706 ギルドマスターはデンデンとブンブンを解毒します
PV&ブクマ&評価&感想&誤字報告&いいね、ありがとうございます!!
ちょっと長くなってしまったのですが、ほんの気持ち程度です。
お読みいただければわかるのですが、内容的に切りのいいところまで書くとこの長さになってしまいました。
大丈夫です、いつもどおりサラッと読めます!
たぶん大丈夫です、たぶん・・・(大汗
alert 蝶のように舞う女王蜂 / 種族・幻獣
「……さぁって、殺ってやろうじゃねぇか~」
最終攻略目標を前に……うん? 女王蜂が最終攻略目標で合ってるのね?
倒してみないことにはわからないといえばわからないけれど、とりあえずインカムがoffになってまたしても隔離されてしまったため突っ込みは入りません。
寂しい……
あとで気がついたけれど、どうやらイベントエリア0から蜂の巣への進入は転送ではない。
わたしたちがというか、わたしが勝手にそう思っていたみたい。
インカムも切れるし。
改めて入ってみてわかった。
仕様が違う理由はわからないけれど、そう考えれば蜂の巣を出た時、ギリギリのところでわたしが女王蜂にぶっ刺された理由もわか……いや、理由はわからない。
わからないけれど、刺すことは可能だと思う。
おそらく蜂の巣を出られない女王蜂は転送されることはないからね。
いわゆるエリアの境界を越えられないってやつ。
でも転送ではないからギリギリまで追いかけてきた。
たぶんそういうことだと思う。
もちろん針がエリアの境界を越えたことは今も納得出来ないけど。
当たり前です
ちなみに切れたインカムは一時的ではなく、蜂の巣を出るまで切れっぱなし。
当然のことだけど直通会話もね。
倒した巨大カタツムリに入ってみなければ蜂の巣かどうかわからず、蜂の巣とわかってから真田さんに聞いてみると……
「インカムが使えない?
ああ、元々ギルドチャットは切ってあるから大丈夫よ」
だから気づかなかったって。
いえ、そうではなくて直通会話も通じないんですけど?
ほらさっき、ノーキーさんが起きてきたら連絡して欲しいって串カツさんたちにお願いしていたじゃない?
「まだ当分起きてこないわよ、あの子は」
だから連絡はまだ当分来ないから大丈夫……からのこの科白です。
「……さぁって、殺ってやろうじゃねぇか~」
キャラ変というか、豹変しました。
やる気満々なのは結構なのですが、女王蜂が物理攻撃反射だった場合、ほぼほぼ真田さんの出る幕はございません。
しかも盾を持っていない。
ついでに 【中級】 の解毒ポーションも持っていません。
これは結構ヤバいというか、事前の準備不足では? ……と思ったけれど、本人曰く。
「その時は潔く落ちるから、俺のことは放っておいて頂戴」
相変わらずの男前っぷりです。
ノギさんは爽やかなイケメンですが、こちらは柔らかなイケメンです。
ちょっと豹変しておりますが……。
「あ~あ、でも仇は討ってよね。
俺もただで落ちるつもりはないからさ」
さすが強欲な 【特許庁】 の副主催者です。
自分が落ちた場合、残存者に成果を出せと要求してきました。
しかもよそのギルドに。
遠慮とか、そういうものが全くないのも 【特許庁】 よね。
「残るモンに後事を託すのは当たり前。
でもね、ただで落ちるのは 【特許庁】 の連中が許さないから」
そこはわかるわ。
やっぱりほら、副主催者の面子が……
「そんなんいらねぇわ。
だってあいつら、そういう目で見てねぇから。
俺もノーキーもただのメンバーだから」
なるほど
ちょっとだけ 【特許庁】 の本音というか、メンバーの素顔を見た気がします。
しかも入らないいつもの突っ込み代わりをしてくれて、ほんのちょびっと寂しさが紛れました。
「そりゃよかった。
始めようか」
「了解です」
働き蜂の群れは、魔法も物理も攻撃可能。
刺された時の毒性は、【通常】 の解毒ポーションで解毒可能。
但し、数を減らしても周囲の幼虫が羽化して補充するため、群れの殲滅は不可。
ほぼ無限沸き。
周囲の六角形も奥に卵が無限湧きするらしく、手前の幼虫が羽化すると、すぐに幼虫が孵化する。
女王蜂は、物理攻撃反射タイプと魔法攻撃反射タイプの2パターンあり。
おそらくどちらのパターンでも、あのぶっとい針で貫通攻撃を仕掛けてくる。
毒性は 【中級】 の解毒ポーションが必要。
それ以外の攻撃方法は不明。
但し、わたしを出口まで追いかけてきたことから推測して、行動的の可能性は高い。
今ある情報はその程度かな?
