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農機整備士の異世界開拓ライフ  作者: ミャーク
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#6今後の段取り

商業区を歩き続けて昼ごはんを食べたジャンミートまで戻ってきた。夜は居酒屋として営業しているらしく、店の中は仕事終わりの客や旅商人と言った感じの客でごった返していた。どこの世界でも変わらず仕事終わりの酒は美味いらしく、皆次々とジョッキを口へ運ぶ。


「昼飯も美味かったし、ディナーも期待できそうだ。何よりあんなに美味そうに飲んでるの見たら我慢できねーよな...」


俺は店内へと入り、テーブル席は埋まっていたのでカウンターへと腰掛ける。昼間も感じたが妙に視線を感じるな。知り合いを見る目ってよりは珍しいやつを見てる感じだ。

とりあえず食事を頼むため店員を探す。昼間の店員は居ないようで、男性のウェイトレスが2人と女性が2人の計4人で給仕をこなしてるようだった。


「いらっしゃい!兄さん1人かい?うちは初めてだよな?」


カウンター越しに貫禄のある中年男性店員が話しかけてきた。接客業をやっているだけあって、よく通る声と柔らかな喋り方で好感が持てる。


「実はこの街で初めてのお昼もここで頂いたんですけど、美味しかったので夜もお邪魔しました」

「そうだったのか、ありがとよ!確かに兄ちゃんみたいな身なりはこの辺では見ないから、すぐ旅人だとわかったがな。うちは夜は酒場として営業してるから、酒に合うメニューも多いぜ。俺のおすすめはツマミ5種盛りだな。日替わりで5品の料理が食べられるから初めてならこれ選んどきゃー間違いないぜーお代は鉄貨7枚な」


成程、良く考えれば俺の今の服装は青色のツナギだ。確かに街を歩いていて俺と同じ服装の人は1人も居なかったな...。ちょっと恥ずかしいかも。でもほかに着る服もなし、とにかく今は飯だ!


「それいいですね!自分は結構メニューみて迷うタイプなんでそのおすすめでお願いします!あと、ここに置いてる酒はどんなのがあるんですか?」

「ウチはエールと葡萄酒が中心なんだが、あとはちょっと変わり種の酒でパンジャ酒なんてのもあるぜ!パンジャ酒は遠い東の国原産で、エールと葡萄酒とは違って透き通るような透明度ながら、芳醇な穀物の香りとほのかな甘みが味わえる酒なんだ。輸送の問題で値は張るがなかなかの人気商品だぜ?兄ちゃんも試してみな!」

「お酒もパンジャ酒でお願いします」


折角なら限定品的なのがいいよね!だってエールと葡萄酒ならいつでも飲めそうだし。エールと葡萄酒が鉄貨3に対してパンジャ酒は鉄貨7枚はするけど、とりあえず一息つきたいしちょっとした記念的な意味で少し高めの酒にした。

待つこと5分程度、パンジャ酒とツマミ5種盛りが運ばれてきた。缶コーヒーサイズのグラスに注がれているパンジャ酒は水のような透明度で、確かに穀物、米のような香りがする。この見た目でこの香り、まさか.......。

俺は期待を胸にパンジャを口へと運ぶ。


「くぅー!この少し強めの度数に鼻に抜ける香り、間違いない!日本酒だわ!」


まさかこの世界で日本酒が飲めるとはね。まぁー厳密には違うだろうけど味と風味は正しくそれですね。もしかして、原材料は米なんじゃないんだろうか?米があるならかなり嬉しい。

酒を楽しんだあとはツマミに手を伸ばす。少し大きめの皿に、5種のツマミが盛られていて、それぞれ肉の炒め物、サラダ、ナッツ類、ピザのような物、ポテトフライの様だ。1人でしっぽり飲むなら十分な量だな。昼ごはん同様にこのツマミたちもかなり美味い。店の繁盛ぶりから人気店なのも頷ける。

一通り食べて、ほろ酔いになってきた頃、カウンターの店員さんが話しかけてきた。


「兄ちゃん他に注文はないかい?」

「そうですね。それじゃパンジャ酒をお願いします。あと、シメに良さそうな料理は無いですか?」

「そうだな、うちならニンニクとブラックペッパーで味付けした厚切りベーコンのサンドイッチがオススメだぜ」

「じゃあそれでお願いします!あと、この辺で宿泊できるところはないですかね?出来たら朝ごはん付きの所がいいんですけど?」

「それならウチの店も民宿として営業してるぜ。2階と3階が宿になってて1泊銀貨5枚だ。相場としてはちと高いが朝食付きだぜ?」


1泊銀貨5枚、日本の貨幣価値的には5000円くらいか。あっちだと安い部類に入ると思うが、ここだと確かに割高感はあるな。でも、ここの料理は美味いし、朝食にも期待できそうだからそのままここに泊まろう。

