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異世界でツンデレちゃんは恋に落ちた。~unstable・story~  作者: 十六夜零
2章ーThe little bird didn't flyー
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第10話・見送られる者、見送る者。

アンネ帰還作戦の内容は、意外と簡単な物だった。

なるべく隠密に助けるために私はアキバに残って、シストラスティー村には飛竜とエリーゼが向かう事に成った。

ミミはまだ見習いなので、ミミにだけ事情を説明して、私と一緒にアキバに残る事にした。

他の皆には事が終わるまでは、“情報収集の為の数日間の旅”と言う事にした。

こうして、

アンネ帰還作戦は始まったのだった…






『特にプレイヤーには気を付けて行けよ』

『あぁ…』

私が飛竜にそう言うと彼は真剣な表情で反応した。

『じゃあ、ミミの事宜しくねー』と、他のギルドメンバーにバレないよう、小声でエリーゼが私に言う。

『あぁ、安心しろ』

と、私は笑顔で反応する。

どんなプレイヤーが居るかも分からない場所に行くのに、私の心配そうな顔で、更に不安にさせたくはなかった。

そもそも、心配なんてこれっぽっちもしていない。

だって…

私は飛竜とエリーゼを信頼しているから。

こうして、彼らはシストラスティー村へと向かった…






『で、では…今日から数日間…よっ…宜しくお願いします…』

ミミはたどたどしく私にそう言う。

『そう、緊張するな。

私達は同じパーティーだ。

気楽に行け。

今、緊張するべきなのはあっちだ』と、言いながら私は飛竜とエリーゼの小さな影を見つめた。

『そ…そうですね…ありがとうございます…』

と、ミミは少しばかり緊張がとけたのか微笑んだ。


『私達は彼らじゃない…

私達は私達に出来る最善を尽くそう。

それは…


自分達で今から考える課題だ』


私は独り言かのように遠くを見つめながら、ミミにそう言ったのだった…






俺…飛竜は少しだけ寂しく感じた。

(幼いな…)と、俺は心の中でため息をつく。

彼女…スカーレットは大人び過ぎている時がたまにある。

まるで人を寄せ付けないようなオーラ。

あれは俺には一生出せない事を確信していた。

やはり、ギルドマスターとして認められる人間とその補佐では話が違うのだろう。

でも、彼女ならこんな時、こう思うと俺は思った。


(自分に出来る事だけに専念しろ。

それが自分に出来る最善だ。

他の人が出来るけど、自分に出来ない事が有って当たり前だ。

それが人間だ。

人間は補い合えれば最強になる)


彼女は強い。

彼女の背中は誰よりも逞しい。

心強い。

だからこそ、彼女に頼ってもらえるのなら、寂しがられなかろうが、自分が寂しかろうが、自分の出来る事に専念しようじゃないか。

それこそが彼女に求められた俺だけの…


(最善なんだ)


彼の顔は一瞬にして逞しく変わっていた。

それは彼女の力ではない。

彼自身の力だった。

彼は進む。

自分の考える求められた最善へと向かって。

その背中をエリーゼは追いかけた。

(成長したわね…)

なんて、心の中で呟きながら…

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