715 ギルドマスターはデンデンの新旧でデレます
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『じゃああたしもお迎えが来るまで、正座して反省してまっす!』
うっかり紫陽花の壁越しに向こう側を覗きこんでしまった美沙さん。
まぁルゥのせいといえばルゥのせい……ではないと思う。
いや、絶対にルゥのせいではない。
だってルゥは悪くないもの。
わたしたちが美沙さんを回収するため、中途離脱してイベントエリアから一般エリアに戻ってみると、反省しているらしい彼女は本当に正座をして待っていた。
しかもその隣では、正座どころか土下座をしたアキヒトさんが、懸命にインカムの向こうの恭平さんに平謝り中……というか、回収依頼というか。
まぁ一所懸命にお願いしてました。
転送のため、一時的にわたしたちのインカムが切断されているあいだに塩対応されたみたい。
「というかですねぇ、キョウちゃんのケチーとか言っちゃって。
アッキーってばぁ~かぁ~」
ああ、これはあれね。
恭平さんが好きすぎて、つれない態度についつい毒突いちゃったみたいな?
なに、このツンデレ……
『いや、それツンデレじゃねぇし』
『ちょいちょい、ツンデレの意味間違えてんじゃね?』
『どんな脳みそしてんだよ?』
まぁね、いつもの三人の突っ込みまでは良いわよ。
うん、ここまではね。
でもこのあとクロエまでが……
『グレイさんって現代人じゃなかったの?』
失礼ねっ!!
どこからどう見ても現代人よっ!
現役バリバリのねっ!!
『それもなんか違うくね?』
『現役バリバリの現代人って、どんなパワーワードやねん?』
『むしろNGワードやろ』
『俺もNGワードに一票っす』
ちょっとJBまで一緒になってなに言ってるのよっ?!
『なにって……だってアッキーはツンデレじゃなくて、ただウザいだけっしょ?』
んー……話が戻ってる?
今はわたしの話であって、アキヒトさんの話ではないような?
わたしが現代人か古代人かの話よね?
「それも違いまぁ~す!」
「なんだか会話がカオスになってきましたね」
そ、そうね。
この状況で冷静なのはマコト君とクロウと……一応美沙さんも?
まだ正座をしたまま、やっぱりまだ土下座をしたままのアキヒトさんの隣で大きな声を上げて笑っている。
結果、バリバリの現代人はNGワードということで落着し、本日の午前は終了。
もちろんこのあとも何度かイベントエリアに入り、対人戦を乗り越えて蜂の巣に乗り込み女王蜂を叩いた。
さすがにね、今日はこれ以上の変化はない……と思ったけれど、実際になかったと思うんだけど、お昼からログインしてきたゆりこさん、それに夜になってからログインしてきたパパしゃんはこの状況に呆然としていた。
うん、まぁそうなるわよね。
この二人は前半戦終了前から異変には気づいていたけれど、同じく気づいていたの~りんも驚いていたからまぁそうなるのも納得です。
うんうん
とりあえず対人戦要素が復活したので、ゆりこさんが合流した時点で班構成が変更されたけれど、パパしゃんが合流したのは夜になってからなので、彼女の護衛がトール君一人では心許ないということでクロエ班からマコト君を借り受けることに。
ちょっとクロエ班が心許ないかな? ……と思ったけれど、金髪の我が儘美少年は矜持も高くて、ほら、日頃からあれだけ大口叩きまくってるからね。
今回もクロエのほうからマコト君の応援を言い出してきたということもあり、全然余裕をかましてくれました。
幸いにしてクロエ班と同じエリアで遭遇することはなかったから実際のところはわからないけれど。
まぁでも、ゆりこさんが心配というより、いつものようにトール君に粉を掛けたかったというか、そんな感じだったけど、わたしたちに断る理由はなかったのでもちろんOKです。
快諾です
もちろんゆりこさんがログインしてきた時点でルゥは、盛大なイヤイヤをされ、挙げ句に逃げ回られながらも格納です。
凄く楽しく遊んでいたから申し訳なかったけれど、残念なAIが学習をしないので仕方がないわよね。
後でたっぷりモフってあげなきゃ。
いや、まぁわたしがモフりたいというのが本音でもありますが、主催者としての面子もあるのでそこのあたりは内緒にお願いします。
ところで、わたしたちは朝見た状況から一日を掛けて変化はないと思っていたけれど、ゆりこさんが言うのよ。
それは夜になってパパしゃんが合流してから。
マコト君がクロエ班に戻り、本来の班構成で夜の部を開始してすぐのこと。
イベントエリアに転送されてすぐ、呆気にとられるパパしゃんの隣でゆりこさんが変なことを言い出したの。
「ねぇグレイちゃん、ひょっとしてだけど、お昼よりひどくなってない?」
具体的にお願いします。
えーっとですね、前半戦終了の時もそうだったけれど、【素敵なお茶会】 のメンバー同様、わたしも些細な変化には鈍いというかなんというか。
はっきり申し上げてわかりません。
「具体的に……ねぇ」
イベントエリアを、腕組みをして眺めるゆりこさんはそう呟きながら思案する。
ほどなく 「わたしの感覚だけど」 と断わりを入れてから続ける。
「働き蜂の群れが増えてない?」
それはひょっとして、紫陽花の枯れた株も増えているということ?
