46・つけねらう者
その日、廃墟の村はいつもと雰囲気がちがっていた。
「……なんか今日はやけに静かだね」
ダイナのいうように鳥や虫の声がしない。空気がピリついている。
川下の方から声が聞こえた。女性の悲鳴。
クルガフィカの身に良くないことが起きている。
そう理解すると同時にマカディオスは加速。
太ももの裏側に存在する大腿二頭筋、半腱様筋、半模様筋からなる偉大なるハムストリングスが大地を強く蹴り押しのける。
「ちょっ!? 一人で勝手に……!」
声を張り上げようとしたセティノアの口がきゅうっとふさがれる。
低く落ち着いた声でダイナがささやいた。
「言ったってもう止められないよ。大きな声出して敵にバレちゃうのもヤじゃない? ここは私たちだけでもこっそりいこう」
セティノアが頷けば、ダイナの手がそっと離れていく。
「ダイナ……。ふだんはけっこうダメダメなのに、なんだかちょびっとたよれるじゃねーでぃすか」
「フフ。ダメで美人なお姉さんはかつて街一番のワルガキだと評判だったのだよ。ちょびっとくらいはたよりにしていーよ」
おびただしい数の魚がいっせいに跳び上がる。水に落ちてもすぐまた空中へ逃げようとする。
川べに立つ複数の人影。教導者たちが川に電撃を放ったのだ。
「……ひどい。どうしてこんなことするの……」
水面で頭をおさえるクルガフィカを見ても、教導者が哀れみをかけることはない。
ぷかりぷかりと魚の白い腹。跳んで逃げようとする気力のある魚はもはやまばら。
「どうしてしつこく追いまわすの? そっとしておいて……」
「だまれ化け物」
クルガフィカの懇願は敵意のこもった一言でしりぞけられた。
「……やめて。お願いだから、私を追いつめないで……」
川の表面にごぽりと小さな水の渦。
教導者たちの緊張感が強まり一人が電撃をおびたムチをふり上げた。
そこに筋肉という名の隕石衝突。
一瞬にして立ちこめる砂煙。
クレーターの中央には、両脚と片手をついた最高にかっこいいポーズで着地したマカディオスの姿が。
背後にいた教導者三人を機械じかけの尻尾でなぎ払う。
ムチを手にした教導者の腰をひっつかんでふり回す。遠心力で装備のいくつかがすっぽ抜けていった。
ソイツを砂地の上にすっ転がったお仲間の上にどっせいと落としてやる。
「……マカディオス。助けにきてくれたの?」
「はやく逃げろ! でもってこんなもんはポイだ!」
教導者が落とした装置の数々を華麗なフォームではるかかなたへ放り投げる。
クルガフィカは泣きそうな顔で小さく首を横にふるばかり。電撃の影響で思うように体が動かないのかもしれない。
「仕方がねえ。オレがコイツらをコテンパンにのしてやる!」
マカディオスはドラミングと高速反復横跳びを組みあわせ、激しく敵を威嚇した。
(!? なんてこった。こりゃあマズいぜ)
あせりを敵にさとられないようにしながらさりげなく体勢を立て直す。
(足をすべらせちまった。はずかしい! だれも気づいてませんように!!)
