45. 鬼瓦家(6)
鬼瓦家本邸は昔ながらの趣のある日本家屋で、外側は外敵から身を守るためか、ぐるりと高い塀に囲まれていた。
門から玄関までは距離があるため、中の建物の様子は外側から見ることはできない。
車から降りた隆盛と尊は、とりあえずインターホンを押し、反応を待つ…。
しばらくすると中から使用人らしき人が応える声が聞こえた。
「はい」
「こんばんは。夜分に失礼いたします。
ヘンリー君が通う海星志學館の生徒会長を務める西園寺隆盛と申します。至急彼に直接伝えないといけない用事がありまして…。
ヘンリー君はいらっしゃいますか?」
インターホンの向こうで何やら話す声が聞こえた…。
しばらくあちら側で話し合いがされた後…
「どうぞお入りください」
と返答があり、重厚な門が自動で開いた。
さすがの鬼瓦家も、経済界でトップ5に入る西園寺家の御曹司を門前払いすることはできないと判断したようだ。
「伊坂、三十分で戻るから、車はそのままここで待機していてくれ」
そう告げると、隆盛と尊は鬼瓦家に乗り込んだ。
~・~・~・~・~
『魁皇、根回しはしておいてやる…。
真剣に惚れた女なら、自分の力で必ず取り戻せ。
鬼瓦家は一度はその勢いが衰えたが、まだまだ厄介な家だ…。決して油断するなよ』
『父上、ご協力ありがとうございます。京香は必ずこの手で取り戻してみせます』
尊達に遅れること10分程で魁皇達も鬼瓦邸に到着したが、こちらはあらかじめ父の皇雅に連絡を通してもらっていたため、すんなりと鬼瓦邸に入ることができた。
今は、急な来訪のため当主の予定があくまで少し時間がかかるとのことで、応接間で待機している…。
それは尊達が通された部屋の隣の部屋だったが、双方共に静かに当主が来るのを待っていたため、お互いに隣室にいることには気づいていなかった…。
~・~・~・~・~
その頃鬼瓦邸に仕える者達は…京香を隠匿した状態での突然の来客…しかも大物の子息ばかりの訪れに、どう対応すべきか戸惑っていた…。
それに…西園寺家の御曹司と一緒にいる美しい青年は、間違いなくもう一人の鬼瓦家直系の孫だろう…。
今は当主【表向き】と当主【実質】の両方が揃っており、どちらの指示を仰ぐべきなのか…
いつもなら当主【実質】に相談してから当主【表向き】に報告するが…
今は【実質】が所要で立て込んでいる…。
(京香に部屋から追い出されて、必死に中に入れてくれるよう交渉中…)
悩んだ結果、鬼瓦家筆頭執事が選んだのは…
「これはこれは、珍しいお客様だ。
君の家とは、そんな突然家を訪ねるような親しい付き合いはしていなかったと思うが…。
それとも今後はそういう間柄になるということだろうか?
何の用かね…?二階堂君」
とりあえず当主【実質】は姉弟の熱狂的な信者なので、弟に会わせるのは避けた方が良いだろう…と考え、当主【表向き】を二階堂家の御曹司のいる部屋へと案内した。
お読みいただきありがとうございます。
新年もどうぞよろしくお願いいたします。