「了解した。
俺から仕掛ける」
その視線をチラリと受けたクロウは 「好きにしろ」 と。
出来たらそのいい声はわたしに訊かせて欲しいけれど、真田さんの方を向いていたので、わたしからは顔も見えませんでした。
蜂の巣に突入してすぐ換装したクロウは、左腕にラウンドシールドを、右手に屍鬼を構え、わたしと真田さんが短く打ち合わせるあいだも働き蜂の攻撃を躱していたけれど、終わると、場を譲るように少し下がり気味に位置をとる。
代わってゆっくりと前に出る真田さん。
少しずつ女王蜂との距離を詰め、その間合いに捉えた瞬間を働き蜂の群れに邪魔をされないタイミングをとる。
でもそれをすると、女王蜂の方が常に自身の安全距離をとろうと移動をし、働き蜂の群れが必ずあいだに割って入ってくる。
「邪魔くせぇ!」
痺れを切らしたわけではないだろうけれど、声を上げた真田さんが駆け出すからお手伝いするわ。
「起動……業火」
真田さんと女王蜂のあいだ、丁度邪魔をするタイミングで働き蜂の群れが二つ、交差するように割って入るのを 【業火】 の焔で一掃。
そこに飛び込む真田さんを 「ヒール!」 でフォロー。
このあいだ、わたし自身の防御がガラ空きになるのを、美沙さんとマコト君がフォローし、クロウは真田さんと美沙さん&マコト君、どちらのフォローでも入れる位置をとって待機。
自身を防御しつつ、双方に目を配る。
「逃さねぇよ!」
放ってから思い出したけど、一度目にわたしたちが遭遇した女王蜂は危機管理能力が高く、わたしの仕掛ける魔法攻撃に対していち早く回避行動をとっていたはず。
プレイヤー側の攻撃を防御すべく、働き蜂の群れを盾のように利用していたのは同じだけど、この女王蜂は回避しない。
ということはおそらく……
魔法攻撃反射
もちろん視野に入れての支援だから、【業火】 の攻撃範囲に女王蜂は入っていない。
だってこれで反射されたら目も当てられないもの。
実際にこの女王蜂は 魔法攻撃反射タイプ = 物理攻撃有効 だったらしい。
読み通り……と心の中でガッツポーズをしたのも束の間、思わぬ反撃が繰り出される。
真剣白刃取りっ?!
片手剣を両手に持って、袈裟懸けに斬り掛かる真田さん。
その刃を前肢でガッツリ受け、丁度触角と触角のあいだぐらい。
人形でいうところの額直前で止める。
丁度触角と触角のあいだぐらい?
そして体を大きく前面に曲げて……
「下がれ!」
その太いお尻の針を、下から突き上げるように真田さんを狙う女王蜂。
その鋭い切っ先が真田さんのお腹あたりに触れる直前、あいだに屍鬼の細く長い刀身を差し込んだクロウが、女王蜂の首を狙って振り上げる。
但しその刃の先には、真田さんの片手剣をガッツリ握っていた前肢がある。
察した女王蜂も真田さんの剣を放して交代しようとするけれど……えーっと、蜂は節足動物という分類で足が六本ある。
つまり他に四本の足があるけれど、とっさに真ん中の足で掴むのが間に合わなかったのか、後退を選んだものの結局間に合わず。
屍鬼で前肢二本を斬り落とされ、真田さんも逃がしてしまう。
仕切り直すべく、女王蜂との距離を置こうと後退する二人。
でも攻撃力こそそれほど高くはないけれど、ボス部屋のアクセサリーだけあって計算高いAIは、その背後を衝くべく働き蜂の群れを向かわせようとする。
焼き払うわ
「起動……百花繚乱。
起動……サラマンダー」
確保した空間まで確実に後退する二人を、相変わらず燃費の悪い 【サラマンダー】 の使用で消耗したMPをポーションで回復しながら視認する。
「無事か?」
「やかましぃわ。
誰に言ってやがる」
ちょっと真田さん、助けてもらってそれはないと思う。
「俺にかまわず落とせ。
そう言っただろう!」
いやいやいや、それは毒にやられた場合の話じゃない?
