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理想の恋人  作者: 月樹


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36. 体育祭(4)

 第一走者がスタート地点に並ぶのを見ながら、一つ前の列に並ぶ日下部君に声を掛けた。


「借り物競争のお題って、誰が考えているの?」

「体育委員だけで考えると偏るから、各委員と各クラブ、先生方に出してもらってる」


 そう話しているうちに第一走者が走り始めた。


 最初のお題は

『ドラキュラの仮装が似合いそうな人』


 ハロウィーンが近いからね…


 闘牛のように直行した女子に、魁皇が連れ去られて行った。まあそのまま洋風なお顔なので文句無しでオッケイが出る。


 二番目のお題は

『学校で一番権力がある人』


 またまた迷うことなく魁皇が連れ出される…。そこは生徒じゃなくて、理事長とかのところに行こうよ…。


 三番目のお題は

『昨日の夢に出てきた人』


 やっぱり魁皇が連れ去られて走っていく…。


 良かった〜。選手になってて…。


「だから私はいつも借り物競争に出るんです。

 決して好きな競技ではありませんが、魁皇様のように何走もする体力がないので…」

 私と一緒に、何走もする魁皇を眺めながら、ポツリとこぼす日下部くん。

 なるほど…私と同じ理由でのやむを得ずの選択なのね…。


 そう言っている間にも、魁皇は全ての回に借り出されて走っているけれど、息を切らす様子がない。

 同じように、毎回借り出されている天馬くんも全然余裕な感じだ…。

 本当、2人とも化け物並の体力ね…。


「今年こそはまともなお題でありますように…」

 話をしているうちに、日下部君の番が回って来たので、スタートラインに並びに行った。私の番はその次だ。


 日下部君も普通に足は速いので、一番に中間ポイントに着き、くじを引いた。


 一瞬顔がひきつり、時が止まっていたので、たぶん今年も悪運を引いたのだと思う…。


 確か日下部君の昨年のお題は、

『国際ロマンス詐欺に合いそうな先生』だった。

 イケメン好きで有名な村田先生だったので、連れて行かれた時は

「あらっ?わたし?何のお題かしら?」

 と喜んでいたのに、お題を聞いた後は、凄い形相で睨まれていたわね…。

 未だに村田先生が受け持つ音楽の授業では、どんなにテストで良い成績を採っても、実技で点数を下げられるらしい…。

 噂では、村田先生は過去に本当に外国人の彼氏に騙されたことがあるらしく、日下部君は知らずにその寝た子を起こすようなことをしてしまったようだ…。


 くじの紙を見て少し考えた後、日下部君は天馬君を連れて走り出した。

 もちろん2人とも走るのは速いので、1位でゴールする。


「それではお題がオッケイか確認させていただきます。今年の日下部様のお題は何でしょうか?」

 放送部の三浦君も興味津々で、お題の紙を受け取り、読み上げた。


「日下部様の今年のお題は…

 『彼氏にするなら、この人!!』…です」

 三浦君は思いきり笑いが漏れそうになるのを、必死にこらえてアナウンスした。


 割れんばかりの拍手で盛り上がる会場。

 日下部君としては、少しでもダメージを押さえるために身内を選んだのに…2人ともビジュアルが良いため、その選択は学園中の腐女子腐男子の皆様を喜ばせる結果となった…。

 体育祭後も2人を題材にした怪しい本が出回る未来を、その時の日下部君が知る由もない…。


 いよいよ京香の番が回ってきた。


(どうか、無難なお題でありますように。

 間違っても、日下部君のような貧乏くじを引きませんように…)


 そういう願いって、大抵叶えられないことをいい加減学ぶべきでした…。


 軽快なスタートを切り走り出した京香は、中間地点に1番に到着し、くじを引く。


 お題は

『結婚して玉の輿に乗った後は、女王様となり、その家の全権力を掌握したい相手』


 (誰よ、こんなふざけたお題考えたの〜!?)


 思わずくじの紙を丸めて、その場で放り投げてしまった私は、悪くないと思う…。

お読みいただきありがとうございます。


誤字脱字報告ありがとうございます。





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