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異世界でツンデレちゃんは恋に落ちた。~unstable・story~  作者: 十六夜零
1章ーGAME・RE:STARTー
7/60

第5話・気付かれない恋心と隠された恋心。

『取り敢えず、エリーゼとミミに連絡する…』

と、言いながら、先程飛竜にも説明したメニュー画面を出す。

『お、本当に出るのか…』

と、飛竜が少し驚いたような顔をした。

どんどん現実味を増していく、この“ゲームの世界に来てしまった”と言う現実。

それをやはり、嫌だとか思っているのか、飛竜の眉間にはシワがよっていた。

『あぁ…』と、その声に答えながら、私は“精神感応(テレパシー)”をかける。

電話ではなくテレパシー。

そう、ゲームなので、電話のままの名称だと、ゲームの世界観を壊してしまうと言う運営側の判断によって、このような名称に置き換えられている。

しかし、結局はこの機能は電話と全く同じである。

そして、ひとまずエリーゼに連絡をする。

ミミだとテンパりそうだし、やはり、ここは年が少しでも上の方の人に連絡すべきだと言う、私なりのギルドマスターとしての判断だった。

『♪~』独特の効果音的な物が鳴る。

『…』そこもゲーム仕様かと、飛竜は更に眉間にシワを寄せながら私を見る。

すると…

『わっ!スカーレット!

今、連絡しようとしてたの~!』

『そうか

取り敢えず集合するぞ

場所は、ギルドホーム

以上、話はそれからだ』

と言って、私はテレパシーを切る。

彼女…エリーゼなら分かってくれる筈だ。

私はギルドマスター。

そう、この『unstable・story』と言うギルドの責任者。

皆になるべく短時間で連絡し、人を集めないといけない。

何故、早くするかなんて、理由はひとつだ。

“ずっと一人で放置していたら、死者が出る可能性が有る”のだ。

いつもは、勝手に死んでから放置しても、一定の時間と経験値を消費して生き返っていた。

しかし、今回は異常事態だ。

そうなるとは限らない。

なので、とにかく人を直ぐに安全な此処へと集めたいのだ。

他にも異常事態が起こる可能性も有る。

そして、普通の事態だって起こる可能性が有る。

ミミのような見習いが、モンスターに一人で立ち向かうのには、レベル的に不可能なモンスターも居る。

そんなモンスターに出くわしたら?

急に何処かにモンスターが大量発生したら?

色々な可能性を考えると、ギルドホームには確実にモンスターが来ない設定なので、一番安全に思えた。

それすら、異常事態で…

と、言うことも無くはない。

なので、取り敢えず此処に居る二人で、空間魔法をかけていた。

そう、技は発動できたのだ。

とにかく、アサシンの私の、“Asashin(暗殺者)()Place(世界)()Guard(障壁)”と…

エクソシストの飛竜の、“Darknight(闇夜)()Melt(溶ける)Talisman(護り)()Place(障壁) ”は、同じ英単語が使われているだけあって同じような効果の物だった。

一言に簡潔にまとめると…

“ある程度の範囲に敵が入らなくなる技”と言う物だ。

二人の次に使えるまでの技のメーターの回復時間を考えて、交互に使う事にした。

そんな事を考えながらも、私はテレパシーを様々な人にかける。

(あと一人…)

と、思いながらテレパシーをかける。

そして、ギルドメンバー全員への説明が終了した。






『ヴァインが一番近くに居るようだ。

私の記憶による此処からの距離を考えると…後、10分程で着くだろう』

『分かった…』

私が説明をすると、彼はそう言って頷いた。

(しかし、今、気付いてしまったのだが…

飛竜と二人っきりと言うのは…)


(少しばかり、緊張するのだ)


