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農機整備士の異世界開拓ライフ  作者: ミャーク
28/53

#28 討伐会議

役場に到着し総合窓口で指示されてここへ来た旨を伝える。


「コウダ様ですね。話は伺っております。奥の会議室にて先に到着された冒険者ギルド長のメビウス様とケーンブーズ領主、アルフォンス様がお待ちです。係のものに案内させますので暫くお待ちください」


係の人に連れられ事務机の並んだ通路を横切りながら会議室と書かれた扉の前に到着した。案内人がノックして俺が到着したことを伝える。中から入室を促す返事が聞こえた。案内人が扉を開く。


「初めましてコウダさん。私はケーンブーズ領主兼役場長のアルフォンス・デ・ケーンブーズと申します。今回は急なお呼び出しにも関わらず、御足労頂いて感謝します」

「お目にかかれて光栄です。改めましてタクミ・コウダと申します。こちらは友人の銀音です」

「俺も自己紹介させてもらおう。ケーンブーズ冒険者ギルドで長をしてるメビウス・リーデンスだ。早速だがミノタウロスと盗賊について話してもらえるか?」


挨拶もそこそこに、エドさんに説明した事とミノタウロスの死体、一応盗賊のアジトにあった全ての物品を見せた。勿論金貨なんかもだ。取り上げられるかもしれないが、窃盗罪とかで捕まるのも嫌だしここは素直に出しておく。


「成程。それではコウダさんの自宅の近くでミノタウロスが暴れていて、それをユキネさんと討伐したと。そしてコウダさんが使役しているリーフウルフ達が件のアジトをみつけた」

「しかし、リーフウルフを使役しているのにも驚いたが、2人で倒すとはなかなかの手練みてーだな。どうだ?うちのギルドに入らないか?冒険者ギルドは年々人材不足になっててな。特に戦闘の出来る奴らが減ってってるんだよ」

「まぁまぁ、メビウス。勧誘はあとにして今は残りのミノタウロスをどうすべきか考えようじゃないか」

「おっと!そうだったな話の腰を折っちまって悪かった。続けようぜ」


なんか2人のやり取りを見てるとかなり親しい間柄のようだ。領主って貴族だしさっき聞いたところによるとアルフォンス様は辺境伯らしい。伯爵って結構位高いしなんなら辺境伯って立場は、国の端っこに位置してる分独自で色々な事を行える権限があるって何かで見た覚えがある。


「さて、今回はミノタウロスと言うこの辺では出現しない強力な魔物が討伐対象なわけだが……メビウスどう思う?」

「そうだな。コウダが討伐した奴の隷属の腕輪は、恐らく粗悪品を使ってる可能性がある。洞窟から回収してきた腕輪も解析してみたが、ランクC+の出来だった。これじゃランクB-のミノタウロスを完全に隷属させるのは難しいだろう。他の4体も同じ腕輪を使ってるなら壊れて大暴れしてるはずだぜ」


やはりこの世界にはレベルとランクのようなものがあるようだね。話を聞く限り、適した道具を使わないと効果が及ばないみたい。だからミノタウロスの討伐もランクBの冒険者パーティーであたるのか。しかし、目の前に置いていただけでいつの間にか鑑定されていたな。鑑定スキル便利すぎる…俺もぜひ習得したい。


「今冒険者ギルドにはどれくらいの人手がいるんだ?」

「そうだな。生憎Bランクパーティーは2組だけでそれが最高戦力だな。後はCランクパーティーが5組、Dランクパーティーが10組だ。それ以下もいるが正直Dランクパーティー以下は危険だからBとCランクパーティーだけで討伐に当たるべきだ」

「そうか……うちのケーンブーズ守護団もBランク相当の実力者が5人、Cランクは15人。ふたつを合わせても3体を相手にするのがやっとと言った所か」


Cランクパーティーでは最低でも4組で当たらないと倒せないと言う計算らしい。しかし、正直なところ5組で相手した方が危なげなく討伐できるという事で冒険者ギルドはランク別に編成するようだ。一方守護団はBとCランク混合で当たる事にするらしい。まぁー冒険者と守護団では戦い方が違うだろうし、分けた方が無難だろう。しかし、残る問題はあと一体か……。


「どうだろう、コウダさん。もう一体を請け負ってもらう訳には行かないだろうか?一体を討伐した実績もある…本当の所民間人にこんなことを頼むのは間違っているが、是非引き受けては貰えないだろうか?」

