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Fake Real Game  作者: まもる
10/12

情報収集

偶然出会った少女——姫黄瞳ひめぎひとみの彼氏探しに出た三人。

まずは彼女が最初にいたという場所に行ってみるが、特に何も掴めず、考えていると、ふと近くにある村が目に入る。そこで、また情報を集めに入るが……?

 偶然出会った少女——姫黄瞳ひめぎひとみの彼氏探し(ほぼ無理矢理)を手伝うことになった。

 瞳に見せてもらったあの画像を頼りに、とりあえず、瞳が最初に居たという場所に向かうことになった。

 そこは星輝たちの家から、近いとは言えないが、さほど遠くもなく、森を抜けてしばらく歩いた先にある、規模的に村とも言える場所の近くであった。

「この辺か?」

 星輝は金色の美しい髪を持つ少女——瞳に問いかけた。左右に二つ結われた髪、昨夜汚れた服は綺麗になり、スカート丈が短めのシンプルな色のワンピースに胸元に丸くフワフワのボンボンがついたマントを羽織っている。

「はい、ここら辺だと思います」

 頷きながら答えると、それを確認した星輝は地面にしゃがみ込んだ。

 そして何をするでもなく、まじまじと地面を見つめている。

「…………何してるの?」

 痺れを切らした空が、星輝を見下ろして言った。

「うーん?」

 下を向いたまま、声だけ反応する。

「いやーあんま時間経ってないなら誰か通った跡あるかなって思ったんだけど……よくよく考えれば近くに村があるし、判別つかねーわ」

 よいしょと立ち上がり、手をパンパンと叩き、土を払った。

「とりあえず、近くの村に行ってみよう。運が良ければ、見つかるかもしれない」

 そう言った星輝を横目に、瞳は何やら不安の表情が浮かぶ。

 それに気づいた空は、心配して声をかける。

「大丈夫?体調悪い?」

「いえ、大丈夫です……」

 少し元気が無さそうな声で返された。

 大事な人が行方不明なのだ。無理はない。

「何かあったら、言ってね」

 これ以上追求することもなく、ただそう声かけた。

「はい」

 こちらに笑みを浮かべて返してきた。

 空は少しホッとした。

「……一応聞くが、あの村は探さなかったのか?一番居そうだろ?」

 星輝は瞳にそう聞いてきた。

 瞳はぎこちなく頷いて言った。

「探しては……見たんですけど……」

 視線を泳がせながら言う。

「?」

 星輝は首を傾げたが、その理由は案外すぐにわかった。

 

「——なるほど」

 星輝は理解したように呟いた。

 村に入ると、そこはなんの変哲もない村だった。作物を育て、荷物を運ぶ姿くらいのもので、あとは小さな店がいくつか並んでいるという感じだった。

 食べ物の調達ついでに、瞳の彼氏について聞いてみたところ——

「What is it?」

「「「…………」」」

 突然発されたそれはそれは発音の良い言葉に、三人は無言で固まった。

 たっぷり数秒使った後、星輝は無言の壁を破った。

「ははっ……なるほど……」

 乾いた笑みを浮かべながらそう言った。

 後ろにいた二人に向き直り、今の状況をまとめた。

「つまりは、あれだな……聞いてみたはいいものの、まず言葉が通じないと……」

 こくりとなんとも気まずそうに首を縦に振った。

「その……英語は、あまり……」

 ちらっと空に視線を向けて助けを求めた。

「私も……挨拶程度しか……」

 あっけなく希望は打ち砕かれた。

 二人は場をなんとか沈めまいと、頑張って笑顔を作る。

 その姿に、星輝はため息をこぼす。せっかく笑顔を作ったというのに。

 星輝はそんな二人から視線を外し、先程話しかけた人に向かって口を開いた。

「I have something I'd like to ask you, do you have time?(少し聞きたいことがあるのですが、お時間よろしいですか?)」

「「!」」

 突然発された言葉に空と瞳は目を丸くする。

 それもそうだ。星輝は、いつも私たちと喋っているような日本語ではなかったのだから。

「Any questions?(聞きたいこと?)」

 相手も同じように英語で話している。

「Yes. Actually, I'm looking for someone...(はい。実は人を探していて……)」

「People? I'll answer if you want.(人?私で良ければ答えるよ)」

「Thanks so much!(本当に!?ありがとう!)」

 星輝は笑って答えると、瞳に携帯を出すように言ってきた。

 一瞬呆然としていた瞳は、ハッとして携帯を素早く操作すると、星輝に渡す。

 星輝はその画面を相手に見せながら、再び話し出す。

「This is the kind of person I am...(こういう人なんですけど……)」

 その画面を見て、相手は顎に手を当て、うむむ……と唸る。

 そして、お手上げかのように、両手を上げて首を横に振る。

「Sorry, but I haven't seen this guy...(すまないが、この人は見てないな……)」

「Is that so……(そうですか……)」

 しょぼーんとした声を出して言った。

 英語がわからない二人でも、雰囲気からして、有力な情報は得られなかったのだとわかる。

「Oh! How about that street over there?(あ!向こうの通りはどうだい?)」

 思い出したように声を上げ、相手はその方向を指差した。

「The other street?(向こうの通り?)」

 星輝が首を傾げて聞くと、相手は説明をしてくれた。

「Ah! There are a lot of people around there, maybe they can find something!(ああ!あそこは人通りも多いし、何かわかるかもよ!)」

 そう言ってくれた。お礼に、その店の果物を三つ買って、向こうの通りへ向かった。

 ていうか、星輝お金持ってたんだ。

 そう思って空が聞くと……

「普通に最初なら、少し入ってるだろ?確認しなかったのか?」

 そう言われて、人差し指と中指で何もない空間を叩く。

 そして、お決まりの薄い板状のものが出現すると、プロフィール画面の下の方に、本当に小さく残高が表示されていた。

 こんなの気付けるわけがない。

 それより——

「星輝って、英語話せるんだね!びっくりしちゃった」

 空が、先程の星輝の英語ペラペラ姿について話した。

 それに乗っかるように瞳も感心したような声を上げる。

「私もです!よくわかりましたね」

 キラキラと向けられる視線に、居心地の悪さを感じながらも星輝は口を開く。

「別にペラペラってほどじゃ……俺も基本的なことしか喋れないし……」

「「!」」

 二人はびっくりして足を止めた。

「あれが基本……?」

「プロは違いますね……!」

 そのようなことを呟いた。

更新しようと思っていたのですが、少し遅れてしまいました。本当に申し訳ありません!

正直、後で読み返すと、日常回みたいなものにも感じられます。これからいろいろわかってくるので、よろしくお願いします!

少々短めですが、楽しんでいただけたら幸いです。

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