表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
農機整備士の異世界開拓ライフ  作者: ミャーク
30/53

#30討伐準備①

あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!

ファマーへ行く途中銀音が色々な質問をしてきてくれたから、体感的にはだいぶ早く着いた気がする。質問内容はほぼ食べ物だったけどね。今は昼食を食べてすぐだから今度食べさせてあげよう。

ファマーの扉を開け店内へと入り、モーズさんの姿を探す。いつも居るカウンターに姿はなく、何やらメッセージボードが置かれていた。


「えーっと、なになに?“御用の方はボード前の呼び出しベルを鳴らして下さい。!注意!不在でも商品窃盗対策万全です。衛兵にお世話になりたい方はどうぞお試しください”っか。前窃盗でもあったのか?随分と強気の忠告だな」


俺はベルを軽く叩く。チーンっと高い音が鳴り2分ほど経過したくらいにモーズさんが奥の方からやってきた。


「いらっしゃい…っと、“工場長”じゃねーか!早速チェーンソーを持ってきてくれたのか?」

「自分でそう呼んでくださいとお願いした手前、言いづらいですけど恥ずかしいですね」

「元々工場長になる予定だったんだろう?じゃあいいじゃねーか!恥ずかしがらずに胸を張りな!」


そう言ってモーズさんは豪快に笑う。元の世界で呼ばれていたはずの役職…向こうの仕事に未練がないかと問われれば、勿論あるにはあるのだがこちらに来て戻る手だてが分からない以上、塞ぎ込む訳にもいかない。こっちでもその呼び名に恥じない働き方、もとい生き方をするように頑張ろう。


「そのチェーンソーの事で相談に来たんですが、提供する期日を数日伸ばして貰えませんか?」

「そんなことか。別に構わねーよ、元々工場長の持ち物だし、専売契約をしてもらってるから1年とかは待てないが、1週間位なら全然問題ない!律儀に相談しに来てくれてありがとよ」


新車や修理で預かった農機具の納品期日が遅れそうなら、先手を打って顧客に伝えるのはセールスマンの心構えの1つだ。特に農家は農機具の納期に合わせて、今後の段取りを組む。だからこそ、早めに納期が遅れることを伝えることで計画を修正することが出来るのだ。農機具を納品するだけでなく、先方の段取りまで考えてあげるのが一流のセールスマンだと職場の先輩から学んだ。


「ありがとうございます!じゃあ申し訳ないですがもう暫くチェーンソーは使用しますね!あと、燃料も買い足したいのでボラタイルオイルを4つください」


俺は実際にミノタウロスと戦闘する時に備えて燃料を買い足しておく。正直瓶1つでも十分な量ではあるが、もしも燃料が漏れたり、不測の事態が発生した時のために多めに準備しておくのだ。それに余ったら別の機械に使えばいいし、敵に投げつけて火を放てばそれだけでも充分な攻撃力になるはずだ。


「モーズさん、あと急で申し訳ないですがチェーンソーに魔導付与をお願いできませんか?出来れば明日中に仕上げていただきたいです。特急料金ももちろん支払います」

「そいつは構わねーがどんな効果を付与するんだ?」

「耐久性向上と切れ味を上げるような効果をお願いしたいのですが可能ですかね?」

「耐久性向上は問題ないとして、切れ味向上か…剣とかには付与したことはあるがあれは切断面が固定されてるからなぁ。チェーンソーみたいに切刃が絶えず動いている構造に上手く付与できるかどうか…だが、おもしれーから頑張って付与してみるぜ!」


俺はチェーンソーと前金として金貨2枚を手渡しておいた。総額は金貨4枚で受けてくれることになり、今回は特急料金と特殊付与だから高めのようだ。耐久性向上と切れ味向上程度なら本来金貨2枚では出来るらしい。


「魔導付与の知識があまり無いので、失礼かもしれませんが武器や防具に魔道付与する人は少ないんですか?なんか魔導農具はありますけど、戦闘関連商品はあまり無いみたいなので」

「それはあれだな。うちが武器をあまり扱っていないってのもあるが、そもそも魔導付与ってのはその道具を作る時に初めから付与しておくのが普通なんだ。あとから付与するってなるとそれに使われてる材料や仕上がり、劣化なんかを計算して付与しなきゃならねーからちと面倒臭いんだよ」