砂の足場は不安定だ。マカディオスの強靭な足指と体幹をもってしても普段どおりのパフォーマンスは発揮できない。
それは教導者にとっても同じこと。
この場で砂に足をとられずに動けるのはクルガフィカだけだ。
突如あらわれ大暴れしている覆面マッチョ。それに混乱していた教導者たちも応戦のかまえをとる。マカディオスの心臓めがけて銀の弾丸が飛んでくる。
「なんだこんなもん」
それを指先で鼻クソみたいにこねて丸めて、教導者の鼻の穴めがけてスポポッと返却してやった。
「ぐえっ!」
「いぎっ!」
「はがっ!」
「あふぅん……」
銀の弾丸をふごふごさせたまま教導者が鼻声で叫ぶ。
「強力な従属体! データなし、未確認」
「なんだあ? じゅうぞくたい? 人のこと好き勝手に呼びやがって」
死角からの複数の射出を聴覚で察知。
身をひねってかわす。やはり砂地は動きづらい。
放たれたのは黒くツヤッとした頑丈な縄。拘束具のようなものだろうか。
大半はむなしく砂をかき、いくつかは木の枝に引っかかり、一つはマカディオスの左腕をとらえた。
縄の先にいる教導者を逆に引っぱってやろうとしたが、姿の見えない相手は耐えた。人間離れした剛力。
「お? やるじゃあねえか」
腰を低く落として広背筋と上腕二頭筋に力をこめる。
離れた大木の葉っぱが風もないのに踊りだす。
この勝負で真っ先に音を上げたのは縄だった。縄の繊維が細かくちぎれていき、最後にバツンと大きくはじけ飛ぶ。
綱引きから解放された大木の葉が盛大にゆれた。縄の先にいたのが人間ではなく木だとわかってマカディオスはちょっとガッカリ。
姿をかくした敵がまだたくさんいそうな気配がする。力はたいしたことがなくても奇妙な道具を使う連中だ。油断は禁物。
「……」
機械の尻尾と一体化したマカディオスの背骨に、痛みとも怒りとも悲しみともいえない感覚がはいあがってくる。
こぽりとかすかな音がした。
やわらかなのに、なぜかおそろしげな水の音。
空気の中でしか生きられない生命体の、本能的な溺死への恐怖。
川の水が空中にまで伸び上がる。
さながら多頭の大蛇。
地をはうネズミの群れの駆逐にかかる。
口から胃の腑に送りこむように、水で包みこんだ教導者を次々に川底へと流しこんでいく。
十人、二十人、いやそれ以上。五、六十人はいる。こんなにも多くの敵がクルガフィカの命をねらっていたのか。
マカディオスのそばを水の流れがとおりすぎる。
その中にとらわれた一人のみしらぬ教導者。
ひねくれ者っぽい目つきをした若い男性だった。ろくに手入れされていない伸びがちの眉と髪が水中で広がり、口と鼻からはたくさんの白い泡が吐き出されていく。あれは空気だ。命の活動をつなぎとめる物質。まわりはすべて水。あの人はもう、息ができない。
さけられない終焉をじっと見るしかない瞳と、潤沢な空気にかこまれたマカディオスの目があう。
状況が処理しきれずにどこかぼうぜんとしたままマカディオスは反射的に手を伸ばした。
かすったのは、指先だけ。
縦横無尽に虚空をうねる奔流にはばまれて、教導者はマカディオスにむけて腕を伸ばしたまま川底へと消えていった。
教導者たちの最期のあらがいが電撃となって弾け散る。それも少しの間のこと。だんだんと弱々しくなり、川下に遠ざかっていく。
静かだ。
立ち尽くしているマカディオスに、疲れきったようすの水の乙女が近づいてくる。
「だ、大丈夫……?」
「クルガフィカ……」
ついさっき大勢の教導者たちをおぼれさせた張本人は、涙をためた青白い顔で身をふるわせている。
「あの……ごめんなさい、私どうして良いかわからなくてっ。こわかったの! マカディオス、ケガはない? あなたが注意を引きつけてくれたおかげよ。水をあやつるのに集中できた」
するりと指をとられて、やさしく手をにぎられる。クルガフィカの体は川の水と同じ温度と手触りだった。スイレンの花みたいな透きとおった甘い香りもする。