いつもは、四人で行動している。

飛竜と二人っきりの時間は数分どころか、数秒も無かったと思う。

班長との会議をするのも、飛竜は班長ではないし、班長は私だ。

私は戦略などを考える事が多いが、飛竜は武器などの修繕などの管理が仕事だ。

とにかく、そんな彼と二人っきりの空間。

しかも、短くても二人っきりの時間は10分間…

一言で言うと…長い。

何故今、飛竜との二人っきりの空間に気恥ずかしさを感じるのか、私にも分からないが、居心地悪い感じはしない。

むしろ、何故か心が暖かい気持ちになる。

何故だかは分からないけれど、悪くない感覚。

私は、たまには飛竜と二人で雑談でもしてみたくなった…

こんな非常事態が起きている時こそ、落ち着くために雑談をすべきと言う考え。

そういう事にした。

何かが腑に落ちなかったけれど…






『ヴァインが一番近くに居るようだ。

私の記憶による此処からの距離を考えると…後、10分程で着くだろう』

『分かった…』

スカーレットが説明をすると、俺はそう言って頷いた。

(しかし、今、気付いてしまったのだが…

スカーレットと二人っきりと言うのは…)


(少しばかり、緊張する)


いつもは四人で行動している。

スカーレットと二人っきりの時間は数分どころか、数秒も無かった筈だ。

班長との会議をスカーレットはギルドマスターとしてするものの、俺は班長ではないし、班長はスカーレットだ。

スカーレットは戦略などを考える事が多いが、俺は武器などの修繕などの管理が仕事だ。

とにかく、そんなスカーレットと二人っきりの空間。

しかも、短くても二人っきりの時間は10分間…

一言で言うと…長い。

今、スカーレットとの二人っきりの空間に、気恥ずかしさを感じる理由は…まぁ、理解しているのだ。

そして、勿論居心地悪い感じはしない。

しかも、心が暖かい気持ちになる。

単純かつ簡潔にまとめると悪くない感覚。

俺は、たまにはスカーレットと二人で、雑談でもしてみたくなった…

こんな非常事態が起きている時こそ、欲が出るのかもしれない。

そう、俺は…


ギルドに入る前、


彼女がこのギルドを作るよりも…


ずっと前から…














彼女が好きなのだ。









そんな彼女とやっと仲良くなって、彼女のギルドに入れて、彼女の班やパーティーに入れる。

それだけで満足な筈だった。

心の底から満足していた筈なのだ。

なのに人はやはり貪欲で。

人間()とは、満足していた筈なのに、貰うと次が欲しくなる生き物だ。

俺は彼女…スカーレットを欲していたのだ。

強くて優しくて仲間想いで…時に、少しだけ照れたりする…そんな彼女が好きなのだ。

そんな彼女が欲しいのだ。

スカーレットと話したい。

スカーレットと二人っきりになりたい。

なんて我が儘言っちゃいけない…

なんて想っていたのに…

酔っぱらう彼女の弱味に漬け込んで、純粋さに漬け込んで、俺は彼女を家に招き入れた。

自分のベッドに寝かせた。

彼女の寝顔を覗いた。

寝惚けていたからとか彼女が一人だと寒いからとか、理由を付けて彼女の眠る俺のベッドに俺は入った。

そう、彼女に好かれたくて作ってきた完璧な人間だって、結局は嘘なのだ。

只のカッコつけ。

それでも…彼女と此処で、二人っきりを堪能したかった。

エリーゼと彼女のように、彼女と他愛もない話をして、盛り上がりたかった。

ミミと彼女のように、彼女に甘やかされたかった。

そして…甘えてほしかった。

俺だって男なんだ。

(いつも優しい只のエクソシストじゃない。

いつ(オオカミ)に成るか、分からないんだぞ?)

なんて言える程、心から優しくなかった。

俺は寝ぼけた彼女におはようと、笑顔で言われるのを待ち望んでいた。

目が覚めたら、大好きな彼女と二人っきりの時間が長くなった事を知った。

本当ならば俺達は此処に居なくて、来る筈もなくて、彼女は目が覚めれば、俺にこれ以上迷惑をかけまいと考えるだろうから、足早に彼女の家に帰宅して、二人とも各々の自宅で二日酔いにやられる筈だった。

又、ゲームで会うだけの関係に戻る筈だった。

だから、目が覚めて、彼女と此処に来れた事は奇跡とも思える程に嬉しかった。

どうやら、俺の愛は重いらしい。

でも、理性は人一倍有るらしい。

彼女の寝顔を覗いて、襲わなかったのは、本当によく耐えたと思った。

彼女に嫌われたくはない。

そんな、俺の欲望も有るのだろうけど。

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