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農機整備士の異世界開拓ライフ  作者: ミャーク
14/53

#14白い犬と燃料調査

仕事が忙しく執筆作業が遅れてました。これから繁忙期に向けてさらに忙しくなるので投稿遅くなります

イーラミナさん達と別れた後、組合に立ち寄りおススメされたコンポスト製2号堆肥を手に入れた。1(いったい)重量的に20kg位の容量で窓口担当に相談した所、俺の圃場なら5袋程で事足りるらしい。今後圃場を増やすことも考え12袋購入する。石灰も購入することも考えたが、現状そこまで必要としてないし今後酸度調整が必要になった時に購入することにしよう。せっかく街に来たので色々な香辛料や食材を購入した。今回は商談が一応進んだのと今後測定液が生産できることを祈って、晩酌用にパンジャ酒をボトルで購入。金額は遠方からきたということもあり、1リットルほどで銀貨2枚。ジャンミートで飲んだパンジャ酒の値段を考えれば妥当だろう。人気商品で定期的に入ってくるが売り切れることもあるそうなので取り敢えず3本買っといた。

買い物も終え他に用事もないので帰宅するために東区へと向かった。衛兵の人に再度リーフウルフの注意喚起を言われ少しソワソワしながら自宅へと到着。警戒していた割に驚くほど何も無く到着してしまったため拍子抜けしてしまった。


「そりゃーそうだよな。目撃情報があったのもここから近いって言っても何キロも離れてるわけだし、一直線に俺のところに向かってくるわけないか」


買い物したものを仕分けし、時刻は夕方の15時半。まだ日は高いので裏庭の草刈りをすることにした。ガソリン…ボラタイルオイルを刈払機のタンクへ注ぎ込み、リコイルを何回か引く。初爆と共にマフラー無しエンジン特有のテンポ良い爆発音が鳴り響く。しばらく様子を見てもアイドリングに変化はなく、試しにアクセルを勢いよく全開にしてみたが、ストールすることなく気持ちよく回転数が上がった。


「これなら問題なさそうだな。早速草刈り作業開始だ!」


開拓してある畑の隣、雑草が生い茂った広場の草刈りを始める。元いた世界は草の中に意外とゴミが多く落ちており、缶やペットボトル、瓶、紐などなど色々と落ちていて、刈刃に絡まったり勢いよく飛んできたりとにかく危ない。でもこの世界はそんな廃棄物も少なくて、スムーズに刈り取り作業が進んでいく。半分ほどまで刈り進めたところで、草丈が1mくらい伸びた所に来た。


「これは結構難儀しそうだぞ…慌てずゆっくり刈ろう」


草丈が短いところは割と早めに振り抜いてもいいけど、草丈が高すぎる所では竿に引っかかるか、刈刃に絡まって止まってしまう、機械にとっても良くないから慌てずゆっくりしよう。

両耳につけたイヤホンからお気に入りの曲が流れ、ノリノリで草を買っていると、突然目の前の草むらから何かが飛び出してきた。驚きのあまり後ろに転倒してしまった。


「痛てて……なんなんだ?なんか真白い物体が飛び出してきたが」


周りを見渡すとちょうど俺の真後ろに犬のような生き物が血を流して倒れている。真っ白で綺麗な毛並みだが傷口から溢れた血で赤く染まり、息はあるようだが意識は無いようでピクリとも動かない。


「やばい!早く助けないと!確か買ってあったキズ薬とワセリンが工具箱にあったはず!あと包帯も!」


俺は慌ててガレージに戻りキズ薬とワセリン、包帯を取って戻る。傷口は右前足の上部で、恐らく飛び出してきた時に刈刃が当たってしまったのだろう。傷は深くは無いが損傷が酷い。清水で洗い流しギズ薬とワセリンを塗り包帯で少しキツめに縛る。傷口に滲みて痛いのか、呻き声を漏らす犬。


「出血さえ止まれば大丈夫だと思うけど正直、かなり血を失ってる。事故とはいえすまない」


取り敢えずの処置を終えてこのまま野外に放置する訳にも行かず、抱き上げてガレージへと連れていく。一応野犬だし流石に家の中だと寝てる間とか怖いしね。

ガレージに毛布を敷いてそこに犬を寝かせる。傷口が熱を持っていて息も早い。これ以上はどうしようもないので水と食料を準備しておく。目が覚めた時に食べてくれればいいが…。