「……そうかよ」
マカディオスはあいまいな相づちをうつことしかできずにいた。
「気をつけてね。アイツら、真っ先に心臓をねらってくることが多いの……」
「え、そうなのか? 抵抗できなくなるまでボッコボコに弱らせるんじゃなくて?」
憎らしいユーゴはそうしていた。でも、アイツはものすごく残忍で最悪のロクでなしだから普通の教導者たちとやり方がちがうのかもしれない。
「あら? よくわからないけど……。体の外に心臓をかくしておいても魔法の力が弱くなってしまうでしょう? 工夫した方が良いわ。私のオススメの方法を教えてあげましょうか?」
「オレは魔物じゃねえから心臓をどうこうってのはムリだぜ」
クルガフィカの目が大きく見開かれる。
「え? ふぇええっ!? そ、そうだったのぉ……? 私はてっきり……」
彼女はマカディオスたち三人を全員魔物だと思っていたらしい。
「……あぁ、ビックリした……。あんなに強いのに? でも、そうね、それなら……」
クルガフィカは自分の人さし指を軽くはんで何か小さくブツブツ言っていた。
途中でハッとした表情になり、あわてて目を泳がせてから、覆面にかくされたマカディオスの瞳に甘やかな視線をむけてくる。
「ねぇ……私は……マカディオスが人間でも気にしない……。ううん、こんなに強くて優しい人と巡り会えて……うれしいくらいなの!」
「大丈夫でぃすかっ!?」
丘の方からセティノアとダイナがやってくる。
マカディオスは深く安心する自分に気づいた。仲間と合流できてホッとするのはとうぜんだ。でも、それだけじゃない。
クルガフィカと二人きりでなくなったことにマカディオスは安心していた。
どうしてかはわからない。自分の心とはいえ、すみからすみまでお見とおしではないのだ。
「ふぃー、すごかったね。何があったの?」
クルガフィカは答えない。とうとうその藍の目に涙がうかび、細いノドからは嗚咽がもれ出す。
「こわかった……!」
「ギェッ!? ドゥアワワ……ッ、ど、どうしたというのでぃーすっ!?」
「うんうん、ゆっくりでいいからね」
ダイナはこの手の情緒不安定な同性のあつかいにはだいぶ慣れているもよう。さめざめ泣きはじめたクルガフィカに平然とよりそう。セティノアもあたふたしながら気づかっている。
「魔物狩りの教導者がかくれてやがったんだ。……オレ、見回りしてくる」
クルガフィカの対応を二人にまかせて、マカディオスは理由をつけてその場を後にした。
マカディオスは川下にむかう。川に飲みこまれた人間たちがいないかと。だれも見当たらない。
「お?」
先ほど投げ捨てた教導者の装備が落ちている。地の果てめがけて投げたつもりなのに、こんなところで見つかるなんて。砂に足をとられたせいだ。
「おーい! 生き残りの人ー! いるー? 本当にこれ持ってっちゃうぞ!」
いくらまてども返事はない。
迷ったすえにマカディオスはその装備を回収することにした。
「……ごめんな」
見回りから戻り、泣き止んだクルガフィカにこんな提案をする。
「クルガフィカ。オレらとウラ側に避難しねえか?」
「……水から離れられないの」
「そんなことか! タルでもバスタブでもかついできて、水ごとドバーンと安全な場所まで連れてってやるよ!」
「ありがとう……。でも私はオモテ側にいたいの」
「うーん、なんか訳アリ? ま、ムリに詮索はしないけど。まだここにいる気なら川の近くにかんたんなワナでもしかけてあげよっか? 足引っかかると音が出るヤツ」
「ううん、平気」
ダイナの申し出は優しく断られる。
「セティたちは一度ウラに戻りますが……本当に良いのでぃすね? 危なくなったらどうか上手く逃げてくださいね」
「ええ、そうする」
心配そうなセティノアの最終確認に気弱そうな笑顔でうなずく。
クルガフィカを気にかけながらも三人が川から離れていくと、こう呼び止められた。
