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農機整備士の異世界開拓ライフ  作者: ミャーク
34/53

#34討伐開始

翌朝。昨日の夜は今日に備えてしっかりと休養を取った。寝坊しないために早めに食事を取り、少し酒を飲んで眠りについた。ほろ酔いくらいで眠ったが、逆にそれが良かったようで夜中に大雨が降っていたのにも気が付かないくらい熟睡出来た。


「朝食を食べたら早速冒険者ギルドへ向かおう」

「戦闘があるかもしれないので、気合を入れるためにもステーキにしましょう!」

「大丈夫じゃないか?チームも戦力に余裕を持って編成してるんだし。朝からステーキかーちょっと重いから俺はベーコンエッグにしとくよ」


食堂へと降りてステーキとベーコンエッグを頼む。意外なことにここの宿に泊まる客は、朝からステーキを頼む人が多いようだ。ステーキと言っても150g程度と軽めだから朝からでも調度良いのかもしれない。雪音もペロリと平らげてしまった。俺もさっと食事を済ませ、冒険者ギルドへ向かう。


「おはようございます。どうやら俺たちが最後みたいですね」

「コウダ様おはようございます。これで全メンバーが揃いましたね。それでは早速作戦会議をしますので皆さん、2階大会議室へと移動よろしくお願いします」


2階へと移動しそれぞれ割り当てられた席に座る。メンバーは全部で19人。俺と銀音に領主様とギルド長。冒険者?の風貌をしている人たちが9人、甲冑を着ているのが多分騎士団で3人。そして役場の総合窓口にいた何時もの女性と多分ギルドから来た補助役の人、あと一人は分からん。見た目的には冒険者の様だが。


「皆さん今回は討伐に参加いただきありがとうごさいます。簡単にではありますがそれぞれを紹介させて頂きます。まず、ケーンブーズ領主アルフォンス・デ・ケーンブーズ伯爵、次に冒険者ギルドメビウス・リーデンスギルド長ーーー」


といった感じでそれぞれの紹介が始まる。冒険者達はそれぞれのパティーのリーダーが参加していて、パティー名と名前を紹介されていたが1度に言われても覚えらないな。騎士団は騎士団長のニコライさんだけを紹介していたのて1人だけなら覚えている。最後に紹介されていた人は斥候部隊の部隊長ラウールさん。こんかいミノタウロスの所在を突き止めてくれた立役者だ。


「先ずは今回の討伐に参加して頂いたこと、ケーンブーズ領主として感謝します。早速ですが、斥候部隊が特定したミノタウロス4体の所在を机の地図上に示してあります。因みにですが、ピンクのピンが刺さっている東の先に発見されたミノタウロスは事前に討伐隊に参加しているコウダさんが討伐済みなので残りは三体です。今回のミノタウロス発生がわかったのもコウダさんが事前に情報を掴んでくれたおかげです」


アルフォンス様がそう紹介したせいで、周りの視線が一気に俺たちに集中してしまった。とても気まずい。冒険者の1人が手を上げる。


「すみません。話の途中で申し訳ないんですが、コウダさん?、は冒険者に登録したのはここ最近らしいっすよね?正直ぽっと出の人間が実力者だとか信じられないんですがねー?たまたま運が重なって討伐できたんじゃないんですか?見た目もとても戦闘ができそうには見えねーし、変な格好だし」


冒険者の1人、確かBラクンパティーだったか?名前までは思い出せないが、ちょっと小馬鹿にしたような口調でそう行ってきた。確かにぽっと出で実力者とか言われても本職からしたら信じられないかもしれないな。俺も農業機械整備って仕事上、自動車整備とか建機整備から転職してくるってことが結構あって警戒したもんだ。エンジンとかミッション駆動、油圧装置に関しての知識はあっても、全てが通じる訳でも最初から作業機が何を目的とした製品なのかは分かるはずもない。それなのに最初からマウント取ってくるやつは厄介だ。幸い俺がいる間に入社した年上後輩は、人間味のある職人気質のある人達だったのでとてもやりやすかった。

俺が上手いことこの場を納めようと口を開きかけた瞬間、銀音が机を殴りつけ真っ二つにしてしまった。


「ーーー私の主であるタクミ様を侮辱するのは許しません。私1人でも貴方位簡単に八裂に出来るのですよ」

「ゆっ、銀音落ち着いて!俺は気にしてないから!皆さんもすみません!アルフォンス様机は弁償しますので本当にすみません!」

「いっいえ、構いませんよーーー。皆さん。見てお分かりの様に銀音さんだけでもこれだけの実力があり、同じパティーのコウダさんもそれ以上の実力だとか。ちなみにコウダさんと銀音さんは今回のミノタウロスとは別にもう一体討伐しています。偶然で2体も倒せるとは思えませんし、そもそも偶然で倒せるような魔物でもないですよ」