わたしの問い掛けにゆりこさんは 「それはわからないけれど……」 と曖昧な返事。
実際、働き蜂の群れが増えているかもしれないというのもゆりこさんの個人的な意見だし、視界に制限が掛かっているイベントエリア内では、銃士の照準器を通しても遠くまで見通すことが出来ず、紫陽花の枯れ具合はよく見えない。
ということは枯れた株までは増えていないのかな? ……と思ったけれど、脳筋コンビが意見を上げてくる。
もちろんこれも個人的な感想というか、感覚というか。
まぁそういう前提で聞きます。
『朝に比べて……っていうか、全然対人戦が沈静化しねぇじゃん』
『むしろ激化してるじゃん』
それはつまり紫陽花の株もどんどん枯れて、プレイヤーの動きが活発どころか激化していると?
『感覚な』
ああ、野生の勘?
いや脳筋の勘?
これはやっぱりあれ? 脳筋は脳みそまで筋肉だから、感覚も筋肉で感じてる?
『んなわけあるかい?』
『どんな筋肉やねん?』
『俺もそうだと思ってた』
『食われたいんか、このカニ』
『食うぞ、このカニ』
やっぱりこの二人のカニやん愛は深いというか、タイミングどころか言うことまでが同じ。
ほんと、どんだけカニやんが好きなのよっ?
いや、別にそれはいいんだけどね。
うん、二人がカニやんをどれだけ好きでも別にいいの、わたしは。
だってわたしが、その、ね……クロウだから、別にカニやんのことはどうでもいいの。
それこそ二人で仲良く肉なり焼くなり好きに食べてくれていい。
でもぽぽとキンキーのことはちゃんとしてよ。
二人のことさえちゃんと守ってくれたら、カニやんのことなんてどうでもいいです。
『どうでもって、あんたが一番ひでぇんだけど?』
なにがひどいのよ?
そもそもあの重火力を、二人がかりでも簡単にはどうこう出来るわけもないし。
『俺をあんたの次くらいの化け物扱いすんじゃねぇ』
ちょっとカニやん、ひっそりガッツリわたしのことを化け物扱いしないで頂戴!
『いや、十分化け物やし』
『女王以外の誰が化け物やねん』
『いや、カニも結構な化けもんやん』
『ここでおまえらに裏切られるとは思わんかった』
あら、珍しく仲間割れ? ……っていうか、わたしのことを化け物呼ばわりするくせに、カニやんのほうこそ自分の火力に自覚がないってどういうこと?
『あんたには一番言われたくねぇ』
『この二人は結局同族嫌悪やねんな』
『似た者同士やし』
『カニさんも顔いいですよねぇ~』
よせばいいのにうっかり口を挟んでしまう美沙さん。
でもまぁそこは最強JKだし、その快進撃を止める者は……いた!
『俺のほうがいい男じゃん』
どうしてここでアキヒトさんがカニやんと張り合うのかはわかりません。
わかりませんが張り合ってきました。
美沙さんにイケメンと褒められて照れているのか、当事者のカニやんは 『もうその話、えぇし』 なんて言って話を切ろうとするけれど、切らせてくれないのがアキヒトさん。
『そう思うよな、キョウちゃん!』
インカムの向こうの状況がなんとなく思い浮かびます。
ちょっと修羅場っぽい感じ?
ほら、恭平さんとアキヒトさんは同じ班だけど、今は美沙さんもいるから。
恭平さんには申し訳ないけれど、インカムの向こうの話なのでここは無視で。
そのへんの対処も恭平さんにお任せいたします。
………………
あら? いつもの恭平さんの 「了解」 が聞こえてこない。
どうかしたの?