クロウだってそう思っていたから毒針攻撃を回避しようとしたわけでしょ。
もう、勝手なことばかり言ってくれて。
でもいいわ、真田さんがそういうつもりなら。
油断なく女王蜂やその周囲を見ながらも、クロウがこちらに視線を送って確認してくるから、わたしも大きく頷いて答える。
落としましょう
折角ある火力だもの。
真田さん本人も有効活用を望んでるしね。
今回は攻略方法とか検証とか置いといて、まずは一勝を決めます。
イベントエリア0に入ってすぐマメに確認したところ、まだ女王蜂を落としたという報告は上がっていないっていうし。
記念すべきプレイヤー初勝利を挙げて報告しましょう。
「そう来なくっちゃ~」
真田さんもその気に……いえ、真田さんはとっくにその気よね。
じゃあその心意気に応えるべく、やってやろうじゃない。
手柄的には 【素敵なお茶会】 のものになってしまうけれど、それは真田さんも承知の上。
だってさっき串カツさんと話していたじゃない。
女王蜂と会うために 【素敵なお茶会】 を利用するって。
だからその点は遠慮しません。
いつもなら進路を開きつつ攻撃対象を足止めするのが攻撃型魔法使いの役目だけど、今回は魔法攻撃反射なので道を開くだけ。
下手に当てようものなら反射して、いわゆるオウンゴールよ。
さすがのAIも、反射狙いで自ら火柱に飛び込もうとはしないしね。
用心はするけど
「起動……業火」
改めて女王蜂とのあいだを阻む働き蜂を焼き払うと、焔が消えるのをまたずに飛び込む真田さん。
その一瞬遅れて飛び込むクロウ。
焔を越えたタイミングでそれぞれに 「ヒール」 を掛けて支援。
ちょっと思うところがあって風属性を避け、女王蜂からプレイヤー二人を引き離すべく襲いかかる働き蜂の群れを追い払う。
今回は回復係がいないので、手元にウィンドウを開き、視界の隅に見えるゲージを確認しつつMPポーションで回復しながら。
そうして確保される空間で女王蜂に斬り掛かる真田さんとクロウ。
クロウが飛び込みのタイミングをずらしたのは、もちろんフォローのため。
例えば相手が 【スパーク】 のようなスキルを持っていた場合、一緒に突っ込むと一緒に吹っ飛ばされるからね。
そういった事態が起こった場合、先行する真田さんをフォローするため。
本人はその必要はないと言っていたけれど、本気で女王蜂を落とすと決めたんだから火力を無駄に損耗するつもりはありません。
実際六本足の節足動物というのは伊達じゃなかったし。
先程の攻撃で前肢二本を失っても、中程の腕を器用に使ってくる。
プレイヤーが利き手を失うと火力的に落ちてしまうけれど、そこはAIだからね。
見事にフォローしているというか、そもそも気にならない感じ。
またしても真剣白刃取りを決めてくれるけれど、今度は、真田さんが毒針に狙われてもクロウはお構いなし。
大きく屍鬼を振って女王蜂の首を狙う。
真田さんもまた、【幻獣】 を相手に力比べをしたところで勝てないことはこのゲームの大前提。
ノックバックもしないからクロウの狙いが狂うこともないと踏んだのか、その腹を蹴り飛ばして後退を謀る……が、女王蜂もそこは見越していたらしい。
真田さんの剣を手放したと思ったら体を地面に対して水平に伸ばし、真田さんの蹴りを回避。
空振りをしてバランスを崩した真田さんは、女王蜂の体の下に入り込むような形になった。
一方のクロウは、女王蜂の後頭部からその首を狙ったものの、真田さんの蹴りに対応して不意に体勢を変える女王蜂。
頭を下げて屍鬼を躱しつつ、羽ばたくというより震動しているように見える羽根を刃のように使い、体勢を変える勢いを使って屍鬼の峰に打ち当てて払う。
ちょっとひねりが入ってるかもしれない。
たぶん普通に体を水平にしても屍鬼には当たらないところを、少し体を捻るようにして打ち当ててきた。
本物の蜂はともかく、この女王蜂は硬そうな見た目をしているけれど、意外に柔軟性があるらしい。
【幻獣】 のSTRに負けて見事に打ち払われるクロウだけど、すぐさま切り返し、ほぼ無防備になったその首を、今度は正面から狙う。
体を垂直にした状態なら中段の手でも、少し上昇して真剣白刃取りが出来たけれど、水平の状態では顔まで届かないからね。
今度こそ無防備と思いたかったけれど、玉突き事故が起こりました。
振り子
攻撃を仕掛ける二人のプレイヤーに対し、頭を軸にして体を振り子のように振った女王蜂。
体を水平によりやや反り気味にし、ひねりを入れて羽根でクロウの屍鬼を払うと、今度は反り返った勢いそのままに体を前面に曲げ、下に入り込んでいた真田さんをその太い針でぶっ刺し……その時点で体勢こそ立て直していたけれど、本当にあっと言う間のことでさすがの真田さんも対応が間に合わず、いきなり視界に現われた毒針に、見事にぶっ刺されました。
しかも女王蜂は真田さんをぶっ刺したまま、クロウにも毒針で襲いかかろうとする。
女王蜂の毒針は貫通攻撃。
その背から、大量のHPを流出させながらも針の先端を覗かせている真田さん。
クロウもとっさにその背を両手で押さえるけれど、相手は 【幻獣】 だもの。
STR差で勝てるはずがない。
毒針こそ避けられたクロウだけど、真田さん諸共に吹っ飛ばされるのを見て、わたしは開いたままのウィンドウを操作。
【中級】 の解毒ポーションを取り出すと、狙いを定めて真田さんに投げつける。
だって貴重な火力だもの。
逃がしません!!
まだまだ危機的状況は回避出来ておりませんが、とりあえず今話はここまで。
女王蜂に初勝利出来るかどうか・・・続きます!
アールグレイ班
アールグレイ / 魔法使い
クロウ / 剣士
マコト / 剣士
サミー / 魔法使い
真田 / 剣士
カニやん班
カニやん / 魔法使い
しば漬け / 剣士
ミンムー / 剣士
ぽぽ / 銃士
キンキー / 魔法使い
タマ / 妖獣
クロエ班
クロエ / 銃士
の~りん / 魔法使い
ジャック・バウアー / 剣士
ジャック / 剣士
恭平班
恭平 / 剣士
くるくる / 銃士
ベリンダ / 短剣使い
トール / 剣士
アキヒト / 魔法使い