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異世界でツンデレちゃんは恋に落ちた。~unstable・story~  作者: 十六夜零
3章ーThere is a shadow behind the fun. ー
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第18話・怪物と私と。

『だけど本当は…ただ!寂しかっただけなんだ!

親友が…親友が欲しかっただけなんだ!

この気持ちを分かってくれる人が欲しかっただけなんだ!

だから…だから!…

俺は、久しぶりに人に会って、思わず、こんな事をしてしまった…

許してくれなんて言わないし…言えない…だけど…

これだけは…言わせてもらう…』












『お前らが怪物だって言う奴等だって、意思とか心は有るんだからな!』


その言葉は、スカーレットの心の奥深くに届いた。

そして、響いた。

こんなにも響く言葉は…飛竜の言葉と…あの人の約束の言葉だけだった。


(泣いちゃダメだ…今泣きたいのは彼だ…)


そう思っても、涙が止まらない。


『ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…』


私は謝る事と泣く事しか出来ない。


(何て私は非力なんだ。

何て私は無力なんだ。

何で私は想像力に欠けるんだ。

考えれば分かった事だろうが…

この世界は、私達以外も皆意思と心が有るなんて…)


彼女は涙を流した。

それは、自分の弱さへの苦しみと…

もう一つが分からなかった。

もしかしたら、それが分からない苦しみによる涙かもしれない。






この二人はまだ気付かない。

仲間の苦しみに気付けなかった。

それだけの理由の涙かもしれない可能性に。

素直じゃない彼らは気付かない。

まだ(・・)、気付かない。






すると…不意にあの懐かしい仲間の声がした。

『吸血鬼…居るんだろ?…出てこいよ!!

スカーレットの仇…とってやる!!』

(飛竜…やっぱり…飛竜と話がしたい)

その声に思わず反応する。

(飛竜ならきっと、分かってくれる)

(だから、敵だって辛い事を…)

(話したい!)






しかし、その想いはそう簡単には、今の彼には届かない事を彼女は知らない。






『スカーレット…生きてる!!…て、お前…泣いて…』

スカーレットは予想に反して生きていた。

(良かった…生きてて…)

しかし、同時に怒りがこみ上げてきた。

(あの、様々な意味で強いスカーレット泣いてる…

こいつ…そこまで卑劣な事をスカーレットに…)

俺は、様々な卑劣な行為を想像した。

(許さない…許さない…許さない…)

『俺は!お前を絶対に許さない!!スカーレットを泣かせた責任は取ってもらう!』

『待て!止めろ!飛竜!』

(何でスカーレットが俺を止めるんだよ!)

『クソッ…』

(まるでそれじゃあ…俺が悪いみたいじゃねーか!)

(まるでそれじゃあ…


スカーレットが怪物の仲間みてーじゃねーか!!)


信じていた物が崩れると、案外人間とは、容易く壊れる物なのだ。

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