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農機整備士の異世界開拓ライフ  作者: ミャーク
42/52

#42チェーンソーと内燃機関

更新遅くなって申し訳ないです!本職の方が忙しく執筆遅れてました…。今回の話も楽しんで頂けたら幸いですm(*_ _)m


誤字脱字指摘ありがとうございます!拙い文章なので助かってます!今後もよろしくお願いします(*^^*)

ギルドから出る時に時間を確認すると正午を少し回った所だった。宿に戻って銀音を確認してから昼ごはんにしよう。


「はてさて、どうなってるかなー?ーーー銀音入るぞ〜」

「タクミ様ですか。どうぞ入ってください」


俺は扉の前で声をかけて入室する。起きていたのかベッドには居らず、カーテンが開けられていて日光が差し込んでいた。

なんだ大丈夫そうじゃーーー!?


「ちょっ!?何で半裸なんだよ!?」

「着替えをしていたもので」

「それならそうと言ってくれ…俺は外に出てるから着替えが済んだら声掛けて」


全く…羞恥心とか無いのか?むしろ見せたがっているのか?目の保養ーーーもとい精神衛生上良くないからやめて欲しいよ。

着替えが終わったとのことで入室しベッドへ腰掛ける。体調はどうか聞くと、まだ少しダルさはあるものの朝イチに比べたらだいぶ良くなったとの事。昼食は食べられそうなのでランチに出掛けることにした。その後はモーズさんの所へチェーンソーを渡しに行く手筈になっている。

二日酔いの時はラーメンみたいな汁物が物凄く美味しいいんだよな。パッと見た感じ麺類はなかったから、別の汁物を探すか。




昼食を食べ終えモーズさんの所へ向かう。俺はオニオンスープとぺーコンエッグパン付きのどちらかと言うとモーニングに近い昼食メニューにした。銀音はあまり食欲がないとの事で、所謂焼肉定食(野菜多め)を食べていた。これで食欲がないのかよ、とちょっと呆れてしまったが。

歩いて数分後目的地農畜具専門ファマーへ着いた。早速店内へと入る。


「こんにちはー!」

「おう!工場長じゃねーか!噂は耳に入ってるぜ。街を救ってくれてありがとよ!」

「え!?そんなに噂広がってるんですか?」

「そりゃーAランクの魔物を討伐したってなりゃー噂にならねーはずねーだろ?“白銀”の嬢ちゃんもありがとな!」


銀音は状況が分からないようで、“白銀?”と呟いて小首を傾げている。俺はギルドで聞いた話を要約して伝えた。


「成程、つまりタクミ様と私は二つ名持ち、名の知れた冒険者になったという事ですね?」

「まぁーそうだね。別に有名になりたくなかったけどさ」

「ランクも約束通りBまで昇格しましたし、これから色々と忙しくなりそうですね。両断のコウダですか…とても強そうでタクミ様に似合の二つ名です」

「そうかな?俺は農家として成功したいんであって、冒険者として有名になりたい訳では無いんだけど…成功するまでは仕方ないのかも」

「ほう!工場長Bランク冒険者になったのか!そいつは都合がいいな!今度指名で鉱石の採集依頼なんかも出させて貰うぜ!今の冒険者は昔みたいになんでも貪欲にクエストをこなす感じじゃねーからな。その点、街を救ってくれた工場長と白銀の嬢ちゃんなら信頼もできるし、頼りにさせてもらうぜ?」

「さっきも言いましたが、あくまでも農家になる為ですからね?都合のつく限りは受けさせてもらいます」


これは…ちょっと考えないといけないな。気候と天気、作物にもよるが平均4日ほどなら水をやらなくても大丈夫だが、それ以上になるとリスクが出てくる。作物を相手にしている以上あまり農地を放っておきたくないんだが…。

期間が必要な依頼だったら考えさせてもらおう。


「えーっと、その話は置いといて。なるべく早い方がいいと思って、貸し出しの遅れていたチェーンソーを持ってきたんですよ。整備も終わってるので直ぐに使えます」

「おー!そりゃ助かるぜ。ちょうど今日は急ぎの仕事もなくてな。店を閉めるから皆にチェーンソーの原理を教えて貰っていいか?」

「了解です!大丈夫ですよ」


という事で、前回試し斬りをした工房に移動し講習会を開くことになった。農機整備士をしてた時お客さん向けにセルフメンテナンス講習会を開いていたのを思い出すな。農機具の安全な取り扱い方や日常点検などなど、お客さんで出来ることをしてもらい道具を長く安全に使ってもらうために開いていた。実際セルフメンテをするだけで購入後のランニングコストが大幅に変わってくる。少しの手間で必要のない出費を減らすことで農家さんは儲かるはずだ。


「えー皆集まったみたいだな。以前から話していたコウダ工場長の農機具、チェーンソーについての講習会を開きたいと思う。勿論講師は工場長だ。皆、コウダさんに挨拶!

