第19話・彼と想いと。
『喰らえ!!
Disappear・Kill!!』
『止めろ!!』
俺の怒りが織り成す闇の必殺技。
それは、何故か又かと諦め、苦しそうな顔をする吸血鬼の前に立ちはだかる、大切な彼女の方へと向かった。
『な、何で!?
お願いだ!避けてくれ!!』
(こんな風にあんたを傷付けたくはないんだ!
お願いだ!避けてくれ!!)
心の中でも、現実でも…
俺は、彼女に届くようにと叫んだ。
しかし、それは届かず、攻撃はスカーレットに当たる。
『っ…』
スカーレットは痛そうに顔をしかめる。
『何であの攻撃を受けても避けないんだ!』
先程の攻撃は、最大級のエクソシストの攻撃の一つだった。
それは、防御をしながら受けてもかなり堪える物だったが、それをろくに防御もしないで喰らえば、普通なら立てないだろう。
しかし、彼女は立っている。
それは、何を意味するか…
『そうか、信じていたのにな…
お前は、怪物のかたを持つのか…』
『流石にあんたには幻滅した…』
『じゃあな…』
信じていた気持ち、想い、助けたいという思い。
他にも…全てが壊れたような、そんな気分にやられた。
もう、感情がごった煮されて、涙さえも枯れ果てた気分だ。
そう言って立ち去る彼の背中は、寂しそうで、苦しそうで、とても一言では言い表せない物だった。
そして、その背中をただ、呆然と見詰める事しか出来ない彼女の頬には、もう一度雫がつたっていた。
(駄目だ…これじゃ…届けないと…)
(絶対に後悔する!!)
そして、私は、彼の方へと走り出した。
『飛竜!聞いてくれ!』
柄にもなく私は、大声て彼を引き留めた。
『何だよ…今更…』
少しだけ寂しそうに、振り返らない彼の声は、珍しく震えていて、冷たかった。
『怪物と呼ばれるあいつにだって心は有るんだ…』
その言葉は飛竜に衝撃を与えた。
『心が有る…いや、まさか!?』
俺は、衝撃的な言葉に思わず振り返った。
(そもそも、確かに、いや、でも、まさか、そんな事…有るわけ…)
怪物はNPCであり心など有るわけもない。
そんな常識はゲームの頃と変わらぬ物だと、何処かで思い込んでしまっていた。
(でも…まさか…いやでも…)
俺の心は揺れに揺れ、脳内には濁流のように情報や考察が行き交い、混乱を生んでいた。
『あいつにだって過去があったんだ』
しかし、その言葉に俺の思考は停止した。
そして俺は、その全貌を理解した。
そして、俺はスカーレットに必死で謝った。
そして、スカーレットはその優しさで許してくれた。
そして、吸血鬼にも自分から謝った。
『俺も…悪かった…』
スカーレットをさらった事を反省したように縮こまる吸血鬼は、人間らしさを感じた。
とても俺は、怪物扱いされてきたとは思えなくなっていた。
そして俺達は、彼の様子を見るために、定期的にここに訪れる事にしたのだった…
皆様御早う御座います
十六夜零です
えぇと、何故久しぶりに後書きに私が顔を出したかと言いますと…
いや、前回の投稿が予約通りされた頃、ふと、いせツンの製作者側の方のページを見ていたわけです
次回の予約しておこうとか色々思いまして
そして…気付きました…
いつの間にか…そう、ついに…!
いせツンがブックマークされました…!
しかも二件…!
総合評価も4ptも…!
無名すぎる私からしたら、これだけで日々の執筆の励みになります
有難う御座います
引き続き、いせツンを宜しくお願い致します




