772 ギルドマスターは新たな味方を発見します
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お久しぶりになってしまいました更新は、期間限定イベント 【ヤシマの眩惑】 2日目第一戦からのスタートです!
どうぞ、よろしくお付き合いくださいませ!
えーっと……不本意ながら現状を理解しました。
とりあえずスカッと一発ぶっ放しておきます。
「起動……」
「んじゃ俺も。
起動……」
「業火」
「俺も仕事したほうがいいよね。
起動」
「……氷雪乱舞」
「…………百花繚乱」
全然スカッとしないのはなぜかしら?
「知らんがな」
「一撃であれだけ落として満足出来ないんだ」
「どんだけ贅沢やねん」
二人こそ、どんだけわたしを贅沢者だと思ってるのよっ?
日頃からどんだけ贅沢してると思ってるのよっ?
言っておきますが清貧ですから。
極々普通のOLの給料なんてしれてるんだから、贅沢は敵よ。
大敵です!!
「あんた太っ腹な財布二つも持ってるくせに、なに言うてんねん」
「あーお兄さんね。
シスコンの双子のお兄さん」
の~りんまで一緒になって馬鹿にして……。
「仕事忙しかったからちょっとね」
「気持ちはわかるけど、わたしで憂さ晴らししないでよ」
「俺としてはカニやんの 【あ~】 が気になるんだけど?」
の~りんはカニやんの口まねをするけれど、残念なくらい全然似ていません。
むしろわざと似せてない? ……と疑ってしまうくらい似ていません。
わざと離してる?
「似てないのは自覚してるから」
わたしの突っ込みがしつこかったのかしら?
珍しく、の~りんに嫌な顔をされました。
いじめっ子にならないように気をつけないと……。
「あんたは気にせんでえぇで。
俺のあ~が気になるんやったらグレイさんの今の状態見たらえぇわ」
「見たけど……」
周囲の脳筋……ゲフゲフ……えっと、周囲にいる白軍の剣士を蹴散らしながらも、カニやんに言われてわたしのほうをチラリと見たの~りんが、ギョッとしたような顔をするのはなぜ?
それともギョッとしたように見えたのはわたしの気のせいかしら?
「え? わからん?
起動……」
「わからないっていうか、その……」
いつものの~りんといえばいつものの~りんだけど、なんだかはっきりしない返事ね。
わたしの背後にまたなにかというか、誰か来ているのかと思って振り返ったけれど、特に見知った顔は見つからない。
知らない顔なら一杯いるけどね。
「起動……百花繚乱」
「……スパイラルウィンド」
とりあえずスカッと一発かましておきます。
近寄られたらわたしが落とされるから仕方がありません。
不可抗力です
向こうはガッツリ落とそうと狙ってきているわけだし、わたしが遠慮をする理由がわからないというか、ないというか……うん、全くないわね。
皆無です
「あの人、舟が揺れて立ち上がられへんねん。
おまけに泳がれへんし、海上戦なんてどないすんねんって」
「あ~……」
なによ?
ちょっとなによ、その反応はっ!
の~りんまでカニやんと同じ反応しないでよ。
「しないでって言われても、だってそういうことでしょ?
そっか、グレイさん泳げないんだよね」
「泳げますって何回言えばわかるのよっ!
どう説明すればわかるのよっ?」
「グレイさんの泳ぐの認識が常識と乖離しすぎてるんだよ」
「難しい言葉を使えば正論になると思わないでね!」
「難しい言葉使わんでも正論やから」
とりあえず、まぁこのへんで戦略のようなものを決めようと思います。
わたしはここに残って白軍の足止めというか、可能な限り落としまくるから、二人は 【ヤシマ】 に向かってくれる?
ついでに途中で味方の支援をしてくれると助かるわ。
わたしはここを動けないから、その分も頼めると助かります。
無念
「そんな調子で昨日はどうしてたわけ?」
「昨日は……米俵よろしく、誰かが担いでやな」
「わかった」
なぜかカニやんの説明を最後まで聞かないの~りん。
なにがわかったのよ?
