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理想の恋人  作者: 月樹


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39. 体育祭(7)

 こんにちは手足を縛られて誘拐された白藤京香です。


 今、私はどうなったかというと…


 赤い高級そうな振袖を着せられ、たぶん私の祖父母と思われる人間と対峙しています。 

 あの体調を崩したと話し掛けてきた老婦人は、私の祖母だったようです…。


「会いたかったわ…。可愛い愛娘の忘れ形見と聞いて、どんなにあなたにも尊君にも会いたかったことか…。

 ずっと側にいてあげられなくてごめんなさいね。姉弟二人で大変だったでしょ?

 でも、これからはお祖父様お祖母様が一緒ですからね」

 と優しそうな笑顔で話し掛けてきますけれど…


 どこの世界に自分を騙して薬を嗅がせ、手足を縛って攫ってきた人間を信用するお人好しがいるというのでしょう…。


「雅が勝手に籍を抜いたり、海外に出て行ってしまったりしたから、あなた達を探すのにこんなに時間がかかってしまって…ごめんなさいね…。

 でも、もう大丈夫。京香ちゃんにも尊君にも由緒正しき鬼瓦家に戻ってもらって、どこに出しても恥ずかしくない令息令嬢となってもらうつもりだから…」


 涙を浮かべながら、感動の再会風に語りかけていますが…


 大切なことなので、もう一度言います。


 この人、私を騙して薬を使って意識を奪い、縛り上げて攫ってきた人ですから…。


 (どこに出してもって…どこかに出荷するつもりなのでしょうか…?

 まさかお母さんの代わりに、私をアクラム氏に売ったりしないでしょうね…)


 部屋には時計も窓もないため、ハッキリとした時間はわかりませんが…

 たぶんお腹の好き具合からいって、夕方の6時頃でしょうか?もうとっくに体育祭も終わり、私が急に学校から居なくなったことに気づいて、きっとみんな心配してくれていることでしょう…。


 あんなに1人で行動しないよう言われたのに…。


 〜・〜・〜・〜・〜


 その頃、海星志學館では…


「西園寺先輩、ヘンリーがどこに行ったか知りませんか?姿を見かけないのですか?」

 魁皇から、京香が拐われたと連絡を受けた尊は、ヘンリーが何か知っているのではないか問いただそうと探していたが…

 こんな時に限って姿が見えない。

 いつも鬱陶しいくらいウロチョロしているくせに…。


 ヘンリーとは連絡先を交換しなかったので、電話で呼び出すことも出来ず、知っているであろう隆盛を頼った。


「ヘンリーなら、今週末は親戚のところに泊まると外出届けが出ていたが…」


 話の途中から、尊が渋い顔をして黙り始めたので、隆盛は心配して声を掛けた。


「どうかしたのか?」


「京香が体育祭の最中に拐われたと連絡が入りました…。

 ヘンリーは犯人について何か知っているのではないか?と思われます…」


 隆盛はすぐヘンリーに電話を掛けたが、数回コールが鳴った後は、すぐ留守番電話に繋がった…。


「私達の外出届けも出そう…」

 少し青い顔をして押し黙った尊の肩を叩き、元気づけるよう促しながら、隆盛は至急迎えの車を寄こすよう連絡を入れた。


お読みいただきありがとうございます。


誤字脱字報告ありがとうございます。


少しプライベートが忙しく、投稿が遅くなり申し訳ありません。しばらく不規則になるかもしれませんが書き続けていきますので、よろしくお願いいたします。

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