表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ギルドマスターは今日もギルドを運営します! ~今日のお仕事はなんですか?  作者: 藤瀬京祥


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

783/808

783 ギルドマスターは敗れた下僕を投げます

PV&ブクマ&評価&感想&誤字報告&いいね、ありがとうございます!!

 ちょっと意味がわからないんだけど、とりあえずわたしはカニやんに勝利したらしい。

 それが栄誉あることなのかどうか……全然わからないんだけどね。

 カニやんはあのあと慌ててタマちゃんを召喚したけれど、いつものように全く相手にされなかったっていうね。


 自業自得です


 だってほかに言い様がないじゃない。

 うっかりとは言えすっかり忘れていたんだから、タマちゃんのことを。

 わたしだったら絶対にルゥのことを忘れないわ。


『嘘つくなや』


 負け犬の遠吠えよろしく、カニやんがどこからともなく呼びかけて……いえ、突っ込んでくる。

 そこはほら、カニやんは関西人だからね。

 ちゃんと合わせてあげないと。

 わたしにだってその程度の情けはあります。


『やったらちょっとくらいモフらせろや』


 それとこれとは別の話です。

 わたしはルゥの気持ちを一番に考えたいから。


『嘘つけ、自分が触らせたないだけやん』


 あら、そんなことないわよ。

 わたしがなにも言わなくてもカニやんはルゥに蹴られてるじゃない。

 それこそ見ていないうちに蹴られて、いきなり吹っ飛んでくるじゃない。


『まぁそういうこともあるわな、たまにな』


 よくあることだと思う。

 それこそカニやんあるあるみたいな?


『なんやねん、それ?』


 言葉どおりだけど。

 ちなみに直通会話が通じているということで、カニやんはわたしと同じ白軍(はくぐん)です。

 珍しいことにカニやんが白軍です。

 イベントエリアに転送されると、開戦前であっても自軍としか直通会話は使えないからね。

 内通者が出るとでも思っているのかしら?


『それはそれで、ゲームとしてはおもろいけどな』


 そう?

 だって自軍が負けたらポイント入らないのよ?

 イベント的にも、内通者のあぶり出しとかする要素ないし。


『そうか?

 それよか俺が白軍なんが珍しいんやなくて、グレイさんが紅軍(こうぐん)になるんが珍しいねん』


 そう? ……なんて話しているうちに、どこか遠くから、でもはっきりと開戦を知らせる法螺の音が聞こえてくる。

 期間限定イベント 【ヤシマの眩惑】 二日目第三戦、夜の部が始まる。

 一般エリアからイベントエリアに転送されてきた時点では見えなかった敵軍が、法螺の音とともに姿を現わす。

 それに伴い一気に騒々しくなる夜の海。


 ひどく明るい月明かりに照らし出される互いの姿を見て、あるプレイヤーは声をあげながら、あるプレイヤーは無言で斬り掛かる。

 わたしは詠唱だけどね。


「起動……」

『またあとでな』


 カニやんも臨戦態勢に入る。

 インカムから聞こえてくる声だけでは向こうの様子はわからないけれど、いわゆる緊迫感はない。

 だからといって近くに敵がいないはずはないというか、絶対にいる。

 転送位置はランダムだからね。

 つまり余裕ってことかしらね。


「業火」


 とりあえず近くにいる紅軍プレイヤーを、職種(クラス)問わず焼き払う。

 幸いにして高レベルプレイヤーはいなかったのか、【業火】 の焔が消えたあとが空白地帯になる。

 もちろんだからって油断は大敵です。

 敵は360°どこからでも狙ってくるからね。


「起動……」

「きゅ~♪」


 わたしの詠唱を聞いてルゥが楽しそうな鳴き声をあげる。

 一瞬 【かまいたち】 を発動するのか思って焦ったけれど、ただ楽しかっただけみたい。

 うん、ルゥも楽しそうでよかったわ。

 だってほら、小林さんに言われちゃったからね。

 直後のことでもあるし、今戦はちょっとおとなしくしておこう……いえ、ルゥにはおとなしくしていてもらおうかなと思って。


 わたしはいいのよ


 いくら運営とは言っても、いちプレイヤーの火力を制限することは出来ないからね。

 本当はルゥだってわたしの火力の一部だけど、まぁ今回はおとなしくしておくわ。

 わたし自身の火力は加減しないけど。


「スパイラルウィンド」


 渦巻く風が波を起こし、よりによってわたしが足場にしている小舟まで揺らすっていうね。

 もちろん紅軍プレイヤーは落としてくれるけどね、危うくわたしも海に落ちそうになりました。


 やっぱりすわります


 安全のためにね。

 ほら、開戦前は波が小さいから辛うじて立っていられたの。

 さすがに六戦目だし、ちょっとは慣れたっていうか。

 それが開戦で周囲の小舟が揺れて不規則な波が立ち、さらには自分で波を起こしてしまうという悪手。

 いや、悪循環?


