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「あーちゃんは朱莉。くーちゃんは黒梔子。みーちゃんは緑神楽。しーちゃんは白苑」
正直、言葉の後ろに「と付けてみたのですが、どうでしょうか?」などと本気で付け加えたかったけど、最初からこの名前を考えていた体で話を進めてしまっていたので、どうしても言い出すことができなかった。
かなり心臓をバクバク言わせながら、4人の反応を伺ってみると、意外や意外。
全員、かなり嬉しそうだった。
「朱莉……朱莉かぁ。いいね! アタシは朱莉! でも、ばんりー。たまにはあーちゃんって呼んでもいいからね?」
「3人は黒梔子と呼んで。バンリはできればくーちゃんで呼んでくれると嬉しい」
「拝命承りました。これからは緑神楽という名で行動させていただきます。白苑。これからは僕のことを緑神楽の名で呼ぶように。必ずだ」
「……あのっ。ええと。……わたしなんかの為にこんな素敵な名前を……。あの……好きに呼んでください」
どうして緑神楽は、白苑にだけ? と一瞬考えたけど、朱莉と黒梔子は姉にあたるので意見できないってことかな。と改めて4人の力関係を確認した。
それから、何日もかけて大精霊となり会話できるようになった4人と(元々深かった)親交を深め、これからの予定を確認する。
「ねえくーちゃん。精霊王が言うには、この空間にいる残り時間が3年6か月って言ってたけど、今のわたしの気絶時間ってどのくらいだっけ?」
気絶している間に外に戻されるというパターンが最悪なのはわかり切っているので、それを回避すべく、くーちゃんに質問をする。
「348日……だけど、みーちゃんの加護があるから、時間は短くなると思う」
へぇ。加護ってそういう働きもしてくれるんだ。
わたし的には、残りの3年6か月、MP増量の為の強制気絶じゃなく、普通に眠って皆と過ごしたいという気持ちもあったけど、MP増加に対してのデメリットがないこの機会を逃さない方がいい、と4人全員に言われてしまったので、残り時間ギリギリまでMP増加に務めることにした。
▽
「…………うそぉ」
気絶から目覚めたわたしを驚かせた事実は2つ。
1つ目は、くーちゃんの報告曰く、気絶時間が僅か38日と極端に短くなっていたこと。
そしてもう1つ。
「――『能力値解放』」
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バンリ・サンジョウメ
LV18
HP45/45
MP110296/110296(+10027)
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――MP伸び率が1%から10%に上がっていたこと。
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