「ねぇ……せっかく出会えたけれど、私たち、いつまでもいっしょにはいられないでしょう? だから、贈りものをわたしたいの。……次の満月の日にまたここにきてくれる?」
魔女の屋敷のリビングには無気力にぐだぐだする三人がいた。
クルガフィカを置き去りにして正解だったのか。正答の教導者がまたやってきたらどうするのだろう。やはり身を守るために人間を川に引きずりこむのだろうか。
マカディオスは正答の教導者の装備を回収したことをハッと思い出す。テーブルの上にひろったものを広げると、それまでぼんやりした顔でソファやイスにもたれていた二人も身を起こしてのぞきこむ。
「このゴテゴテとした真鍮色の機械! 教導者の持ち物でぃすの? すごい収穫でぃすわ」
「かっぱらったの? やるねぇ」
「そうじゃねえよ! ……いや、そうなのかな……。わかんねえ……」
消え入りそうな声で、力なくうつむいた。
セティノアとダイナは大勢の教導者が水にのまれるあの場面を見ていない。ただ、マカディオスの反応から二人は何か感じ取るものがあったらしい。
ソファにいたセティノアはだまってマカディオスのそばにきて、その腕をやさしくなでた。
だらけた姿勢でいたダイナはきちんとイスに座り直し、小さな姉と大きな弟を静かに見守る。
気持ちの整理をつけた後、この道具をどうあつかうか相談する。細長い楕円形、これは空の魔封器。金属製の耳当てのような装置もある。
「どんなものか調べるにしても、よくわからない機械を勘でいじくり回すのってこわくねーでぃすか? セティはごめんでぃすよ」
「私は見たい」
ダイナが教導者製の耳当てをひょいとつまみあげた。
セティノアとマカディオスは棚の陰にかくれた。……マカディオスは体が大きすぎてほとんど意味がなかったけれど。
「変にいじって、ばっ、爆発したらどうするのでぃす!?」
「ダイナ! 危ねえって!!」
二人でワーギャー騒いでもダイナはのんきなものだ。金属製の耳当てを頭からはずした。
「だいたいわかった。たぶんこれは防音目的の道具じゃないかなぁ。それも声だけ遮断する機能がついてる」
ダイナはイスから立ち上がり、しゃべりながら部屋をうろうろしはじめた。
「二人がドタバタする音はクリアに聞こえたけど声だけカットされてた。どういう仕組みだろ? 外部の音を分析して声だけ相殺する音を流してんのかな?」
教導者同士の連絡は、口元の小さな装置で声をひろって聞こえるようにしているのかもしれない。回収した耳当てが一つしかないので実験して確認することはできないが。
「き、危険なものではないようでぃすわね」
セティノアははずかしそうにそそくさとソファに戻っていった。
「声……。クルガフィカの歌でオレらおぼれかけたよな。歌対策にそういう装置を用意したっつーことか?」
マカディオスとセティノアの表情をうかがってから、壁にもたれたダイナが淡々とした声でつぶやいた。
「……初見殺しソングをメタった道具か。正答の教導者は何度かクルガフィカと戦ってるみたいだね」
立ったまま少し背を丸め腕を組んだ。
「人員や武装には限りがある。正答の教導者だって放っておいても無害な魔物をここまで熱心に追いまわしたりしないよ」
直接的な表現こそ避けてはいるが、ダイナが内心にいだいた疑念をマカディオスとセティノアも感じ取った。
「正答の教導者は魔物を閉じこめて利用してますよね? 有用な能力目当てでクルガフィカがつけねらわれている、って可能性はねーでぃしょうか?」
「……いや。教導者はクルガフィカをつかまえる気はねえよ。バリバリ倒すつもりだ」
教導者が心臓をねらって攻撃してくるのだと、本人が口にしていた。捕獲目的ならそうはしない。やはり教導者はクルガフィカを討伐すべく組織として力を尽くしている。
重苦しい部屋の空気、特にマカディオスの落ちこみようを見かねて、ダイナが別の視点を投じた。セティノアのいるソファにお尻をわりこませて自分も腰かけると、こう明るく言ってのける。
