8.わたしの王子様
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わたしが小学5年生の時に、突然お父さんが家に帰って来なくなった。
わたしが『どうして?』とお母さんに尋ねたら、『お父さんはお母さんの王子様ではなかったのよ』と言われた。
中学3年生になった時、新しいお父さんがやって来た。
新しいお父さんは、お金持ちで格好良くて…わたしのお願いを何でも聞いてくれる、理想のお父さん。
お母さんは『彼がわたしの本当の王子様よ』と笑顔で言った。
お母さんみたいに、いつか私にも素敵な王子様が現れないかな〜♡と願っていたら…運命の出会いは突然やって来たの。
新しいお父さんがお勧めしてくれた高校で、校内案内をしてくれた彼、二階堂先輩。
物語の中の王子様のように、輝く金色の髪に、青い瞳をした彼が微笑みかけてくれた時、『わたしの王子様♡』と分かった。
だってあんなに綺麗で優しい笑顔を向けてくれる人、今まで見たことないもの。
でも、彼には幼い頃から、親が決めた婚約者がいるらしいの。
『今時、親の決めた婚約者なんて間違ってるよ!!』と訴え掛けたけれど、彼は困ったような顔をするだけで、聞いてくれなかった。
なら、周りの人達に、彼を説得してもらおうと、私は一生懸命アピールしたわ。
だって結婚って、本当に愛している人とするべきでしょ?
けれど、この学院の人達は、みんなお金持ちの特別なお家の人が多いからか、わたしのような一般的な感覚が分からないようね。
『どうして、理想の恋人達の邪魔をする?』なんて言うの…。
本当に理想の恋人同士なら、彼が他の女の人と浮気したりするはずがないでしょ?
きっと親に決められた婚約者が嫌で、他に安らぎを求めているんだわ。
わたしなら、彼の心に寄り添って、癒してあげるのに…。
誰に言っても理解してくれないから、もう直接、彼の婚約者に訴える事にしたの。
愛のない結婚なんて、彼女にとっても不幸だものね。
わたしはみんなの幸せのために、一生懸命頑張ったわ。
例え彼女の取り巻きに邪魔をされ、虐められても、わたし負けない!!
だって王子様を救えるのは、勇敢なお姫様のわたしだけだから…。
「学院長、いくら親戚でも、いい加減特別扱いはやめろ」
魁皇は学院長の前だろうとお構いなく、その長い足を組み、ソファにドカッと座った。
「二階堂様、親戚と言っても、彼女は弟の後妻の連れ子で、うちの血縁ではありません。
入学の融通と、最初の案内はお願いしましたが、それ以上の特別扱いはするつもりもありません!!」
いつもはのんびり朗らかな学院長も、見るからに機嫌の悪い魁皇の様子に顔色を悪くしている…。
しかし、そこは毅然と答えた。
「だが、アレは校則で禁じられている他学年の教室にも頻繁に押しかけ、俺の京香に迷惑を掛けている」
最愛の恋人の害でしかない虫に、魁皇は不快感を隠そうともしなかった。
「それは誠に申し訳ございません。
彼女にも伝え、止めるように言ってるのですが、『伯父様も権力に屈するのですか?』などと、意味の分からないことを言われまして…。
弟に頼まれ入学させましたが、やはり庶民の彼女には、この学院は合わなかったようです」
もう十分に説得を試みた後なのだろう。
学院長は遠くを見るような目で語った。
「アレを庶民代表のように言うな。同じ庶民の京香に失礼だ」
そんな学院長に、魁皇は容赦なく吐き捨てる。
「確かに、白藤さんはとても優秀で、我が学院の顔とも言える人ですから、比べるのも烏滸がましいです」
「当然だろ」
魁皇はまるで自分の事のように、自慢気に頷いた。
「学院長、これ以上京香に迷惑を掛けるようなら…分かっているな?」
「はい。そうならないよう、こちらでも取り締まります。
しかし、万が一、他の生徒に差し障りのある行動を起こすようでしたら…残念ですが、彼女にはこの学院を去ってもらいます」
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