「昨日のグレイさんの様子」
「ひょっとして、の~りんってエスパー?」
「そんなわけないでしょ?
どんな厨二病?」
「ちょいの~りん、待って。
あいつら寄ってきそうやからその手の話題はなしで」
「あいつらって……ああ、カニやんの妹さんたちね。
確か 【3B】 だっけ?」
「それや、それ。
昨日散々やったからもう会いたないねん」
散々って、結構協力してもらったじゃない。
くるくるとかぽぽかとか助けてもらったのに、なに言ってるのよ。
そういえば昨日、カニやんは運動神経のいいオタクに文句をつけていたけれど、わたしは、いま舟の上で立っている全てのプレイヤーに文句を言いたいわ。
どうして立てるのよっ!
「むしろ立たれへんあんたに言いたいわ。
足腰どないなっとんねん」
「あの、さ……」
いま舟の上で立っているプレイヤーの一人であるカニやんに文句を言おうとしたら、寸前での~りんに割って入られた。
でも割って入るだけ入って、なぜか言いづらそうというか、言いたくなさそうというか。
そんでもってわたしのほうをチラチラ見て顔を引き攣らせるってどういうことよ?
気になるからわたしも、の~りんが見ているだろうわたしのうしろを何度も見るけれど、問題がないというか、知らないプレイヤーばかりなので落とすのに躊躇はいらないというか。
「起動……スパイラルウィンド」
「マジ、情けとか容赦とか加減とか、知らんよな」
「同感。
起動……」
「んで、の~りんはなに気にしてんねん?
起動……」
そこはやっぱりカニやんも気になるらしい。
隣り合った小舟で、の~りんはカニやんと一緒に乗ってるわけだけど……ひょっとして、わたしと同じ舟に乗るのは嫌だったわけ?
まさか……違うわよねっ?
「違うって言うか、偶然だけどこっちの舟にしといてよかったと思ってる」
え? ちょっと待って。
の~りんって、そんなにわたしのことが嫌いなのっ?
結構長い付き合いだと思っていたけれど、初めて知る新事実にちょっとショックを受けました。
「事実ちゃうから」
「カニやんの位置からは見えづらいかな?
俺も時々チラッとしか見えないんだけど、だから最初は見間違いかと思ったんだけど……いるよね?」
「なにが?」
「なにが?」
同じ言葉だけど、関西弁のカニやんとわたしとではアクセントが違うのよね。
でもまぁそれはたいした問題ではないからいいとして、問題はの~りんの 「いるよね」 です。
それこそわたしの背後に、昨夜の落ち武者が、成仏し損なっただけでなく海の底に還り損なって憑いているのかと思ったら背筋がぞわりとしたけれど、実際にの~りんがチラチラと見ているものは全然違ったっていうね。
「俺がチラチラ見てるんじゃなくて、そっちが動いてるからチラッとしか見えないんだよ」
「動いてる?」
「動いてる?」
またしてもわたしとカニやんの声が被る。
やっぱりイントネーションが違うのよね。
「うん、動いてるっていうか、転がってる?」
「転がってる?」
ここでようやく 「カニやんからは見えない」 とか 「動いてるからチラッとし見えない」 とかの意味を理解したカニやんはわたしが乗っている小舟を覗きこみ、わたしは自分の足下を見る。
いえ、足下というか、すぐうしろというか、うんまぁ船底をね、ごろぉ~りごろぉ~りと舟の揺れに合わせて転がって遊んでいたのよ。
ルゥが
「……ルゥっ?!」
「きゅ♪」
「はぁ? ワンコおるやん!」
「……だよね。
最初に一瞬見えた時は見間違いかと思ったけど……っていうかグレイさん、自分で連れてきたんじゃないの?」
そういえば時間がなかったというか、ついうっかりしていたというか、うん、しまうのを忘れていたような気がするわ……。
お久しぶりの更新となりました、申し訳ございません!
詳細は更新報告にて書かせていただくといたしまして、ルゥが参戦したとなれば次はあれが参戦かっ?!
というかルゥが参戦してもちょっとあれなんですけど・・・
覚えておられますでしょうか? 去年の夏(作中の)ことを・・・