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「238回目。『能力値解放』」
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バンリ・サンジョウメ
LV18
HP45/45
MP413/413(+4)
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「239回目……――『召喚』」
正直、〝わたし〟の心は、気絶を100度ほど繰り返したところで折れかけた。
代わり映えしない真っ白な空間。そして、生きる為のすべてを必要としない身体が、こうまで自分を追い詰めるだろうと誰が想像しただろうか。
ある時期からは、ご飯食べたい。眠たくなりたい。おしっこしてみたい。などと常に刺激を求めるようになって、刺激を求める為に、少しずつ服を脱いで身体を露出させてみたり、無駄な運動をしてみたり、早口言葉を練習してみたりしていたのだけど、最終的には、自傷行為に至る寸前まで追い込まれてしまった。
このギリギリともいえるタイミングで、もう二度と表に出すことがないと思っていた架空のキャラクター、令嬢、三條目万里の操作に移ったわたし。
その選択は、間違いなく英断だった。
万里の中から見える世界は、まさに別次元。
今までのわたしの苦労が何だったのと思えるほど、万里はこの状況に何一つ感じることなく、粛々と能力の発動、気絶を繰り返し、あっという間にわたしが折れた100度の気絶を越えた。
流石、誰しもが認める完全無欠キャラクター。なんてことを思いながら、その後も順調にMPは上がっていった。
「354回目。『能力値解放』」
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バンリ・サンジョウメ
LV18
HP45/45
MP1309/1309(+13)
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「355回目……――『召喚』」
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「520回目。『能力値解放』」
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バンリ・サンジョウメ
LV18
HP45/45
MP6830/6830(+68)
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「521回目……――『召喚」』
▽
異変は突如として訪れた。
「559回目。『能力値解放』」
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バンリ・サンジョウメ
LV18
HP45/45
MP10068/10068(+100)
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「560回目……――『召喚』――…………え?」
万里の目の前に、能力値プレートと共に、キラキラと赤く輝く、5センチほどの雫が浮かんでいた。
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バンリ・サンジョウメ
LV18
HP45/45
MP69/10068(+100)
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