17.ドキドキの夏休みin北海道(1)
今、私、拉致られている…。
誰に?って…もちろん…
「心配するな。必要なものは全て、うちの店から取り寄せるから、身一つで大丈夫だ」
俺様彼氏に…
〜・〜・〜・〜・〜・〜
話は、1週間前の終業式にに遡る。
明日から夏休みを控え、みんなワクワクしている教室に、突然魁皇が現れた。
『キャーッ、魁皇様だわ!!』
『長期休暇に入る前にお姿が見れて幸せ〜』
『白藤様に会いに来られたのか?』
いつものように、みんなの歓声は聞き流し、まっすぐこちらに向かって来ると、慌てて席を外した隣の田中君の席に、我が物顔で遠慮なく座り、話し始めた。
『京香、来週久しぶりに両親が帰国する。
例年2人は、スイスの別荘でバカンスを楽しむのだが、今年は日本で外せない仕事があるらしい…』
『良かったわね。ご両親と一緒に夏が過ごせて』
(あら?俺様の魁皇でも両親と一緒に夏を過ごせるのは嬉しくて、わざわざ私に言いに来たのかしら…?)
『何を他人事のように言っているんだ?京香も行くぞ!!』
『えっ…(他人だけど…)どこへ?』
『夏の日本と言えば、北海道だろう?』
(いいえ、他にも夏、素晴らしい場所はいっぱいあります!!)
『無理です!!夏は尊も寮から帰ってくるし、私にも予定があります!!』
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
というようなやりとりをして、私はちゃんと断ったはずだ…。
なのに…
今朝起きて出かける準備をしていたら、突然『ピンポーン♪』と玄関のベルが鳴った。
(もうすぐバイトに出かけなきゃいけないのに…こんな朝っぱらから誰だろう…?)
そう思いながら扉を開けると、そこには朝っぱらから無駄にキラキラ眩しい魁皇が立っていた…。
思わず、咄嗟に扉を閉めようとしたら、閉まりきる前に、足を突っ込まれた。
「京香…不審者かもしれないから、誰が来たのか確認せずに扉を開けるのはやめるように言っただろ?それに、何で俺の顔を見た途端に扉を閉めようとするんだ…?」
「えっ…(不審者がいたので)条件反射で体が動いて…」
「行くぞ!!」
「どこへ?」
「北海道と行っただろ?」
「わたし…断ったよね…?」
「俺は認めていない」
「・・・・」
(自分が認めなければ、それは了承したのと同じって…何処の王様よ!?)
運悪く、今日は尊もバイトで早朝から出掛けていていなかった…。
結局、私はそのまま身一つで車に連れ去られ、今は機上の人だ…。
(プライベートジェットなんめ初めて乗ったけれど…何?このフカフカのシート…?
未成年相手に何でシャンパンが用意されているの!?)
「理事長には、俺から連絡入れといた」
魁皇が誰かに連絡していると思ったら、透ちゃんに連絡を入れていたようだ。
紫明学院では、学生の就労には申告が必要とされている。
そのほとんどが、魁皇のように若いうちから実績を積むために家関連の仕事を任されているだけで、私のように家計を助けるために就労しようなんて生徒はまずいない…。
昨年の夏、透ちゃんに普通の高校生のようにファーストフードで夏休みの間だけバイトしたいと相談したら、それは学院生としては認められないけれど…と代わりに紹介されたのが、この学院内の図書室でのバイトだ。
主な仕事内容は、本の整理、修復作業、たまに透ちゃんのお茶飲み相手…。
最後の仕事は必要ない気がするけれど、思いのほか時給が良かったので、すぐに承諾した。
(今年もそのバイトを引き受け、今日も本当ならバイトに出掛ける予定だったのに…。
尊には、心配しないようにメールを送ったけれど、バイト中なので気付くのは昼くらいになるかな…?怒るだろうな…)
せっかくなので、出されたお菓子をいただきながら、京香は尊への言い訳を必死に考えていた。
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しばらく京香と魁皇ファミリーin北海道
のお話になります。
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