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理想の恋人  作者: 月樹


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47. 鬼瓦家(8)

 (突然約束もなく来たため、ある程度待たされるのは覚悟の上だが…)


 敵地で何もせず待っているだけの時間は落ち着かない…。 

 (みこと)はすっかり冷めてしまったお茶を飲み、気を紛らわしていた。

 すると…



 『〜◯◯◯〜△△△〜!!』


 『□□□〜!!×××〜!!』



「隣の部屋…誰がいるのでしょう?」

 防音がしっかりしているからか、何を話しているのかまでは聞き取れないけれど…

 怒鳴りあっているのか騒がしい…。


「なかなか現れない当主でもいるんじゃないか?少し覗いてみるか…?

 なに咎められたら、御手洗いを探していたとでも言えばいい」

 隆盛はこういった状況にも慣れているのか、緊張した様子もなく暇つぶしに部屋を出ることを提案した。


 特に見張りもいないようなので、二人で部屋を出て、隣の部屋の扉を少し開くと…


 そこには当主らしき老人に何故か魁皇と時雨、それにヘンリーまでいた…。


 どうやら言い争っていたのは、魁皇とヘンリーの二人のようだが…。



 〜・〜・〜・〜・〜



 魁皇とヘンリーが緊迫そうに見えて、しょうもない話をしている頃、京香が監禁されていた部屋では…



 トントン



(あら何かしら、風?窓の方から物音が…)


 と不思議に思い見ていたら…


 トントントントントン


 風にしてはしつこく窓を叩く音が聞こえてきたので近づいてみる。


『ひ〜め〜。あ・け・て…』


 と微かに囁く声が聞こえた…。


 京香がソロ〜りと音を立てないように、ゆっくり窓を開けると、そこには黒装束姿の天馬が…。


「どうしてここに?」

 音をたてず部屋に入ってくる彼に驚きながらも、外に聞こえないよう声を潜めて尋ねると…

「この家の構造からいって、姫が隠されているのはここだろうとあたりをつけて来ました。若達が敵の目を引いているうちに行きますよ」

 いつものふざけた様子は鳴りを潜め、話しながら京香を素早く抱き上げると、また入ってきた窓から屋根伝いに脱出を試みる。


「魁皇も来ているの?」

「はい。若は今頃正面から鬼瓦家当主に姫を返すように交渉中です。

 でも、どうせ難癖をつけ、素直に渡さないでしょうから、私には裏から回って姫を奪還するよう指示が出ております」

 そう話しながらも危なげなく音も立てずに屋根を走る天馬。


(本物の忍者みたい…)


 色々と性格に難があっても、迷うことなく魁皇が京香の護衛に選ぶほど、天馬の隠密としての実力は群を抜いている。


 敵に気づかれることなく無事脱出に成功した天馬は、京香を待機する二階堂家の車に預けると、また1人鬼瓦邸へと引き返した。


 〜・〜・〜・〜・〜


 トントン


 いつの間にか、二階堂家主従に鬼瓦家新旧当主、海星志學館生徒会コンビが揃い騒然となった応接室の扉を叩く音がした。


 返事を待つことなく、扉が開き…


「若〜、姫の奪還完了しました〜♪」

 いつものふざけた調子で主に報告する天馬が入室してきた。


「なに!?警備の者達は何をしていたんだ??」

 慌てる景虎に、いつもの冷徹な顔に戻ったヘンリーが答える。


「警備には、僕の指示がない限り動かないよう命じている。

 だいたい誘拐なんて犯罪を犯す耄碌した人間に、これ以上うちの配下を勝手に動かさせるわけないでしょ?

 今回は()()が勝手にしたことだから、京香は返すけれど…

 僕は君を京香の婚約者として認めないから!!」


 魁皇に向かって指を突きつけ、そう叫ぶヘンリーに…


「「お前にそんなこと決める権利はない!!このストーカーは引っ込んでろ!!」」

 魁皇と尊の声が重なった。 


「ミコトとお揃いだと…。こんな昔から見守っている僕でさえ、ミコトと声が被ったことなんてないのに…」

 よくわからないところでダメージを受けるヘンリー。


 それに尊は呆れた様子で呟いた…。

「京香の結婚に口を出していいのは、弟の僕だけだし…」




 結局よくわからないモタモタした状況のまま、目的の京香も取り戻せたのでそこに居る意味もなく…


 鬼瓦家から帰ることにした魁皇は尊に声を掛けた。

「京香はとりあえずうちに保護しているけれど…尊はどうする?

 うちの車に乗って、一緒に会いに行くか?」

「…いや、いい。先輩と寮に帰るから…」

 京香が無事助かったというのに、何故か少し気落ちした様子なのが気になった…。

「僕も!!僕もミコトと一緒に帰る〜!!」


 〜・〜・〜・〜・〜


 騒がしいヘンリーは放置して、尊は待機していた西園寺家の車に乗り込んだ。


「どうして先輩は30分程で片がつくと思ったのですか?」

「あの魁皇が本気で介入しているのに…そんな時間が掛かるはずないからな…」

「それは、二階堂家の力ですか…?」

「それもあるが…魁皇自身の能力、決断力、統率力、カリスマ性…あらゆる面で抜きんでている男だからな…。 

 尊もそう思うから魁皇に任せたのだろ?」

「・・・・」


 わかってはいるけれど…認めたくはない…。

 複雑な気持ちのまま、尊は黙って車窓に視線を移した。

お読みいただきありがとうございます。


少しいつもより投稿が遅くなりましたm(_ _)m

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