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ショートショート9月〜5回目

まほうのくに

作者: たかさば

ここは魔法の国です。


ここには、魔法がたくさん暮らしています。


炎の魔法に水の魔法、何かを見る魔法に誰かを虜にする魔法、時間に振り回される魔法に新しいものを生み出す魔法。


ありふれた魔法も、個性豊かな魔法も、それなりに仲良く暮らしています。


魔法はすべて、使われたあと、この世界に来ます。

役目を果たした魔法も、発動しなかった魔法も、すべてこの世界に来ます。


命を持つものは、命を終えたら天国に行くでしょう?

命を持たないものは、命を得たら地上に行くでしょう?

魔法も、おなじなんですよ。


場所が変わっても、魔法は魔法なんです。

肉体が変わっても、魂は魂なのと、ちょっと似てます。

命じゃないから生まれ変わることがない、違いはそれだけなんです。


魔法は、ここでは自由に過ごしています。

誰に使われて何をしたかなんて、気にしちゃいません。


星を滅ぼした魔法は、髪の毛を乾かす魔法とラブラブです。

お屋敷を作れなかった魔法は、かさぶたをはがす魔法とケンカばかりしています。

鑑定魔法は、偽装魔法と親友です。

植物を枯らす魔法は、クリーン魔法にフラレて落ち込んでいます。

空を飛ぶ魔法は、召喚魔法から嫌われてしまいました。


いろんな魔法が、思い思いに過ごしています。


魔法は、魔法でしかありません。

しかし、誰かに使われることで、心をもちました。


使い捨てられた悲しみが集まって、この世界はうまれたんです。

使ってもらえた喜びがあつまって、この世界は存在できているんです。


この世界には、実績のない魔法がずいぶん増えました。


魔法のない世界で、魔法が放たれるパターンが増えているからです。

魔法のない世界で、魔法が唱えられるパターンが増えているからです。


ここに来ることのできない魔法も、たくさん生まれているようです。

いつか誰かに唱えてもらって、心を得て、ここに来るといいなあと思います。


正直なところ、魔法に心を与えた生き物が気にはなります。


魔法は命ではないので、相まみえる事はできませんけどね。

いつか、命というシステムがなくなったら、対面することができるかもしれませんね。


いつか、魔法が何かを生みだす時代が来るでしょうか?


何かが変わるかもしれません。

何も変わらないかもしれません。


まだまだしばらく、魔法の国は大きくなり続ける事でしょう。


確かなことは、命のない魔法の国では、命を奪い合う必要がないという事です。


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