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陽彩の友人

陽彩と歩いていると、学校に近づくにつれて俺たちに向けられる視線の数が増えてきている。


全生徒の中でもトップの可愛さである陽彩と手をつないで登校しているのだ。

トップというのは俺の主観だが、客観的に見ても上位には入ってくると思う。


高校生はこういう話題に敏感だし、周りの反応は予想通りと言える。



「どうしたの薫?」


「いや、やっぱり見られるなって」



周りを気にしていたら陽彩に心配された。


いくら予想通りだとは言え、こんなに注目されることはなかったので動揺してしまう。

さすがの陽彩も少しくらいは気にするかと思ったが、全くと言っていいほど意に介していない。



「他にも手つないでいる人くらいいるだろうに。何でわざわざ私たちを?」


「陽彩が可愛いからみんな気になるんだろ」



実際そうであると思っているのだが、可愛いとか直接口にすると恥ずかしい。

さっきまで、陽彩が可愛いから見られるんだみたいなことを考えていたので自然とその言葉が出てきてしまった。



「うーん、それなら薫がかっこいいからかも」


「逆だと思うよ」


「むう。分からないじゃん」



急に陽彩にかっこいいとか言いだすので、さらに羞恥心が強くなってくる。

本当に逆だと思うのだが、陽彩は納得いかないようだ。




そもそもこんな感じで甘い雰囲気を出しながら言い合いをしていることが恥ずかしいなとか考えていると、後ろから誰かが近づいてきた。



「ひぃちゃんおっはよー!」


「おはよう陽彩」


「早百合に美玖おはよ」



一瞬俺たちの関係をよく思わないやつにからまれたのかと思ったたが、そういうわけではなく陽彩の友達であったようだ。


二人はつないでいる手を見た後、今度は俺のことを見てきた。

これは、お前みたいなやつに陽彩は任せられないというやつだろうか。

彼女たちは陽彩に近づいた男たちを撃退してきた実績があるので、考えられなくもない。



「ふーん、君はひぃちゃんの幼馴染くんか。なるほど。あっ、私は赤木美玖だよ」


「森重くんおはよう。私は丸山早百合。中学校一緒だったから知っていると思うけど、関わりなかったし一応ね」


「そうだな、森重薫だ。2人ともおはよう」



陽彩と同じくらいの身長で髪を短めに切りそろえた明るい感じの赤木さんと、背は少し高く後ろで長い髪をまとめているのがよく似合っている真面目な雰囲気の丸山さんだ。


丸山さんの言うとおりここにいる全員が同じ中学の出身で俺も彼女たちのことは知っていたが、話したことはなかったので多くのことは分からない。

幼馴染ということがバレているあたり2人の方は陽彩から色々と聞いていそうである。



「なるほどなるほど。ということは私の思ったとおりだったわけだね、ひぃちゃん!」


「うん、美玖ナイス。ありがと」


「私も色々と思うところはあるけど、陽彩が幸せならそれが一番だよ」


「早百合もありがと。薫といるのは楽しいよ」



今日の朝と同じように俺の知らないところで会話が進んでいく。

このところ少し思うのだが、もしかしたら俺と陽彩の関係が元に戻れたのは周りの協力も大きかったのかもしれない。


母達の態度や今の赤木さん達の反応を見る限り、無関係であるとは思えない。



「そんな不思議そうな顔してどうしたの薫くん?もしかしてお前はうちの陽彩に相応しくない!とか言われるかと思っちゃった?」


「そういうイメージがあったからな。男たちを撃退しているのも見てきたし」


「あはは! ほんとに思ってたんだ! あの人達と君が違うことくらいは分かるよ」


「彼らは陽彩が嫌がっているのに無理に近づこうとするからよ。森重くんは違うでしょ?」


「そう、薫は違う。薫は大切な人」



思っていたことを口にすると赤木さんには笑われて、丸山さんには少しあきれられた。

ついでに、陽彩も恥ずかしいことを口にしているし。



「でも、陽彩を傷つけたりしたらその限りじゃないからね。森重君ならそんなことはないと思うけど」


「ああ、肝に銘じておくよ」


「薫は優しいよ?」


「うん、四年も待たされたんだからその分優しくしてもらいなさい」



そう言って丸山さんに少し睨まれたので、ビクッとなる。すると、丸山に笑われた。


どうやら、俺は彼女たちに勝てそうにはない。

そもそも撃退対象にならないようにすればいいし、なるつもりはないので問題ないといえばそうなのだが。



「朝からラブラブで羨ましい限りですな~」


「美玖も彼氏作ればいいじゃない。森重君みたいないい人探してきなよ」


「うるさいー!そんな簡単に見つかれば苦労しないでしょ!」



学校はもう目の前といった所まで来ているので、そのまま四人で話しながら教室に向かった。

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