『どうもこうも、了解したくないから』
あー……そうですか。
うん、まぁ気持ちは理解出来るし返事もしなくてもいいけど、逃げようがないから頑張って。
こんな話をわたしと恭平さんがしているあいだにも、アキヒトさんの 『ちょ、いま俺と話してるじゃん!』 というウザ絡みが聞こえてくる。
今回のイベントはこのままだけど、次からは恭平さんとアキヒトさん、JBは離すようにします。
『是非ともそうして』
『え? 俺もっすかっ?!』
自覚はないようですがJBもです。
こんな話をしているあいだにもクロエ班が戦闘に突入。
続いて渦中の恭平さん班も。
まぁこういう時にわたしの班が置いてけぼりを食らうのは、今回のイベントではもう何回目かわからないからいいとして、珍しくカニやん班も。
その手空きにカニやんがあることを思い出してくれる。
『そういやさ、検索してきた』
「なにを?」
『ほら、恭平と話してたじゃん、蜂の行動』
ああ、秋以外にも蜂が団体行動をするってやつ?
『それそれ。
分蜂っていうらしんだけど……』
そう言ってカニやんが、クロエ班、恭平さん班に続いてカニやん班が戦闘に突入するまでの短い時間で話してくれたところによると、蜂の巣……主にミツバチらしいんだけど、今回の蜂の種類は不明。
だからそこは限定せず話を進めるけれど、蜂の巣には春に新たな女王蜂が生まれるらしい。
すると母親に当たる元の女王蜂が、半分くらいの働き蜂を連れて巣を出て新たな巣を作る。
これを分蜂というらしい。
そのため春先には、新たな巣を作る場所を探す蜂の群れを見掛けることがあるというもの。
対処法としてはなにもせず見守ってあげてね……と言われましてもね、うん、まぁその分蜂とやらが仮想現実で起こらなければ関係ないというか、たぶん関係ない。
起こったとしてもイベントエリア内だから、紫陽花が消えて蜂の巣がそこら中に出来るとか?
ぞわぞわ……
やだ、想像しようとしただけで鳥肌が立ちそうになった。
そもそも蜂にイベントエリアを乗っ取られて、カタツムリはどこに行くのよ?
イベントの主人公を黙って乗っ取らせるわけ?
いや、ひょっとしてここで カタツムリ v.s. 蜂 が始まるわけ?
どっちも 【幻獣】 だし、久々の 幻獣対戦勃発?
となればやっぱりルゥの参戦は必至かしら?
『間違ってもタマは参戦させんといて』
大丈夫、タマちゃんは 【妖獣】 だからそこは心得ておりますとも。
『やったらえぇけど、お客さん来たわ。
起動…………』
ここでカニやん班も戦闘に突入……と思ったらゆりこさんに声を掛けられる。
「じゃあグレイちゃんもそろそろお仕事してもらおうかしら?」
何事かと思ったら、紫陽花の枯れ株を蹴散らしてプレイヤーが突進してきました。
まぁこれだけで対人戦が活発化しているんだから、いつまでも呑気にお散歩なんてさせてもらえるわけがないわよね。
というわけで、わたしもお仕事をします。
まずはゆりこさんにお返事しないと怒られちゃう。
「はい、よろこんで!」
気がつくと一週間も更新が空いてしまいまして申し訳ございません。
更新ペースの変更と合わせて、近く、10月の反省を活動報告に書かせていただこうと思います。
とりあえず居酒屋の店員よろしくお返事をしてグレイ班も戦闘に突入。
このあとは最終日の最終戦へと突入します(たぶん
暫定編成
アールグレイ班
アールグレイ / ソーサラー
クロウ / 剣士
ゆりこ / ヒーラー
マコト / 剣士
トール / 剣士
カニやん班
カニやん / ソーサラー
しば漬け / 剣士
ミンムー / 剣士
ぽぽ / 銃士
キンキー / ヒーラー
タマ / 妖獣
クロエ班
クロエ / 銃士
の~りん / ソーサラー
ベリンダ / 短剣使い
ジャック / 剣士
恭平班
恭平 / 剣士
くるくる / 銃士
ジャック・バウアー / 剣士
アキヒト / ソーサラー
サミー / ソーサラー
通常編成
アールグレイ班
アールグレイ / ソーサラー
クロウ / 剣士
ゆりこ / ヒーラー
パパしゃん / 盾剣士
トール / 剣士
カニやん班
カニやん / ソーサラー
しば漬け / 剣士
ミンムー / 剣士
ぽぽ / 銃士
キンキー / ヒーラー
タマ / 妖獣
クロエ班
クロエ / 銃士
の~りん / ソーサラー
ベリンダ / 短剣使い
マコト / 剣士
ジャック / 剣士
恭平班
恭平 / 剣士
くるくる / 銃士
ジャック・バウアー / 剣士
アキヒト / ソーサラー
サミー / ソーサラー