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4人を召喚してからどれだけの年月が過ぎ去ったのか。
体感的にはそこまでじゃないけど、黒い雫曰く、1度の気絶で100日以上眠り続けることを考えると、優に2、30年くらいは経過してと思う。
そういえば、残り時間ってどれだけあるんだろう。
初めの頃は、早く出たくて仕方なかったけど、よくよく考えてみると、他人に襲われる危険性もないし、食事を摂る必要もなく、髪も清潔なまま上に、利己主義な教会の連中や馬鹿で愚かなクラスメイトたちと一緒にいなくて済む。
何より、4人との生活が楽しくて仕方なかった。
……現実のわたしって手足氷漬けだったよね……。つまり戻れたとしても、そのまま死んじゃうんじゃ……? せっかくこの子たちに会えたのに……それは、嫌だなぁ。
そんなことをぼけっと考えていると、いつも通り胸元に佇んでいた黒い雫が、励ますように身体を頬に擦り付けてくる。
「……ありがと、くーちゃん。白い雫もいるし、そろそろご飯にしよっか」
わたしの言葉に、少し微妙な反応を見せるくーちゃん。それもそのはず。存在をないものとされている2人のせいだ。
わたしの横で、いつもなら溢れんばかりの輝きを放っている赤い雫と緑の雫が、消え去ってしまうんじゃないかというレベルで細々と光を灯している。
これは、反省の意を表している。
事の発端は、前々回、気絶から目を覚ました際、あーちゃんとみーちゃんに追われているしーちゃんの姿を目撃したことから始まる。
何事だと、胸元にいるくーちゃんにYES/NO形式で事情を聞くと、あーちゃんとみーちゃんによってしーちゃんが揶揄われていることが判明。
本来なら、わたしが目覚める前にあーちゃんが気付き、しーちゃんへの揶揄いを止めるのだけど、今回は、それにも気付かず、みーちゃんと共にしーちゃんを追い回していたらしい。
ちなみに、この子たちには明確な上下関係があるらしく、あーちゃん、くーちゃん、みーちゃん、しーちゃんの順番に権力が強い。
何か内なる力が関係しているかと思ったけど、何てことない、単純にわたしに喚び出された順番だった。
そんな訳で、一番の下っ端になってしまっていたしーちゃんを、わたしにべったりなくーちゃん以外の2人が常日頃から追い回して遊んでいた、というのが真実だ。
これに怒り狂ったわたしが、「しーちゃん優遇。あーちゃん、みーちゃん冷遇」という方針を打ち出し、更にわたしが気絶していてもくーちゃんを監視係に使い、しーちゃんが更なる揶揄いを受けないようにしたのだ。
当然その時のMPご飯は、くーちゃんとしーちゃんのみに与え、多大なるショックを受けていたあーちゃんとみーちゃん。
それでも、次回わたしが起きた時はご飯が貰えるだろうと期待してたであろう2人は、くーちゃんの監視を見ぬフリしてしーちゃんを追い回してしまった。
その報告を聞いて呆れかえったわたしは、ご飯の前の遊びも含め、あーちゃんとひーちゃんの存在を完全に無視し続けた。(当然MPご飯も抜き)
そして今回。くーちゃんに話を聞くと、なんとこの2人、わたしが気絶した直後から1ミリも動かず、170日近くもの間、ただただ、反省の意を示していたらしい。
にも関わらず、わたしが2人を無視し続けた為、くーちゃんに加え、被害者だったひーちゃんまで不服を訴え始めてしまった。
「……はぁ。……わかったよ。じゃあ今回はこれで許す。……けど、わかってるよね? あーちゃん、ひーちゃん。……次は、ないから」
地面に佇んでいた赤と緑の2つの雫は、これまで見たことないスピードで、何度も身体を上下に動かしていた。
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バンリ・サンジョウメ
LV18
HP45/45
MP48981/48981(+484)
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