何やかんやしてたら日も落ち始めてたので、今日はこの辺で草刈りを終わることにする。片付けをして家に戻り、ガレージを除くが未だに目を覚まさない。


「このまま死んだりなんかしないでくれよー。なんとか頑張って生きてくれ!」


あんなこともあり、食欲も無かったため夕食は取らず水分補給して今日はそうそうに眠りについた。明日朝一様子を見てみよう。


翌朝。夜中はあまり寝付けず、ちょいちょいガレージを覗き込んでは様子を伺った。犬は未だに目を覚ましていないようだが、息が少し穏やかになっていた。このまま意識が戻るのを祈ろう。

さて今日は昨日の続きで草刈り業務を行う。明るくなって確認すると草丈が高い範囲もそろそろ終わりそうで、あと1時間ほど刈り続ければ終了だろう。


「ふぅー。とりあえずは刈り取り完了だな。面積は隣の畑と同じくらいか。合わせて一反、しばらく日に晒してからトラクターで鋤き込む事にしよう。その前にガレージに戻って犬の様子を見ながら、買ってきたライトオイルでトラクターが始動できるか確認だ」


刈払機は暫く出番が無さそうなので、燃料タンクに燃料を満タンにしコックを閉めてキャブレターのフロート室内の燃料が無くなるまでエンジンを始動させる。燃料が無くなってくるとアイドリングが不安定になり自然とエンストするまで放置。

長期保管時フロート室内に残ったガソリンが腐ってガムの様なネバネバに変化して、更に進むとそれがそのまま固まり、燃料が吸い上げられ空気と混ざる経路を塞いでしまってエンジンが掛からなくなってしまう。しっかりと保管すればいらない出費なのだが、キャブレター交換ともなれば1万円は軽く超える…その修理が意外と多い。


ガレージに戻り刈払機を置く。犬の様子はーーー少し体勢が変わっている。大丈夫そうだが油断はできない。新品のゴムホースがあったので、犬の口にホースを咥えさゆっくりと水を流し込む。


「お?飲んでるね良かった。脱水症が怖いからね」


暫く犬を撫でてやり、トラクターのエンジン音で起こすのも悪いと思って人力で表まで出す。車と違ってトラクターは後輪がでかいから意外と手で簡単におせるのだ。

ガレージのドアを閉め、少し離したところで駐車させる。燃料タンクからポリタンクに燃料を抜き取り、代わりにライトオイルを入れる。


「暫くはフィルター内に残った軽油で回るはずだから30分くらい様子を見よう。その間にスマホとかバッテリーを充電しておこう」


工場内に転がってた廃棄予定の大型トラクター用バッテリーも一緒に転移されてきていた。始動用のバッテリーとしては正直力不足だが、容量がでかい分モバイルバッテリーとしてはまだまだ使えるはず、ブースターケーブルで繋いで充電しておく。

時間を確認すると朝の10時半過ぎ、思ったよりも時間はそんなに経っていないな。


「うーん、なんの作業をしようかな。昼飯までは時間あるし昨日買ってきた堆肥を畑に撒くかな」


コンポスト製2号堆肥を5袋準備し圃場に対してある程度均等に並べる。袋はもちろんビニールではないが…、透明でかなり丈夫だ。ビニールならある程度力を入れて引っ張ればちぎれるものだが、これはかなり引っ張っても破れる気配がない。カッターナイフで切込みを入れるとなんの抵抗もなく開けることが出来た。組合で聞いたところによると、これはスライムの外皮を特殊な加工で縫い合わせたものらしい。


「これだけ丈夫ならビニールハウスとして使えそうだ!今度コンポストに行った時にイーラミナさんに袋について聞いてみよう」


堆肥袋に拳大位の穴を開け揺すりながら堆肥を撒いていく。マニュアスプレッダーでも在れば楽して均等に散布できるのにな…。

休憩を挟みながらなんとか昼前までに散布を終わらせた。夢中で撒いていたからトラクターのエンジンかけっぱなしだったこと忘れてた。表に戻るとトラクターはちゃんとテンポよくアイドリングしていた。1時間半は動いてたことになるから、燃料の問題も大丈夫だろう。マフラーから出てくる排ガスもほぼ透明。ちゃんと燃焼できている証拠だな。テスター(電気を測る道具)でターミナル電圧を測ると13.3Vまで電圧が上がっていた。バッテリーもこれなら問題ない。エンジンを止めてブースターケーブルも外す。これで鉛蓄電池をモバイルバッテリー替わりに使うことができるようになった。家の中に置いておけばガレージに行かなくてもスマホを充電できる。ますます快適になってきたな。ちょうど太陽も真上に来てるし、昼ごはん食べてから

砕土作業に入るとしよう。

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