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763 ギルドマスターは鏡に映る自分を殴ります

PV&ブクマ&評価&感想&誤字報告&いいね、ありがとうございます!!





魔法使いの天敵スキル 【震える鏡】 & 【愚者の籠】

それぞれを所持する 恭平 v.s. グレイ の対戦は・・・

「スパーク!」


 やられた! ……と思った時にはすでに遅かった。

 ついうっかりね、恭平さんが 【スパーク】 を使えるってことを忘れて思い切り突っ込んでしまったら、それはそれは見事に吹っ飛ばされました。

 その、ちょっとだけアキヒトさんのことを笑えなくなったわけですが、まだ間に合うこともあって、急いで反撃に出ます。


「スパーク!」


 目には目を、歯には歯を!


 やられたらやり返すハンムラビ法典。

 うん、でもあれってちょっと解釈が違うんだっけ?

 同じ程度しかやり返しちゃいけないとか、仕返しが認められるのは対等な立場の相手だけとか、制約みたいなのがついてるのよね。

 だから奴隷は、ほぼほぼ誰になにをされても仕返し出来ない。

 それどころか主人に代わって仕返しを受けさせられたりしていたとかなんとか。

 原典は楔文字っていうけど……えっとバビロニア?

 メソポタミアだっけ?


 駄目だ


 カニやんぶって蘊蓄を披露してみようかと思ったけれど、すぐに不勉強が露呈してしまった。

 恥ずかしいほどあっさりと。

 当のカニやんからの直通会話は途切れたまま。

 後方に退避している銃士(ガンナー)になにかあったのかもしれない。

 ちょっと心配ではあるけれど、まずは自分の状況をなんとかするのが先決です。


 放った 【スパーク】 でわたしを吹っ飛ばした恭平さんは、きっとわたしが海に落ちたところに追い打ちを掛けて斬りに来るかと思ったから、こちらからも 【スパーク】 を放って吹っ飛ばしておく。

 恭平さんが所持する常時発動(パツシブ)スキル 【震える鏡】 も、わたしが所持する常時発動(パッシブ)スキル 【愚者の籠】 も、無属性魔法は通用するからね。


 STRもVITも剣士(アタッカー)の恭平さんのほうが高い。

 でもINTはわたしのほうが圧倒的に高くて、【スパーク】 もわたしのほうが威力がある。

 おかげで恭平さんを吹っ飛ばすことが出来たわけだけど、たぶんVITで負けてわたしが跳ね飛ばされた威力もあったと思う。

 そもそも足腰の弱ったOL(わたし)の跳躍力で飛び移れるほど、わたしが乗っていた小舟と恭平さんが乗っていた小舟の距離は近かったこともあって海に落ちずにすんだけれど、この先をどうする?


 足止めは出来る


 再起動準備(クールタイム)が終わった 【クロノスハンマー】 を使えばいいからね。

 それこそ何度でも 【クロノスハンマー】 を使えばいい。

 効果を振り切って恭平さんが近づこうとすれば 【スパーク】 で吹っ飛ばす。

 それで恭平さんの攻撃は防げるというか、接近を阻める。

 基本的に剣士(アタッカー)は接近戦だからね。

 剣の間合いに入らないよう接近を阻めば、とりあえずこちらがダメージを負うことはない。


 範囲魔法の 【クロノスハンマー】 と同じ無属性の単体魔法 【グラヴィティ】 もある。

 効果はほぼ同じといっても威力は全然違うし、ひょっとしたら 【スパーク】 と同じく、恭平さんも 【グラヴィティ】 は使えるかもしれない。


 あら?


 これはひょっとして要注意じゃない?

 だって無属性だと 【震える鏡】 同様に 【愚者の籠】 も無効だもの。

 危ない危ない、いま気がついてよかったわ。

 まぁいずれにしても、無属性のスキルで足止めは出来ても、常時発動(パッシブ)スキル 【震える鏡】 を所持している恭平さんに通常の魔法攻撃は通用しない。

 つまりわたしも攻撃出来ないっていうね。


「恭平さん、マジ天敵」

『あんたもな』


 思わず呟いてしまったら、聞いていないと思っていたカニやんに呟かれた。

 いつ直通会話を繋いだのよ?

 でもね、当の恭平さんからはちょっと意外なことを言い返された。


「【クロノスハンマー】 で足止めして逃げると思ったのに、意外」


 まさかわたしが屍鬼を持って攻めてくるとは思わなかったって……恭平さんに言われてわたしもハッとしました。


 その手があったかーっ!!


