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農機整備士の異世界開拓ライフ  作者: ミャーク
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#8帰宅2

さて、次はトイレと風呂だな。トイレはボットン便所だったら嫌だな…そもそもこの世界には風呂という文化はあるのだろうか?宿でも体を拭くだけだったし風呂という文化はないのかもしれない。

初めて家を見て回った時トイレや風呂場の様は見られなかった。もしかして野外なのか?そう言えばキッチンの隣に裏口のようなものがあったな。裏はまだ見てないし確認してみよう。

玄関とは違い鍵穴はなく、内側から簡単な横木で留めてある。所謂閂を外し裏庭へと出る。


「おおー……めっちゃ広いな。雑草が生えてるけどあれは畑だよな?家庭菜園にはちょうどいいサイズ。バンカーさんもちょっと作物を作ってたみたいだな」


畑のサイズはおそらく2畝(60坪)位で、近くには物置小屋もあり、中には鍬や鎌、熊手スコップ等様々な道具が収納されていた。しかも驚いたことに全て魔道農具であった。店で見たように宝石、魔石が嵌め込まれているがランクが何になるかまでは判別できない。今後使う機会もあるだろうからこれは有難く貰っておこう。

そして問題のトイレは家に併設されていて、ボットン便所のような感じがするがあの独特の香りがしない。暫く機能を考えていると、どうやら糞尿を肥料へと変える装置が着いているようで、発酵が終了すれば自動的に貯蔵箱へと送られるようだった。牛糞や鶏糞とも違う独特な香りがする。多分人間は肉も野菜も食べる雑食動物だからこんな香りになるんだろう。俺一人分では微々たる効果しかないだろうが、貯蔵しておいてある程度溜まったら使うとしよう。

そして、やはりというか風呂は無かった。残念な気持ちになったが変わりに大容量の貯水タンクがあり、魔石がはめ込まれているところを見ると何かしらの効果が施されていると思う。

俺的には浄化装置だとありがたいんだけどな。使い方も分からないから今度農畜具専門ファマーのドワーフに鑑定を依頼しよう。取り敢えずそれまでは手持ちの水で乗り切ろう。

水があることがわかったから風呂も後で作るとしよう。幸い裏庭、というか裏林は大量に木々が生い茂っている。

これらを買ってきたウィザーウッドを使って材木にすれば建材には事欠かない。


「思ったよりも高水準の生活が出来そうだ。自給自足スローライフ、少し憧れてたからワクワクしてきたぜ」


裏の様子は確認できた。トイレに行くまでの道中には屋根がないから、雨の日には苦労しそうだし建材が確保出来たらこっちも作ってしまおう。


室内へと戻りベットの準備をする。まだ時間は16時前くらい、1時間でもいいから寝具を天日干ししてしまおう。

部屋の一室にベットがあり、掛け布団とマットレスがあったから玄関から出して日に向かって干す。

これで、ベットの準備は大丈夫。次はキッチン周りを確認だな。

キッチンはガレージから出てきてすぐ左手の壁沿いに設置されていた。左から流し台、調理台、二口かまどの順で設置されている。調理台と流し台の下には収納スペースがあり、包丁やまな板食器類が数種類置かれていた。

そして、収納スペースの一角は扉を開けるとマジックバックと同じ様に拡張空間になっていて驚いたことに氷も入っていた。他にも肉や野菜が数種類。畑の魔導農具にしろ、このマジック収納スペース、勝手に名付けたがーーーこれはかなりいい家を頂いた事になる。本当に感謝しかないな。

買い物してきた食べ物類をマジック収納スペースへと移動する。恐らく肉や氷の状態を見るに時間停止の魔法が付与されていると思う。新鮮さを失わずに保管できるのは有難いな。今気がついたがマジックバックと違い、マジック収納スペースには内容物を表示する機能があり、扉の内側に何が収納されているのか分かるようになっていた。


「収納は完了っと。まだ日はあるしマットレスをもう少し干してる間に、食器類洗って軽く掃き掃除しておこう」


部屋の中の窓や扉を全て開け、壁にかけてあった布はたきで上から順にホコリを落とし、箒で掃き掃除を行った。モップもあったから少しもったいないけど買ってきた水を使い拭き掃除をする。

窓も拭いたし、テーブルや椅子も拭いた。食器も洗ったし大雑把ではあるが掃除は完了。住むには充分な環境にはなっただろう。今の季節ぐらいなら日の傾き的に6時前ぐらいだろうか。ちょうど夕焼け空になっている。干してあったマットレスと掛け布団を軽く叩いてホコリを落とし、寝室へと運び入れた。これで寝る準備も完了した。

次は夕飯に取り掛かる。買ってきた卵やオクラ、収納スペースに予め入っていた肉を使い簡単な料理にする。男の一人飯って多分みんなサッと準備出来るものばっかり食べてると思う。もしくはコンビニだな。家の周囲はまだ探索してないけど、近くに集落がある感じはしないから自炊は必須だろうな。

夕飯を食べ終え食器類を洗い、片付けを済ますと日はすっかり落ちていた。


「やることが無い……暇すぎる」


現代文化にどっぷり浸かった生活をしてきた為、手持ち無沙汰過ぎてどうしようもない。せめてスマホの電源があればな…

スマホやテレビ、ラジオ、雑誌に漫画にゲームとにかく娯楽に困ることは無かったからこういう時どうしていいかわからなくなるな。


「そうだ、せっかくだしガレージにある道具の確認でもするか。草刈機とかは明日使わないといけないだろうし」


ロウソク1本に火をつけガレージへと向かう。ロウソクの明かりだけでは光量が足りない。確か工具箱にバッテリー式の作業灯が2灯入ってたはず……よし、2つともあるな。マグネットが付いており、角度が何段階か変えることが出来る作業灯で、光量を最大にすればかなりの明るさになる。2つとも点灯させれば作業には十分な明るさだ。

小型トラクターに角度を合わせて取り付け、周りを確認する。やはり、俺が作業していたままの配置で転移されており地面に置いてある工具の位置まで一切変わらなかった。

取り敢えず、工具をキャビネットに片付けながら内容物を確認する。

キャビネットの中には工具やボルト、ネジ、ベアリング、釘、等など細かいものまで含めると色々なものが詰め込まれていた。こうやって見ると工具の引き出し以外は結構ゴチャゴチャしてるな。まぁー今となってはネジの1本でも有難いけどね。キャビネットの確認は終了。その他にも草刈機、背負い噴霧器、動力噴霧機、混合燃料6L、軽油40L、ガソリン20L修理中の耕運機、チェーンソー、etc……4m範囲って結構色々なものがあったんだな。どれもこれも今となっては手に入らない貴重品。大事に使おう。

明日の草刈作業と除草作業に向け刈払機と背負い噴霧器の調子を見る。まずは刈払機に混合燃料を入れチョークを下ろし、上死点を確認してからリコイルの紐を勢いよく引く。2回ほど引っ張ると元気にエンジンがスタートした。少し暖気した後に、チョークを戻しハンドルを握りアクセルをあげる。徐々にエンジン回転数が上がり、それと伴って歯も回転し始めた。大丈夫そうだな。同じ手順で噴霧器も確認したがこちらも問題なし。本当なら持ち主のところでまた活躍するはずだったが、非常事態につき俺の元でその力を振るってもらおう。持ち主方、すみません。そしてありがとうございます。心の中で手を合わす。

なんだかんだ作業をしていたら、いい感じに時間と眠気がやってきた。明日は日が昇ると共に朝食を食べて、涼しいうちに草刈り業務を行うとしよう。

そうして、俺は初めて自宅で眠りについたのだった。

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