「「「よろしくお願いします!!!」」」

「今回の講習でチェーンソーはなにか?どのように動いているのか?などなど事細かに理解してもらう。ちらっと話したこともあるかもしれないが、チェーンソーの量産品をうちで開発、販売する事を計画している。皆気合を入れて取り組むようにーーーそれじゃコウダ工場長早速頼む」


なんか農家さん相手の講習会とは違って緊張感があるな…。人数も30人くらいいるし、中にはこの前チェーンソー見に来てた人達もチラチラ。もちろんモーティーさんも居る。皆職人特有のギラギラした目をしてるし、俺も気合い入れて講義しないとな。


「初めまして、農家を目指しているコウダと言います。前職が機械の整備販売を行っていたので、モーズさんには工場長って呼ばれてます。出来るだけ分かりやすく伝えるつもりですが、分からないことがあればその都度質問して下さい。皆で理解を深めていい製品を造りましょう!それでは始めます」


俺は準備してもらった黒板を用いて、まずチェーンソーとは何ぞや?から始める。この機械は動力として魔素を一切使っていない事を伝えると皆驚いていた。魔素について俺は詳しくないが、これだけの出力を得るのに相当な魔素を練り上げないといけないらしい。それに魔石に役割となる術式を刻み駆動部や強化部位には電気回路の様な魔力を伝達する経路も設けないといけない様だ。

他にも魔導と魔法の違いは同じ事象を発生させるのに、魔法は魔法適性と呪文が必要なのに対し、魔導は魔石に刻まれた術式に必要魔素を練り上げるだけで良い。しかし、魔石にはひとつの役割しか刻むことが出来ず、魔石単体で発動すると術者にも影響が及ぶため、必ず杖や剣など媒体を必要とする様だ。魔素を練り上げることが出来れば誰でも同じ効果を得られ、詠唱も必要としないため簡単な事象なら魔導の方がいいみたい。


「恐らくこれだけの仕事をこなせる魔導具を作るとなると最低でもCランク級の魔石が必要になる筈だ。欲を言えばBランクは欲しい」

「そうだな…それに単純に動かすだけでも必要とする魔石は2つ、1つはソーチェーン?だったか、あれを回転させるための動力として、もう1つはモーティーが作った強化の為に必要だな。魔導で同じことをしたとして、チェーンソーを使うとなると中級程度の魔力が扱えないと実用性は無いな」

「それを考えると魔素を使わずあれだけの出力が得られるというのはメリットでしかないぞ!しかも、コウダ工場長の話によれば大型化もできるって話だ。実用化出来れば様々な分野で魔法や魔導に取って代わる技術じゃないか?」


さすが職人ちょろっと原理を説明しただけで次から次へと

アイディアが出てくる。確かに便利そうには感じるだろうが、ここでデメリットがひとつあることを伝える。


「いい事ばかりに感じるとは思いますが、魔導と違い使用後のメンテナンスや燃料が尽きたら動かない、エンジンオイルの管理等、ユーザーでやらなければならないことも多いのです。あとは騒音や排ガスによる公害問題等解決しなければならないことも沢山ありますね。デメリットもあるのでそこら辺をどう解決するかも考えていきましょう」


ざっと思いつく限りのデメリットを上げてみたが、むしろ喜んでいるようにも見えるな。難問にぶつかった時の職人たちがキラキラするのはどこの世界も同じだな。


「それならクリーンストーンとサウンドイーターの魔導付与で解決できるんじゃないかな?あとは、そのエンジンオイルって俺らが切削で使ってるオイルではダメ?」

「モーティーさんが言う切削オイルがどんなものかは分からないのですが、オイルには役割があってですね、潤滑以外にも冷却や洗浄など色々あるんです。今回僕の出身地から小量ですが持ってきたオイルを提供しますので、これを分析して頂いて再現していただきたいのですーーー」


その後も内燃機関とは何ぞや?ボラタイルオイルとライトオイルの特性、チェーンソー各部の構造やばらし方等など気がつけば日が落ちるまで続けていた。


「と、まぁざっくりですがこんな感じですね。何か疑問点ある方居ますか?」

「ふむ、あるにはあるがこれは実際に制作を始めながらじゃねーと分からないことだな。それにみな考えをまとめる時間も必要だろう。という事で今日はこの辺にして、街を救ってくれた英雄に講義とチェーンソーを提供してくれたお礼で宴を開始だ!」

「「「うぉぉぉおおお!!!」」」


モーズさんの一言でみんな机や椅子やらを組み直して、どこで準備してたのやら酒やら食べ物なんかがどんどん運ばれてきた。この辺はさすがドワーフと言うべきか、というか職人というか技術者は皆こんな感じの人たちな気がするな。かくいう俺もこんなノリの飲み会は嫌いじゃない。むしろ元の世界では仕掛けていた側だ。

あっという間に準備は終わり、皆片手にはジョッキを持っている。


「準備は整ったようだな!今日この街があるのも両断の工場長の白銀の嬢ちゃんのおかげだ。それに今日の講習会、皆聞いて分かったと思うが遠い異国の技術だ。だが理解できない訳じゃない!俺たちが工場長と組んで形にするぞ!今日は飲んで騒いで、工場長達との親睦を深めるぞ!乾杯!!!」

「「「カンパーイ!!!」」」


そこからは飲めや歌えやの大宴。最初はまだ二日酔いが抜けなくて渋っていた銀音も、ドワーフ達の"飲んだら治る"に押し負けて飲み始め、1時間後には案の定はっちゃけていたよ…。元職場みたいな雰囲気でついつい酒が進む。皆で様々な話をして大いに盛り上がり夜は更けていった。

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