溶けていく
私が溶けていく
真夏のアイスクリームみたいに
どろどろになって
ぐちゃぐちゃになって
分からなくなっていく
見上げる天井は暗かった
輪郭線はなくなっていく
形作る全ては空気と混ざって
ミクロとマクロが入れ替わっていく
音は凪いでいる
原子は止まっている
鼓動だけは跳ね上がっている
焦燥が肺から吐き出される
何もかも捨てて駆け出したかった
世界は呼吸している
暮れなずむ夕陽はそれを証明している
不平等な愛を伝える天使の手によって
クオリアすら撹拌していく
身体は凍っている
なのに
私は溶けていく