「それは……正直、一体倒したのも殆どまぐれのようなものですし、あと一体倒せと言われても倒せるかどうか」

「そこを頼む。この街には戦闘できる奴なんかほとんど居ないんだ。少しでも倒せる可能性があるお前さん以外に適任は居ない。この街を守るために力を貸してくれ!」


アルフォンス様とメビウスさんからそう懇願される。正直戦いたくない…俺も必死の思いで、何とかなっただけなんだ。命の危険がある事に首を突っ込むのはごめんだ。断ろうと口を開きかけた時に銀音が驚きの発言をする。


「報酬は如何程でしょうか?」

「報酬はもちろん出すつもりです。先に討伐してくれたミノタウロスを含め一体につき、金貨200枚でどうでしょう?勿論討伐したミノタウロスも素材として別で買取ります」

「冒険者ギルドも特例として、お前さんたちをBランク冒険者として登録するぜ。2人でミノタウロスを討伐できるなら本来Aランクレベルの実力者なんだが、俺の権限ではBまでが限界でな。だが、Bランク冒険者はかなり融通が利くし、ギルドから指名依頼や街と街を移動する時に面倒な手続きは要らなくなるぜ」


くっ……正直かなり魅力的な提案だな。しかも、借金を返すどころかだいぶ余る。この前ミノタウロスと退治した時はリーフウルフのままだったし、ブラックウルフに進化してる今、銀音の力を借りて意思疎通しながら連携して戦ええば案外楽に倒せるかも。


「分かりました。その依頼を受けます。あと、先程ギルド長が腕輪の鑑定を行っていましたよね?可能であれば自分もも習得したいスキルなので教えていただけないでしょうか?」

「鑑定スキルは誰でも習得できるようなものじゃなくてな。一応適性検査を受けてみて合格すれば教えてやるぜ」

「ありがとうございます!討伐の件ですがいつから始めるのですか?」

「討伐はコウダさんの回収してきてくれた資料を元に地域を絞り込みます。恐らく街から30キラトーメル圏内に居る可能性が高いので、まずは明日斥候を送り奴らの痕跡、あわよくば居所を突き止めます。その間に準備を行うので早ければ明後日には討伐に向けて出立します」


明後日か…モーズさんのところにチェーンソーを持ってかないと行けないが、チェーンソーがないとミノタウロスと戦えない。今日この話が終わったあとにチェーンソーをもう少し使いたいと話に行こう。あとは、ブラックウルフを呼びに行かないとだな。ついでにトラクターも置いてくるとしよう。


「分かりました。それでは私も戦う準備のために明日一度家へと戻ります。その日では街まで戻ってきますので明後日出立時刻が決まったらジャンミートまで報せをお願いします」


話が一段落して、それじゃと席を立とうとするとギルド長が、忘れもんだぜと盗賊の財宝を指差す。


「これ頂いていいんですか?」

「お前さんが発見したもんだろう?確かに盗賊が商人や村々を襲って手に入れた金だが、いつどこから奪われたものなのかなんてのは分からねぇーんだ。身の危険を犯して手に入れてきたお前さんが気にする必要はねーよ」

「そうですね。ただ結構額がありそうなので、もしろ宜しければこの街の孤児院や公共施設の維持管理の為少しばかり募金をお願いできないでしょうか?」


取り上げられると思っていたものが、全額貰えるようになるならラッキーだ。無いものと思っていたので少しばかり募金をするのは全然構わない。ざっと見た感じ軽く金貨だけでも200枚はありそうだ俺はそのうち金貨50枚を募金としてその場でアルフォンス様に手渡した。


「こんなに頂けるなんて…本当に感謝します。ちょうど孤児院の老朽化が問題に上がっていましたので早速そちらに使わせて頂きます!」


喜んでもらえて何よりだね。それに孤児院は親を亡くしたり、親に捨てられた子供たちが集められる場所。少しでも、幸福を感じられるように施設だけでもしっかりとしたものにしておかないとダメだよね。自己満足かもしれないが協力出来て良かった。

数日後になるが高募金をしてくれた人に贈られる感謝の証、手編みの手袋をくれるらしい。これは孤児院の子供たちが交代で編んでくれるもので、実際に使用する物ではなく壁などに飾るトロフィーのようなものらしい。なんか見せびらかすようで嫌だから寝室に飾ることにしよう。

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