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その後の夜で

俺は陽彩を送って、その後特に寄り道をすることもなく自分の家に帰って来ていた。

リビングを通り自分の部屋に向かおうとしていたが、ご飯が出来ているということでそのまま食べ始める。


いつも食事に使っているリビングのテーブルに目を向けるとと、妹の里奈は席についていたが父と母がいない。大体みんなで食べることが多いのでこれは珍しい。



「あれ母さんたちは?」


「お父さんは遅くなるから先に食べてってさ。お母さんはお風呂」


「そうか、いただきます」



箸を手に取り今日の主菜である唐揚げを食べようとしていると、見慣れたニヤニヤ顔をしながら里奈が見てくる。


何が気になるのかは分かる。陽彩のことだろう。

しばらくの間交流がなかった異性が部屋にいたのだ。


それに母に似てこういう話題が好きなので、聞きたくてうずうずしているはずだ。



「ねーねー、かおるにぃさ」


「陽彩のことか?俺だって驚いたよ。家に帰ったら母さんと陽彩が一緒にいたんだからな」


「そうなんだ?どうして?」


「うーん、分からない」



そういえば何故2人が一緒にいたのか聞いていなかった。

本を貸すというのは陽彩と俺を二人きりにするための口実だろうし、陽彩の行動からして俺に会いに来たのは分かるが、母さんとは普通にお茶をしていただけなのか。



「まあある程度想像はつくけどね。ということは、かおるにぃ自分からいってないの!」


「何がだよ」


「ひいろちゃんだよ!あれだけ待たせておいて、結局先に動いたのはひいろちゃんだし」


「そんなつもりはなかったんだがな」



反射的にそう言ったが、里奈の言うこと間違っていないのかもしれない。

原因は俺が約束を覚えていなかった、もしくは認識していなかったことなのだから。


目の前にいる妹のおかげで、確認することは出来なかったが、唯一の心当たりである告白まがいのあれがそうなら一応説明はつく。それでも、いくつか疑問が残るが。


陽彩に避けられ始める前に一度思っていることを言ったのだ。

彼女に対して批判とか文句があったとかではなく、これからもずっと一緒だよーみたいなことを。

その時に、二人でいるだけではなくて他の友達も探してみるのもいいかも的な流れになった気がする。


それで、陽彩は俺に頼ることなく友達を作ろうとして過剰に関わるのを避けたということだろうか。

少し極端な気もするが、それくらいしか思い浮かばない。

真相を確かめるためには、あの恥ずかしいやつにも触れなくてはいけないので中々苦しいものがある。あの時は当時読んでいた王道の恋愛小説に影響を受けてしまっていたのだ。



「ふーん、どう見てもひいろちゃんはかおるにぃのこと大好きだったのに。変なことしたんじゃないの!」


「してない。ごちそうさま」


「あっ! まだ色々聞いてない!!」



話題がだんだんと恥ずかしい方へ向かっているので、逃げるように席を立った。


抱き合って何してたのーとか後ろから聞こえてくるが、気にせずに自分の部屋へ向かう。

見られただけでもだいぶ恥ずかしかったのに、わざわざ口で説明するとか無理だ。しかも、あんまりゆっくりしていて母が参戦するようなことになれば、もう対処不可能となる。


二階に上がっても里奈の声が聞こえてきていたが、部屋の扉を閉めればそれも収まった。


携帯の通知音がしたので確認すると、メッセージアプリに陽彩からの連絡が届いている。連絡先は帰りに陽彩の家の前で交換した。

携帯をぎゅっと握りこちらを見つめてくる陽彩は可愛くてずっとみていたかったが、余り意地悪すると拗ねてしまうので程々にしておいた。



『明日の朝ひま?』



明日は普通に学校なのでどこかに行きたいとかではなく、一緒に登校することの誘いとかか。



『朝迎えにいこうか?』


『ありがと。嬉しい。』



登校の誘いで合っていたようだ。

高校生になった陽彩と一緒に登校することになるとか昨日まででは考えられない。

とりあえず、明日寝坊することがないように、今日は早目に寝るとしよう。

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