 わたしとしたことが、そんな当たり前のことに気づかないなんて……。

 ちょっとあれね、最近のわたしは魔法使い(モヤシ)の自覚に欠けるというか、無駄死にの自覚がないというか……。

 いえ、まぁわたしたち白軍(はくぐん)は、終戦時の生死は関係ないから無駄死にかどうかはどうでもいいわけだけど、でもそうよね、言われてみればそうじゃない。

 ただでさえ近寄られれば落とされるのが運命の魔法使い。

 魔法使いの天敵スキル 【震える鏡】 を持った剣士(アタッカー)に真っ向から挑むなんて愚の骨頂!


 馬鹿の極み!!


 自分でも呆れるぐらいのミスだわ。

 愚か者は籠だけで十分よ。


 ……ん?


 待って待って待って、今からでも十分逃げられるわよね?

 丁度 【クロノスハンマー】 の再起動準備(クールタイム)も終わったことだし、パパしゃんには申し訳ないけれど、わたしは一度退却ということで……


 駄目?


『全然OK。

 結局グレイさんとやったら勝負着けへんてわかってるから、恭平もうしろから奇襲かけたんやろうし。

 初撃外したら恭平も引かざるを得へんやろ』

「引かないと思うけど」


 うっかりカニやんが話し掛けるから、逃げるタイミングを外しちゃったじゃない。

 しかも恭平さんったら、撤退するどころか張り切って飛びかかってきたわよ!

 ちょっとわたしの 【スパーク】 の威力で負けて、吹っ飛ばされついでに海に落ちたけれど、剣士(アタッカー)はSTRもVITもあるからね。

 あ、VITは関係ないか。

 でも事務仕事(デスクワーク)で日々脚力が弱っているOL(わたし)とは違って、恭平さん、運動神経は普通にあるからね。

 すぐ海から上がってきました。


 恭平さん的には接近戦に持ち込んで斬りたい……というか、わたしも常時発動(パッシブ)スキル 【愚者の籠】 を所持しているからね。

 【震える鏡】 と同じく、魔法使いの天敵スキルよ。

 【ファイアーボール】……いえ、ひょっとしたら恭平さんのことだから、もう一段上の 【ホットポット】 くらい使えるかもしれない。

 でもわたしは魔法攻撃を吸収する常時発動(パッシブ)スキル 【愚者の籠】 を持っているからね。

 恭平さんは攻撃型魔法使い(ソーサラー)ではないけれど、折角使えるものは有効に使う人。


 頭が良いからね


 でも 【愚者の籠】 を所持するわたしが相手だと、剣士(アタッカー)本来の物理攻撃しか通じない。

 うん、まぁ本業に戻るだけだから問題はないというか、普通というか。

 頭の良い恭平さんが通じない魔法攻撃に固執するはずもないというか、そもそも剣士(アタッカー)なわけだし。

 わたしの行動を 「意外」 なんて言いながら斬り掛かってきました。


「スパーク」

「クロエ!」


 とりあえず距離を取りたくて吹っ飛ばしたんだけど、刹那……いえ、ほぼ同時にわたしも頭を吹っ飛ばされる。

 誰がわたしの頭を撃ったかなんて、この状況で疑う余地があるとでも?


 クロエ!!


 他にいないじゃない。

 恭平さんだってクロエを呼んでたというか、合図を出していたし。

 状況的に考えて、わたしの 【スパーク】 が一瞬早かっただけで、恭平さんにとっては狙っていたタイミングだったと思う。

 自分にわたしの意識を向けて、本命のクロエが撃つ。

 まぁそんな手の込んだことをしなくても、クロエは撃つと決めたら撃つし無駄弾は使わない主義。

 つまり撃ったら絶対当てます。


 百発百中


 もうね、それはそれは腹が立つくらい見事な命中率でね。


「グレイ!」

「ギルマス!」


 こちらの巻き添えを配慮してくれたのか、少し離れたところで遣り合っている重量級二人の声がする。

 ご心配をお掛けしました。

 うん、心配してくれてるのは間違いないけれど、直後、パパしゃんの豪快な着地で、轟音とともに激しく海面が揺れる。

 クロエに撃たれた直後のダメージで、わたしは頭からHPを流出させながらも動けず。

 足場にしている小舟が巻き込まれて激しく揺れると、踏ん張ることも出来ず海に放り出される。

 ついに落ちました……。


 初落水


 パパしゃんに文句を言うつもりはない。

 だってそういう仕様だし?

