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756 ギルドマスターはチキンとナゲットの揚げ方を悩みます

PV&ブクマ&評価&感想&誤字報告&いいね、ありがとうございます!!




ご無沙汰しておりました、久しぶりの更新です。

まさか五ヶ月とか空けてしまうとは、作者としても不本意だったのですが・・・(汗

張り切って再開・・・といきたいところですが、グレイたちは相変わらずのようです。


どうぞ、よろしくお付き合いくださいませ!

「起動……業火」


 カニやんがトール君に少し話したとおり、わたしの提案した作戦はいわゆるチキンレース。

 だから紅軍(こうぐん)が乗ってくれないとレースそのものが成立しない訳で、わたしたちは注目を集めるべくあえて派手に振る舞わなければならない。

 うん、まぁわたしの性格としてはその、注目は集めたくないというか、目立ちたくないというか……


 こっちを見ないでください


「自分で立案しといてなに言うとんねん。

 起動…………氷雪乱舞」


 えぇえぇわかっていますとも。

 だから責任持って派手にやってるじゃない!

 不本意ながらも頑張ってるじゃない!

 この頑張りが見えないなんて、カニやんの目は節穴かしら?


「あんたの目が一番節穴やろ」

「わたしの視力、そんなに悪くないわよ?」

「そういうところな」


 そもそもこのチキンレースは白軍(はくぐん)こそ乗ってくれないと、意味がないとまでは言わないけれど、紅軍は乗ってくれないと思う。

 わたしたちだけは圧が弱いからね。

 掛ける圧が強ければ強いほど紅軍がチキンになるというか、ナゲットになるというか……そういえばわたし、料理出来ないのよね。

 だから圧の掛け方というか、加減とかがわかりません。


「起動……百花繚乱」

「いや、そんなうまいことジューシーに揚がってくれるとは限らんけどな」


 やっぱりジューシーに揚げるには圧力が肝心よね。

 そのためにも是非白軍の協力が不可欠です。

 うん、まぁカニやんの言うとおり、そんなうまくは揚がってくれないというか、紅軍にも思惑はあるわけで、それももちろんわかっているけれど、仕掛けないわけにもいかないのよね。


「起動…………ダイヤモンドダスト」


 クロエやぽぽ、恭平さんに 「真面目に働け」 と散々言われて、わたしとカニやんはお仕事をしながらだからトール君への説明がなかなか進まない。

 ま、まぁその、わたしもカニやんも脱線が多かったのは否めませんが……。

 けれどクロウがSTR任せに漕ぐ舟はどんどん進んで、ほどなくおおよその目的地に到達してしまう。

 トール君への説明が終わる前にね。


 この脳筋!!


「だったら米俵みたいに運んでもらえばよかったんじゃない?」


 それはお断りいたします。

 そもそもわたしの運搬方法とか、今の話とは関係なくない?


「ほんと、我が儘なんだから」


 我が儘についてはクロエには言われたくありません。

 我が儘大王のくせに。


「僕なんかよりクロウさんのほうが全然我が儘だけどね」


 うん、そこは否定しません。

 クロエは我が儘大王だけど、クロウは我が儘大()王だからね。

 しかも寡黙なくせに、なぜかその我が儘はがっつりとおっているっていうね。

 ほんと、どうやって押し通しているのかしら?

 わからないから邪魔出来ないというか、阻めないというか。


「それよりカニやん、トール君に説明しなくていいの?」

「え? 最後まで俺が説明せなあかんの?」


 ここは乗りかかった舟。

 最後までお願いいたします。


「えっと、よろしくお願いいたします?」


 いつものように遠慮がちなトール君だけど、なぜか語尾が疑問形。

 ん? どうかした?


「その、お願いして説明してもらうとか、面倒を掛けてるんじゃないかと思って……」

「起動……業火」


 そこは気にしなくていいんじゃない?


「トール君はね」

「グレイさんは気にしたほうがいいよ」


 カニやんではなく、銃士(ガンナー)コンビの突っ込みが入りました。

 うん? ぽぽったら、カニやんだけでなくわたしにまで当たり強くない?

 そんなにくるくるが落とされたことを根に持ってるのかしら?

 それについては合流したあたりの説明で理解してもらえたと思ったけど、やはり感情と理性は別物ということかしら?


 無理なものは無理だったのよ!


「そこにこだわってるグレイさんが一番気にしてるんでしょ?

 ぽぽ、五時の方向」

「……あの迷彩って、ひょっとして 【鷹の目】 じゃない?」

「それがなに?」

「OK」


 昨日の友は今日の敵。

 うん、昨日じゃなくて 「さっきの友」 と言うべきかしら?

 照準器(サイト)に捉えた標的(ターゲット)の装備を見て、ギルド 【鷹の目】 のメンバーじゃないかと思ったぽぽだけど、そこは遠慮の無いクロエ。

 そもそもクロエは 【鷹の目】 の主催者セブン君とあまり仲がよくないし、メンバーとも仲がよくないというか、こう……ちょっと嫌っている感じ?

 セブン君とは銃士(ガンナー)トップの座を競っているようなものだからわからなくもないけれど、メンバーのこともあまり好きじゃないみたい。

 まぁ 【鷹の目】 は色々黒い噂の絶えないギルドだしね。


 それによくよく考えてみたらクロエもぽぽも、さっきは白軍(はくぐん)だった 【鷹の目】 の銃士(ガンナー)にしてやられたわけだし。

 照準器(サイト)に捉えた標的(ターゲット)が、装備のどこかに(あか)い鉢巻きを巻いていたら情けも容赦も完全無用。

 なぜか躊躇うぽぽだけど、クロエに容赦とか加減とかいう言葉はないもの。

 うん、絶対にクロエが持っている辞書にそんな言葉は載っていないと思う。


 情けもね


 ぽぽと二人、狙いを絞って容赦なくガンガン撃ちまくってます。

 もちろん標的(ターゲット)も反撃してくるわけで、なにも知らずわたしたちの周囲で戦っていた白軍(味方)のプレイヤーに流れ弾が……


 ごめんなさい!!