アルフォンス様が正論を言ってくれたおかげで、冒険者はバツが悪そうにそっぽを向く。メビウスさんもうちのもんがすまねーと謝罪してくれた。まぁー最もな疑問だったし、質問の仕方が悪かっただけだろう。

その後はどのチームが何処のミノタウロスを討伐をするのか説明された。1番最高戦力は冒険者パティーのBランク合同チーム。彼らは街から1番離れた、北門と東門のちょうど間くらいの草原エリアを担当することになった。距離が遠いというのもあるが、そこのミノタウロスは少し様子が変らしく、他の個体は絶えず歩き回っているのに対し、その場でじっと佇んでいるだけの様だ。確かに怪しい、もしかしたら腕輪の効力が残っていて命令待ちをしているだけでは無いのか?との指摘もあったが、それならそれで討伐してしまえばいいと言うことで、話は纏まった。他の2チームは南門近くの2箇所に配置された。


「さて、皆さんくれぐれも焦らないように互いに連携を密にして望んでください。今回は特別に1度だけ重症の傷を肩代わりしてくれる魔導具を配布します。今回参加していただいた皆さんに差し上げますので、使わずに持ち越した方がお得ですよ」


アルフォンス様は最後に明るく締めくくった。確かに説明を聞いていても戦力的には充分だし、しっかりと連携して落ち着けば対処出来るはずだ。他のみんなもなるべく使わない方が後々利益が大きいと考えて、無理はしないだろう。

代表者による会議はそれで終了し、それぞれのチームで情報共有と連携の確認を行う為皆会議室から出ていった。例のBランクパティーの1人がすれ違いざまに、すまなかったなと声をかけてきたのには少し驚いたが、根はいい人なのかもしれない。

俺と銀音はやる事ないのでそのまま会議室で待機させてもらうことになった。討伐隊が出立するのは10時半頃らしい。順調に行けば昼飯前には討伐が完了する予定だ。


「銀音。俺の為に怒ってくれるのは嬉しいけど、物は壊さないでくれな」

「すみません。つい頭に来てしまって。あの様な頭の悪い男に何を言ってもタクミ様の素晴らしさは伝わらないと思い、命で償わせようかと思いました」

「いやいや、簡単に命とか取っちゃダメだろ!?人間の世界は人の命を無闇に奪うと色々面倒なんだよ。主人である俺も罪に問われちゃうし、後々生きずらくなっちゃうから自分に危険が及んだ時以外は無闇矢鱈に他人に危害は加えちゃダメだからな」

「分かりました。何かあれば命は奪わず痛めつける程度にしておきます」


まぁ銀音の実力なら相手を適度に痛めつけるくらい造作もないだろう。本当になんで俺なんかの従魔になっちゃったのかね。従魔契約上主人の俺に危害は加えられないらしいけど、実力がかけ離れていると強制解除も出来るらしいから怖い。俺も銀音に反発されないように頑張って体を鍛えておこう。…鍛えたくらいでどうこう出来ないと思うけど。


そんなこんなにしているうちに、出立時刻の15分前になった。下のロビーに降りていくと討伐隊に参加しているであろう人達が沢山集まっていた。多分これで全員だろう。俺と銀音も後ろの方に並ぶ。暫くすると仮設の壇上にメビウスさんが上がってきた。


「これから皆にはミノタウロスの討伐へと向かってもらう。命の危険もあるだろうが、落ち着いて連携すれば倒せない相手では無い筈だ。パティーを信じ、自分を信じ、そして生きて帰ることを強く思い、戦いに臨んでくれ。討伐の暁には、街の民からの賞賛と宴が待っているぞ!ここにいる皆が1人も欠けることなく、戻ってくることを信じている。それでは準備ができた隊から出立してくれ!」


メビウスギルド長の挨拶が終わると、盛大な拍手と応援の声が上がった。既に準備は整っていたようで、チームに別れてそれぞれの持ち場へと向かっていく。俺と銀音は危ないチームの助っ人なので、どちらにも対応できるよう南門にて待機することになっているので、他のチームと共に南門へと向かった。

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