 クロエが撃ってくることはわかっていても、タイミングはわからないからね。

 同じくクロエは紅軍(こうぐん)だから白軍のわたしを撃つのもわかるけれど……うん、わかるの。

 わかるけれど納得出来ないというか、釈然としないというか、どうしても、こう、文句の一つも入ってやりたくなるのはやっぱり敵だからよね。


 言わないけど


 言ったところで聞こえないじゃない。

 どう考えたって銃士(ガンナー)のクロエが、この状況でエリアチャットの範囲内にいるとは思えないというか、いるはずがない。

 かといって直通会話が使えるのは自軍のみ。

 万が一にも不具合(バグ)で話せたとしても、金髪の美少年が吐き出すのは猛毒。

 それこそ巨大な鯨ですら一言で瞬殺出来るくらいの猛毒です。


 No Thank youです


 下手をしたら心を折られるかもしれない毒を好き好んで食べようなんて、どんな物好きよ?

 いわゆるゲテモノ食いにもほどがあるでしょう。

 ちろっと舐めるくらいの毒味だって御免よ。

 そもそも今のわたしには、攻撃手段のないクロエにかまっている余裕はない。

 射程が全然届かないからね。

 それ以前に姿が見えないどころか、どこにいるかもわからないわよ。


 そんなクロエより恭平さんよ、恭平さん。

 タッチの差で 【スパーク】 で吹っ飛ばしたとはいえ、すぐに追撃を仕掛けてくるはず。

 聞いた話では、水中では少し動きが鈍るらしい。

 その点、やはり多少威力が落ちるらしいけれど接近戦ではない魔法攻撃のほうが有利だけど、その魔法攻撃が恭平さんには通用しない。

 となると結局水上戦と同じになるわけで……


 わたしが不利!!


 急いで状況を確認しないと! ……と思って慌てて水から顔を出した目の前で、丁度船縁に足を掛け、今にも飛び込もうとしていた恭平さんとばったり遭遇。

 ほんの1mくらいの距離かしら?

 目が合い、ヤバイ!! ……と思った刹那、恭平さんの眉間に一つ。

 ほんの一瞬遅れて額に一つ、黒い穴が開く。

 続いてその穴からHPが流出し……あ、撃たれたんだ。


 え? 誰?


『誰てあんた、まさか俺や思てへんやろな』


 そういえばカニやんの狙撃って見たことないかも。

 わたし並みに壊滅的とか? ……うん、まぁいいけどね。

 とりあえず狙撃によるダメージで硬直した恭平さんは、撃たれたタイミングが最高に悪くてそのまま前のめりに海にドボン……うん、まぁ普通はそうなる状況です。

 その手には抜き身の剣を持っているけれど硬直しているからね。

 落水のついでにわたしの首を……というわけにもいかず。


 わたしはわたしでこのままだと落ちてくる恭平さんの下敷きにされるわけですが、丁度わたしも抜き身の屍鬼を持ってるんです。

 おそらく恭平さんも、すぐには事態を理解出来なかったんだと思う。

 わたしの場合は、撃たれる直前に恭平さんがクロエを呼んだし、クロエが紅軍だってわかっていたから狙ってくる可能性があることはわかっていた。

 でもこの状況で恭平さんが撃たれたとなると、狙撃手の見当が皆目……あ! あ~ひょっとして……


 あの二人か


 うん、たぶんあの二人ね。

 でも確かめるのはあとで。

 せっかく作ってくれたチャンスだもの、最大限に有効活用させていただきます。

 ということで、硬直状態で落下してくる恭平さんの首を屍鬼でサックリ斬ってみました。


「……誰?」


 斬られた首から大量のHPを流出させる恭平さん。

 斬られた場所が場所だから落ちるのは確定なので、その質問には答えてあげます。

 もちろん多分だけど……


「ぽぽとくるくる」

「あの二人……」


 悔しそうな顔で何か言い掛けた恭平さんだけど時間切れ。

 一般エリアに転送されてゆきました。

一度は助かったグレイですが、結局ドボンしましたw

クロエの痛い一発を食らいつつ、ぽぽ&くるくるの助けを借りて恭平を撃退。

でもまだクロウが・・・

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― 新着の感想 ―
[一言] なるほど……………… ]_・)カニやんは妹の彼氏に襲われそうになったか………………(゜_゜ )←マテ ]_・)よーく見たんだけど、誤字が見つからない………………(´;ω…
[一言] クロエで一発なグレイに対して、二発受けた恭介さんはグレイのちょっきんで撃沈(笑) ちょうど、真ん中なのか………………位置が
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