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異世界でツンデレちゃんは恋に落ちた。~unstable・story~  作者: 十六夜零
3章ーThere is a shadow behind the fun. ー
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第21話・エリーゼの微笑ましくもお熱いお話

私はとある願い事を夕焼けにしたのだけれど、それを秘密にして、自室へと向かった。

(これから忙しくなるな)

そう、想いながら私は自室のドアを開け、椅子に腰掛ける。

『日記』

それだけ書かれた私のノートが其処には有った。

この世界の事を記しているのだ。

なるべく細かく、その全てを。

この世界に来てしまうぐらいだから、何があるかなんて分からない。

だから日記と言う物は、私からしたら大切な物なのだ。

そして、この日記には…気付くと彼の事ばかりだ。

(…偶然…なんだろうけど…)

心のどこかで、少し、暖かいような何かが引っ掛かる。

『一体…なんなんだ…』

と、私が独り言を呟いた瞬間…

『トントンッ!』

『私!エリーゼ!

ちょっと、話有るから良い?』

と、元気の良い幼馴染の声がドアの奥から響いた。

『わっ!?分かった!入れ!』

私は何か恥ずかしい物を見られたような気持ちになり、思わず日記を椅子に座る自分の目の前に有る、黒と白のペンキで塗られた木製の机の、引き出しに隠してしまう。

『ん?どうかしたの?』

エリーゼはとぼけたような顔をして聞いてくる。

『え、特には何も無いが?

と言うか、エリーゼこそ話とは何だ?』

明らかに不自然な態度を取ってしまう。

しかし、エリーゼは何をしても話してくれなさそうとでも思ったのか、質問を続けるのを諦めて、私の質問に返してくれた。

『…あの、さ?』

エリーゼは途端に言葉を詰まらせる。

『うん?』

思わず此方も困ってしまう。

(いつもなんでもハッキリ言うエリーゼらしくないな)

と、思いつつも私は返事を待った。

すると…


想像もしていなかった答えが返ってきた。



『最近、飛竜とどうなのよ?』



『え?』

理解が出来なかったように、スカーレットは口をポカンと開けたまま…それこそ、鳩が豆鉄砲をなんたらな顔で固まった。

そして、みるみる内に顔を真っ赤にした。

『そ、それはつまり…ど!どういういみだ!?』

完全にテンパっている様子のスカーレット。

(何か、有ったかのような反応…これは…いじりがいが有るわね!!)

私はついついニヤニヤしてしまう。

『最近飛竜と何が有ったの?ねぇ!』






飛竜とはエリーゼには吸血鬼から聞いた話を話して相談しようと考えていたので、良い機会だし、と、事の全貌を一から話すことにした。


『…と言うことが有ったのだ』


話終えると、『キャー!お熱いねぇ!』と、訳の分からない事をエリーゼは言う。

『え?何処がだ?怪物が心を持つ所の何処が熱いのだ?

確かにあの吸血鬼の友人への心は熱いが、それか?』

私はそう聞いてみたが、『そこじゃなくて!!』と、否定されてしまった。


『スカーレットのためにあのクールな飛竜がそんなに熱くなって、鍛練して一人で突っ走って助けに行くとは…ひゅーひゅー!お熱いねぇ!』


その言葉に私は何故か顔が熱くなっていくのを感じた。

『や、それは!たっ!単純に飛竜がや!優しいだけだ!』

何故か更に、呂律が上手く回らなくなった。

『おっとー?何々ー?

動揺しちゃってるのー?』

と、エリーゼは私の顔を覗き込んできた。

『や、今のはだな!そ、そういう、ど!動揺とかではなくてだな!』

私は全力で自分の顔の前で両手を振りながら、否定する。

しかし、そんなものが、エリーゼに届く筈もなく…

『ふふっ!そっかー…』

と、笑われてしまう。

『と言うか、それだけ聞きに来たのか?…』

と、私は思わずその様子に呆れてしまった。


その様子をもし、他人が見ていたとしたら、とても微笑ましい女子会に見えたであろう事は誰も知らない。

ーエリーゼのキューピッド遍歴①ー

エリーゼ自身は色恋沙汰じゃなくて、友人関係になりがちなフレンドリーさを持つのだが、どうも、エリーゼは友人ができると、その友人同士が焦れったい関係な事が多く、その焦れったさを解消し、くっ付ける事が大得意であり大好きなのである…


そんなエリーゼの最初のカップル成熟計画を遂行した日は、幼稚園の頃であった…


『やーい、してやったりぃー!』

そう叫ぶのは、エリーゼの友達である男子a。

『やめてよぉひどいよぉ、おもちゃかえしてぇ』

大泣きしているのはエリーゼの友達である女子a。


エリーゼはこの光景を見て思った。

焦れったい…と。


『もー、ひとのものうばっちゃだめだよっ

ほら、aちゃん』

エリーゼは女子aに男子aから奪い返したおもちゃを渡す。

『うぅ…ありがとぉ…』

鼻をすすりながらも、女子aは礼を口にする。

『いーのいーの!

ていうかaくん!きをひきたいからってだめっ』

『はっ!?』

エリーゼがそう叫ぶと、男子aは顔を真っ赤にした。

『べ、べつにそんなんじゃない!

おれはっ、あそんでただけだしっ』

男子aは無駄な言い訳をする。

が、顔が真っ赤なので無意味である。

『aちゃんも、こまったらわたしをよんでっていったのによばなかったもん

それって…おもちゃとられるのはかなしいけど、はなしかけられてうれしいんじゃないの?』

と、エリーゼは女子aに向かって問いかける。

すると…

『うわぁん、だってぇ…!

それいがいではなしかけてくれないんだもんぅ…!』

と、顔を少し赤らめつつも泣き始めた。

『もー、そんなときは!

なかなおりしよーね!ね!』

と、エリーゼは念を押す。


『『ごめんさいっ!!』』


結局、その日から調度一週間後のバレンタインに女子aが…

『おかーさんとつくったの!あげる!』

と、チョコを渡して…

『ありがとな…その…うれしい!』

と言う会話が行われ、結局そのまま小学一年生に成った時に付き合うことになったらしい。

多分、あの時にエリーゼが互いの本心を言い当てなければ、互いの気持ちになど気付かなかっただろう。

きっかけとは案外小さな物らしい。


そして、小学一年生のエリーゼがそれを知ると…


『二人をくっつけるのたのしい!』


と、キューピッド役にハマってしまうのであった…



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