 その、クロエたちも悪気があったわけじゃないのよ。

 いえ、その、この混戦の中だと、そもそもどこからでも銃弾が飛んでくるわけだけど、ほら、相手がよりによって 【鷹の目】 のメンバーだから。

 普通に流れ弾が……あら?

 【鷹の目】 って、こんなに外すもの?


「知らなかった?

 【鷹の目】 最大の強味は同じ職種(クラス)が揃ってることだよ」

「あとセブン君の統率力やな」


 なるほど……


 このゲームでは、攻撃三(クラス)で射程が大きく違う。

 【鷹の目】 はその職種(クラス)銃士(ガンナー)で揃ったことで、遠距離攻撃(ロングレンジ)による集中砲火を可能にしている。

 でもそれはセブン君の統率力もあってのことだけど、最大のライバルでもあるクロエはそこには言及したくない……まぁそんなところ?

 わざわざカニやんに補足されたけど。


「起動……百花繚乱」

「言わんでえぇやん、そこ。

 起動…………氷雪乱舞」


 そもそも余計なことを言ったのはカニやんじゃない。

 わたしのせいにしないでくれる?


 まぁいいわ


 とにかく二人の話を合わせると、そもそも 【鷹の目】 でも、クロエたち並みに的中率の高い銃士(ガンナー)は、主催者(マスター)のセブン君を含めて古参の中核メンバーくらい。

 あとはそれなりにという感じらしい。

 加えて銃士(ガンナー)の場合、命中率と火力は別物。

 命中率の高い銃士(ガンナー)と、一撃の与ダメの大きさは別ということらしい。

 ちなみにクロエやセブン君クラスは、とにかく当ててくるし、一撃の与ダメも大きくて手に負えないってことね。


「グレイさんには言われたくないね」

魔法使い(おれら)は命中率とか、あんま関係ないけど」


 そう、魔法使い(わたしたち)は命中率ではなく、とにかく火力。

 それこそ1に火力、2に火力。

 3、4はなくて、5に詠唱時間かしら?


「3も4も火力やろ、あんたは」


 どうしてそうなるのかしら?

 まぁカニやんはね、3も4も(モフ)至上主義(ファースト)だけど。

 しかもそんなことを言うから美沙さんが……


「やっぱり火力を上げるのが先ですよねっ!」


 なんて言い出すし。

 育成方法は違うって何度も言ってると思うんだけど……。


 そもそも 【鷹の目】 はメンバーに銃士(ガンナー)が多く、遠距離攻撃(ロングレンジ)を生かした攻撃力の高さに定評があり銃士(ガンナーズ)ギルドなんて呼ばれているけれど、ギルドとしては銃士(ガンナー)だけを募集しているわけではなく、普通に攻撃型魔法使い(ソーサラー)剣士(アタッカー)もいるのよね。

 人数が少なく火力が低いため目立たないけれど。

 あのギルドの加入条件は廃人であることと廃課金であること。

 それだけよ……とはいえど、とんでもない条件だけど。


 とにかく!


 何事もバランスだと思うけど、今は火力を使って注目されたいというか、されたくないというか、その……この複雑な思いをどう表現すればいいのかしら?


「表現しなくていいから仕事して」


 クロエはどこまでも現実主義(リアリスト)でした。

 ここは仮想現実(ゲームの世界)だけど……。


「起動……業火」


 と、とりあえずお仕事します!

 はい、喜んで! ……とわたしが居酒屋の店員みたいな返事をしたのは、もちろんクロエの銃口がこちらを向いたからです。

 ダメージが出ないとはいえ、撃たれるのはいい気がしないから。

 しかもクロエのことだもの。

 この至近距離なら三連弾の 【ラピッドマスター】 とか撃ってきそうだし。


 痛いの!


 ダメージは出なくても痛いものは痛いんだもの。

 誰だって痛いのは嫌よね、うん、誰でもそうよ。


「いや、まぁ俺も痛いのは嫌やけど。

 起動…………スパイラルウィンド」


 うん、じゃあ頑張って派手に注目されましょうというか、両軍プレイヤーに気づいてもらいましょう。

 その上でそれぞれの軍がどう動くか?

 状況と残り時間を考え、わたしたちに同調して紅軍の退路を断つべく戦場の南側に白軍が集まるか?

 それを見て退路を断たれまいと紅軍も南下を始めるか?

 あるいは両軍気にせず、この混戦状況を楽しむか?


 どうなる?

初日第二戦もいよいよ終盤っ?!

勝敗の行方も気になるところですが、まだ未登場のあの方とかあの方の行方も気になるところ。

さて、どうなりますやら・・・(汗

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― 新着の感想 ―
[一言] お姫様抱っこは敵を殲滅できないから、初めから却下(゜ー゜)(。_。)ウンウン
[一言] 面攻撃で縦横無尽したら、圧が掛かりまくりなのに、お船でどんぶらこしてるから、進行速度がひねもすのたりのたりかな……………… ]_・)チッ、俵担ぎ却下か あれなら、グレイが後方を…
感想一覧
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