俺は泊まる意志を伝え、宿代と夕食代を支払い料理と部屋の鍵が運ばれてくるのを待つ。

取り敢えず、明日は他の食材も買いながら昼前には家に戻る段取りで行こう。購入したウィザーウッドを使って畑にするための土地に生えてる樹木を撤去するか。

店員の話が本当なら1日経てば乾燥させたように水分が抜けるみたいだから、多分トラクターで引っ張れば抜けるだろう。そうすれば、土の状態にもよるけど運が良ければそのままロータリーで耕せるはずだ。

そんなことを考えていると店員が酒とサンドイッチ、部屋の鍵を持ってきた。


「兄ちゃんの部屋は2回の205号室だ。朝食は朝の6時からは準備されてるから、この店まで降りてきてくれ。あと、部屋の鍵を持ってこないと朝食は食べれないようになってるから鍵は忘れずに頼む」

「分かりました。ありがとうございます」


鍵を貰いツナギの胸ポケットへとしまう。そのまま酒と厚切りベーコンのサンドイッチを口へと運ぶ。厚切りだけあってかなりの肉厚で、表面はカリッと中はジューシーでかぶりついた瞬間にニンニク風味がしっかりと着いた肉汁が口の中へと溢れ出す。ベーコンだけではくどいだろうが、ブランパンと一緒に挟まれたレタスのような葉野菜が味を上手く調整してかなり美味しい。

シメとして頼んだが、酒を飲み切る前に平らげてしまった。今度来たらちゃんと酒を飲み干した後に頼むことにしよう。

食事を終えて店内奥にある階段から2階へと上がる。部屋は廊下を挟んで両サイドにあり全部で10部屋あり、俺の部屋は進んで突き当たり左側の部屋だった。受け取った鍵で部屋へと入る。中は素泊まり用のワンルームトイレ風呂なし。なんと言うかこの辺はやはり、想像通りの文明相応なのだなとちょっと残念な気持ちになった。


「ま、寝れるところと金が手に入ったんだ。取り敢えず今日は色々あって疲れた。細かいことは明日考えよう」


酒を飲んでいたこともあり俺はすぐに眠りに落ちた。







翌朝。思いの外かなり熟睡していたようで、窓から漏れ出る陽の光で目が覚めた。そのままベットから起き上がり窓を開ける。眩い光と仕事や学校?に向かう人々の喧騒がより一層の強く感じられた。日の傾きと光の強さ的には多分7時から8時位。久々に寝坊したようで少し罪悪感が芽生える。


「まっ、仕事がある訳でもないし朝飯食べてから今日の段取り考えよ」


昨日の夜は気が付かなかったが、洗面台が設けられており水の入った容器が2つとハンドタオルが2つ用意されていた。

顔を洗った後、折角なので軽めに体を濡れタオルで拭いておく。欲を言えば風呂に入りたいが、拭いただけでもだいぶスッキリできた。

身なりを整え、荷物を持ち部屋を出る。1階へ朝食を食べるために降りると、思ったよりも人が居り何かビジネスホテルの朝食風景を思い出した。


「おはようございます。朝食になさいますか?それでしたら部屋の鍵を拝見致します」

「おはようございます。朝食を食べた後にそのままチェックアウト...出発したいのですが何か手続きは必要ですか?」

「左様でございますか。それでしたらこのままで結構ですよ。朝食を食べてそのままホテルを出ていただいて結構です。空いている席でお待ちください」


俺は昨日の夜と同様にカウンターに腰掛ける。しばらくすると朝食が運ばれてきた。朝はさすがに肉肉しくはないが、ボリュームたっぷりで気合いが入りそうな盛りつけであった。食べ進めながら、食料の買い出しと今後について考える。

取り敢えず、何か燃料のようなものは必要だよな。薪は裏の森から手に入るとして、例えば軽油やガソリンのようなものは有るんだろうか?あとは、着火剤的なものも必要だろう。服やタオルも必要だよな。昼には戻りたいから早めに行動することにしよう。

俺は朝ごはんを早めに切り上げ、まだ人通りの少ない商業区へと繰り出した。

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