、見続けていると、店主はニッと笑い、親指を立てた。
(え、もしかして……)
星輝の予想は……
「オーケー!」
明るく発された言葉に星輝は——
(伝わった?!)
あれで伝わるのか?!星輝は呆気を取られる。
すると後ろから肩をポンッと掴まれ、後ろを向くと、同じくニッと笑い、親指を立てた、ハリムの姿があった。
それに星輝は、何も言うことができなかった。
そこから、流れるように事は進んだ。
奥の部屋から用意された、シャツやらズボンやらエプロンやらを手渡される。
そして着替え部屋に押し込まれた。
このままばっくれようかと考えて、カーテンを開けると、監視のように目を光らせた誰かの姿があった。
誰?という感想もあったが、星輝の口から溢れたのはこの言葉だった。
「こわ」
シャッとカーテンをすぐに閉めた。
さて、これは諦めて着替えよう。
ささっと店の服に着替えて部屋を出ると、そこにはもうすでに着替えを済ませた瞳と空の姿があった。
二人とも星輝と服装は同じ感じで、違いはズボンかスカートかという違いくらいだ。
「風が入って、変な感じ……」
いつも短パンを履いているからか、スカートの姿は新鮮だ。
隣の瞳は、その場でふわっとスカートを踊らせながら回る。
「どうですか?」
こちらに視線を向けてきたので、自分に聞いているのだと気づくと、星輝は口を開く。
「いいんじゃないか」
その言葉で満足しなかったのか、瞳はムッとした表情をする。
「気持ちが感じられません」
横でそれを見ていた空が、星輝に呆れた視線を向けて言ってきた。
「ていうか星輝……もしかしてそれで接客するつもり……?」
瞳も改めてこちらに視線を向けた。
「わっほんとだ。見慣れてきてたので何も思いませんでした!」
二人が言っているのはもちろん……星輝のつけている、ひょっとこの面だ。
今でもそれは変わらない。
「……俺もこれはさすがに譲れない」
自分のつけている面に手を当てながら言った。
「なんでそんなに外したがらないの?」
空が首を傾げて言う。
「この前言わなかったっけ?」
「あれで納得すると思う?」
「あれも一応本当なんだけど……」
そうボソリと呟くと、空とは反対の方から瞳が乗り出す。
「まさか、見せられないほどの怪我を!?」
ギィィィ
この音は、店の扉が開く音だ。ということは、客が入ってきたのだ。
「いら——」
星輝が入ってきた客に向かって声を発しようとすると、空が全身で勢いよく突っ込んで、星輝を横へ吹っ飛ばした。
「「いらっしゃいませー!!」」
空と瞳は、笑顔で客に挨拶した。
「……しゃいませ〜……」
下の方から聞こえたのは、床に倒れ込んだ星輝だった。片手をだらん……と上げて、その声には、誰も反応しなかった。
今後の展開が不安になってきています。自分で書いているのに、何をしているんでしょうね…
とりあえず、彼氏探し編?とでも言いましょうか、それを終わらせられるよう、頑張ります。