「その分お高くなるんですね。なるほど理解しました。じゃあもしかして武器や農具も同じ効果なら既製品を買った方がいいんですかね?」

「まぁー大抵のものはそうだな。だが、高難易度ダンジョンで手に入るドロップ品や伝説級、神話級なんかで登場するような武器はそれ自体が一級品だからな。もし手に入れることが出来たら絶対に魔導付与はするべきだ」


モーズさん曰くそれらの武器はほとんどが一品モノで、しかもミスリル等で形成されているようだ。勿論単体でも充分な性能だが、魔導付与することで何倍にも力を上げることができる。しかし、それだけの魔導付与をするには相当な実力者でなければならないそうで、モーズさんも過去に3回付与したことがあるが恐ろしく難儀したそうだ。


「じゃあもしも一級品の道具を手に入れたらモーズさんに依頼するのでその時はよろしくお願いします!」

「まぁー難儀はしたが自分の技量を上げるチャンスだからな。どんどん持ってきてくれや!」


明日の夕方には仕上げておくとの事で、17時頃に伺うと話して店を後にした。さて、まだ夕ご飯には早い時間だな。


「銀音の服でも買いに行くかー。作業着と日常的に着れるやつ。今は俺の服を着てもらってるけど、ちょっとサイズ大きいし。あとは靴とかだな」

「ありがとうございます。しかし、私はタクミ様の服でも十分なのですが…?」

「ダメだよ、ちゃんとサイズのあった服を着ないと安全作業は出来ないし、もしも余った布が回転部にでも巻き込まれたら大変だからね。それに俺の服を着せるのは恥ずかしい…」


タクミ様が仰るのなら、と銀音も折れてくれたので早速ワーカーズへと向かう。

店内へと入り銀音に良さそうな作業着を探す。この前来た時には気が付かなかったが、種類は少ないながらも女性物の服もちゃんと置かれていた。とりあえず作業着は俺と同じツナギでいいとして、問題は普段着だよな。動きやすく、それでいて女の子っぽい感じのデザインがいいかな…。

俺があれこれ考えていると銀音から声をかけられた。


「タクミ様、私はこの服がかなり気に入りました。ぜひこれをお願いします」

「どれどれ…?セパレートタイプの作業着か。これでいいの?確かにデザイン的には普段使いしても気にならないけど」


とりあえず試着してみることを提案し、店の奥にある部屋に定員さんと入ってもらった。

待つこと数分。部屋の中から店員さんたちの黄色い声が聞こえ始め、その後定員さんが驚きますよ!と顔を覗かせて扉が開かれた。

そこにはハリウッド女優顔負けの着こなしを見せる銀音がいた。細くしなやかに伸びた手足も相まって、作業着女子と呼ぶには枠から外れ過ぎていて、表現出来る言葉が見つからなかった。カッコよく、いかにも仕事出来ますオーラが出ていて、正直すごくタイプだった。


「どうでしょうか…私個人としてはかなり似合っていると思うのですが?」

「あっ…あー!ごめん!凄く似合っているよ!こんなにも作業着を着こなせる人を見たこと無かったから、ちょっとフリーズしてしまった!」


少し上擦った声でそう返答するのがやっとだった。不意打ちだから仕方ないな。店員さんにこれと色違いを7種類選んでもらい、あとは部屋着と下着、靴なんかを購入した。購入したものはマジックバックへ収納。金額は総額金貨4枚と銀貨5枚。俺みたいにオーダーメイド的なやつでは無かったから思ったより安かった。銀音の服は大体購入できたかな?あとは寝具とか家具だな。その辺は店も分からないし、ゆっくりとみて選びたいから討伐終了後とするか。

ワーカーズを出て、マジックバックにもまだまだ余裕があるので食料品や日用品を買い込んだ。ブラックウルフ達には明後日の討伐開始に備えて英気を養って貰い、無事依頼を達成させたい。その為の材料も買い込んだ。

取り敢えず今出来ることは終わりかな。時間も夕方7時前、小腹も空いてきたので宿に荷物を置いて夕飯にするとしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