「あくまでも正答の教導者と深刻に敵対してるっぽいってだけで、べつにあの子が私たちの敵だーって決まったわけじゃないんだし?」
「せめてオモテへのこだわりをすててウラにきてくれると、これ以上争いがおきずにすみそうでぃすのに」
まったくそのとおり。マカディオスは腕組みをして激しく首をブンブン上下させた。
「あと、これさ。スイッチ入れて作動したってことはさ、機械のどこかに魔物が動力として閉じこめられてるんだっけ? どうする? 私もさすがに未知の機械を分解して魔物を救い出せる自信にゃいけど」
「オレお得意の力ずくとか一番やっちゃまずい方法だろうしな」
「この屋敷の中でそういうのにくわしそうなのはフィーヘンでぃしょうか?」
眼鏡をかけて本を読みまくっていて、素材が足りず停滞気味とはいえ何かの研究に没頭している魔女だ。ものしりそうだ。
「あとウラには魔物が自分の魔法の力で動かせる便利な道具が色々あるだろ? 魔物の道具職人さんの腕前ならどうにかできねえかな?」
「いっそ正答の教導者出身の魔物がいれば楽なのにー」
機械の中に封じられた魔物についてフィーヘンにもしらせておいた。今すぐにどうこうはできないが手を貸すといってくれた。
教導者の道具を管理する役目は、ひとまず人間のダイナが引き受ける。
固く閉ざされたドアをマカディオスは辛抱強く丁寧にノックした。
「マカディオス……また遊びのさそいですか? 僕はBBQも水遊びも野外カラオケ大会もしないって何度もいって……」
ヨトゥクルが顔を出せばしめたもの。
仁王立ちからの流れるようなフォームでかがみ、おねだりポーズを見せつけてやる。
「たのむっ! 協力してくれい! お願いだよお!」
「え、何……」
「クルガフィカのことでお願いがあんだよ」
名前を出せばつうじる。オモテ側でどんなできごとがあったのか、魔女の屋敷に帰ってくるたびにヨトゥクルに話していたから。
「あぁ、例の歌が上手いっていう……。演奏会もお断りです」
「ちげえよ! クルガフィカをウラの安全な場所に連れてきたいんだよ。でも本人はオモテに留まろうとしてて……。ヨトゥクルはつい最近オモテからウラにやってきたばっかだろ? ヨトゥクルなら説得できるんじゃねえかと思ってよ」
重たいため息。
「……悪いけど力になれませんよ。僕なんかの言葉がだれかの心を動かせるとは思えないので」
つい感心するくらいヨトゥクルは安定してネガティブだ。
「失敗した時の責任がとれない。そんな重要な役目を僕ごときに依頼されても困るだけです。おたがいの不利益にしかなりません」
「わかった。説得はオレがする。ただ、ちょっとヨトゥクルにサポートしてもらいてえ部分があってよ。その話は聞いてくれる?」
「お世話になってますし多少の手伝いであれば、まぁ……」
「ありがてえ! 今回けっこう踏みこんだ話になりそうなんだ。んで、オレはわりと単純で、クルガフィカはすぐおどろいたり泣いたりする性質ときてる。こう、会話中にぐわっと気持ちが波だった時にセティノア以外にも場を落ち着かせる人がいてくれるとすんごく助かる」
ここで必殺技だ。デカい体をかがめて上目遣いを意識して、お手々をあごの前でかわいくにぎりあわせる。
でもヨトゥクルは視線を床にむけ黙考中で、マカディオスの最強お願いポーズを見ていてくれなかったのである。
「あぁ……。たしかにセティノアだけでは負担が大きい。ダイナはいつもてきとうですからね」
うつむいていた犬顔の長い鼻先がすっと上をむく。
「……いいですよ。ずっと助けてもらってばかりの立場でいるのも心苦しいですし」
「おおーっ! 来てくれるか! ヨトゥクルはやっぱり良いヤツだな! マジでうれしい!」
「ぐえ」
持つべきものは友だちだ。
感極まってヨトゥクルを力強くぎゅごっとハグした。