 どっちでもいいわ


 とりあえず安全のため、すわっておきます。

 どうせだったらシートベルトも欲しいところだけれど、舟が沈没した時に運命共同体になるのでやめておきます。


「起動……百花繚乱」


 轟音爆音に風切り音、激しい水音。

 それにプレイヤーが上げる喚声に剣戟、あと銃声も。

 そんな騒音の中、わたしに耳に入ったある言葉……


「首切り女!」


 …………ひょっとして……うん、ひょっとしてだけど、わたしのこと?

 えーっと、その首切り女というのはわたしのことかしら?

 ひょっとしたらひょっとして違うかもしれないわけで、考え込んでしまったら、わたしの反応が悪いと思ったのか?

 いえ、反応していないと思ったのかもしれない。


「そこの首切り女ー!!」


 一層声を張り上げてきました。

 ちょっと低めだけど、女の人の声よね? ……とか思いながら振り返ったら……その、個性的?

 うん、たぶん個性的で合ってると思う。

 全体的な装備は剣士(アタツカー)なんだけど、その……なんていうのかしら?


 ローズとかバロームさんとか、ビキニアーマーの女性プレイヤーは何度か見たことがある。

 バロームさんなんて魔法使いなのに、なぜかマントの下がビキニアーマーなのよね。

 あれ、本当に意味がわからないんだけど、とりあえず今は置いておきます。

 水着つながりで二人とビキニアーマーを思い出したんだけど、その女性剣士(アタッカー)は、いわゆるハイレグ水着を着ていました。


 だからどうして水着なの?


 ほんと、あの手の装備って意味がわからない。

 どこをどう間違えてもわたしは絶対に着ないけど、着る人は着るのよね。

 なぜか知らないけど。

 基本的に人は人、わたしはわたしという考えだけど、その、水着装備だけは目のやりどころに困るというか、どうしたらいいのか……。

 しかもビキニだけでなくハイレグもあるとか。


 ほんと、どうなってるの?


 確かに今は夏だし、今回のイベントの舞台(ステージ)は海だし。

 でもわざわざ夏仕様の装備として作ったわけじゃないでしょ?

 ローズもバロームさんも年中あの装備だもの。

 きっとこの女性剣士(アタッカー)もそうよね。

 しかもハイレグ水着の上からビキニアーマーを装備しているということは、重装ってことなのかしら?

 VITとしては計上されるのかしら? ……と思ったけれど、そもそもハイレグ水着にどれほどのVITがあるのよ?

 あれ、ないわよね?

 普通の水着より動きやすそうではあるけれど、足を長く見せることに意味なんてあるの?

 すくなくとも仮想空間(ゲームの中)ではないと思うんだけど、ひょっとしてひょっとするとAGI(機動力)に関連するとか?


 ………………


 うん、絶対関係しないわ!

 それよりも問題は……ちょっとハイレグに衝撃を受けて脱線してしまったけれど、一番の問題というか、注目点は、この女性剣士(アタッカー)が装備している武器。

 あれって、どう見ても槍よね。

 これまたひょっとたらひょっとするんだけど……


 ランサーさん?


 え? 待って、女性なの?

 え? 女性プレイヤーだったの?

 だって柴さんたち、そんな話は全然してなかったのに……というか、あの話し方だと普通に男性プレイヤーを想像しない?

 それとも柴さんたちが話していたプレイヤーとは別の人?

 いやいやいや待って、そんなタイミングよく同じ槍装備のプレイヤーが二人も現われる?

 これも普通に考えたら、柴さんたちが話していたのはこの人のことよね。


 でもって首切り女ってなに?

以前から申し上げておりますが、本作は夏真っ盛りで進行しております。

どうぞ、ご理解くださいませw

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