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694 ギルドマスターはデンデンとブンブン話します

PV&ブクマ&評価&感想&誤字報告&いいね、ありがとうございます!!

『【幻獣】 の毒は、今後中級解毒ポーションと考えたほうがいいんじゃない?』


 先々上級に変わる可能性も出てくるけれど、現時点ではクロエのこの意見に同意かな。

 実際女王蜂のあのぶっとい針でぶっ刺されて被毒状態になったわたしは、通常の解毒ポーションでは回復出来ませんでした。

 しかもエリアの境界を越えて仕掛けてきた女王蜂の極太針のぶっ刺し攻撃と、わたしの放った 【避雷針】 によるぶっ刺し返しはなぜかわたしの負け。

 こっちは大量のHPを失っただけでなく、被毒状態にまでなって()品薄の()高級品である中級の解毒ポーションを使う羽目になったのに、向こうは無傷なんておかしくない?


 NPC(向こう)がエリアを越えて攻撃が出来るのなら、プレイヤー(こっち)だってエリアを越えて攻撃出来なければフェアじゃない。

 そりゃ 【幻獣】 を相手に、いくら強力な 【避雷針】 でも一撃で落とせるとは思わないけどダメージは食らってもらわないと気が済まない。


「ギルマス、超が一杯」

『あ、それ、俺も思ったー』


 ケラケラ笑いながら言う美沙さんにアキヒトさんが乗っかったと思ったら、どうやらその超が耳障りだったらしい。

 金髪の美少年が、さっき解毒したばかりのわたしに毒を吐いてくる。

 因縁とも言える猛毒をね。


『なんでも超をつけておけば若作り出来ると思わないほうがいいよ』


 違うわよ!!


 わたしはそれだけ中級の解毒ポーションが貴重だって言いたかったの!

 ほら、あるじゃない。

 重々とか、同じ言葉を重ねることでより意味合いを重要にする表現とか。

 いや、待って。

 品薄と高級品は別の分類だから、それぞれに超をつけても問題なくない?

 在庫状態がいかに品薄かを表現するための超と、どれほど高級品かを示すための超だもの。

 それぞれに付けていいんじゃない?

 いわゆる重複表現にはならないわよね。


『グレイさんの超はチョーに聞こえるから』


 それで気に障った……って、完全に難癖じゃない?

 どこまで我が儘なのよ、クロエは。

 ちなみにアキヒトさんは大好きな恭平さんに 「余計なこと喋ってないで走れよ、お前は」 と叱られていたけれど、『だから待ってよ、キョウちゃん!』 と半泣きですがりついていたのは聞かなかったことにします。

 当然恭平さんは無視(スルー)という塩対応です。


『必殺技が効かなくて面白くないからって、いつまでもぐちぐちとうるさいんだよね』

『ちょいクロエ』

『それ、言うたらアカンやつ』


 ………………


 え……と、そんなつもりはなかったんだけど、意外に当たっていたのかしら?

 折角脳筋コンビが庇ってくれたのに、筋肉の壁擦り抜けて直撃を食らったような気分です。

 つまりすぐに言い返せませんでした。

 しかもこの話に恭平さんが乗ってきたというか、疑問を呈してきた。


「さっきからその話聞いてて思ったんだけど、ひょっとしてグレイさん、女王蜂に魔法で攻撃した?」

「した」


 率直に答えるわたしに恭平さんは口をへの字に結んで気難しい表情を浮かべ、JBやくるくるは 「マジで?」 とか 「でも……」 と奇妙な言葉を発する。

 美沙さんも 「え~?」 とか言って首を傾げていたけれど、それら全てをアキヒトさんのわめき声がかき消してくる。


『俺、吹っ飛ばされたんだけどっ?!』


 うん?


 そりゃ物理攻撃反射だし、アキヒトさんのVITなら反射で軽く吹っ飛ばされるだろうけれど、そもそもそのSTR(非力)で吹っ飛ばされるほどの反射は起こらないのでは?

 もっと言えば魔法使い(モヤシ)がなにを思って物理攻撃なんて仕掛けてるの?

 だって魔法使い(モヤシ)でしょ?

 それともMPポーション切らせてMP切れ(ガス欠)起こしたとか。


『いくら俺でもそんなミスしないって!』

「アキヒト、ちょっと黙ってろ」

『キョウちゃん、さっきから冷たぁ~い』


 残念過ぎる現実を突きつけるようで申し訳ないけれど、恭平さんがアキヒトさんに冷たいのはいつものことよ。

 今の今までアキヒトさんがその事実に気がついていなことにびっくりしたわ。

 ちなみにアキヒトさんは反射で吹っ飛ばされて大量のHPを流出。

 体勢を整える前に働き蜂の群れ二つに急襲されて落ちたらしい。

 それこそ 「痛い」 とか喚いている間に詠唱すればよかったのに、ここぞとばかりに恭平さんにかまってもらおうとして失敗した結果ね。


 バカなの?


 それこそバカみたいに高いSTRを持つ剣士(アタッカー)の物理攻撃反射ならともかく、魔法使い(モヤシ)STR(腕力)で、しかもそれを自分で食らって瀕死になるとか。

 魔法攻撃と違い、物理攻撃のほとんどはダイレクトに反射するから当事者が食らうのは当たり前だけど、どんな自爆よ? ……とか思ったら、まだ追いつかないアキヒトさんを除いた恭平さん班の様子がおかしい。

 もちろん代表して口を開くのは恭平さん。


「その……話が噛み合ってないというか、アキヒトじゃないけど、ちょっと意味がわからない」


 恭平さんは恭平さんで、そこでわざわざアキヒトさんを噛ませるのね。

 もちろん 『キョウちゃん、ひどい……』 などというアキヒトさんの嘆きは無視(スルー)です。

 ここにいたらもっと騒がれていただろうけれど、残念ながらまだまだ頑張って走っている最中です。

 そんなアキヒトさんから逃げるように、落ち着いて話の続きをするためにわたしたちはギルドルームに急ぐ。


 いるはずのマメがいつのまにかいなくなっていたことには、それまで隣にある作業部屋にいたハルさんも驚いていたけれど、在庫確認を終えたということでそのハルさんも交え、わたしたちはギルドルームのテーブルを囲んで思い思いの席に着く。

 特に席次は決まっていないけれど、いつも同じ席にすわっているメンバーもいるし、いつも違う席にすわっているメンバーもいる。

 その時々で顔を揃えるメンバーも違うしね。

 必要に応じていつでも顔を出せるからと、それこそいつもは隣の作業部屋にいるハルさんも、今回は関係者というか、中級の解毒ポーション絡みで、席も空いているからと久々に出て来ているし。


 そんな中、なにやらそわそわした様子で立ったままの美沙さん。

 どこにすわるか迷っていると思い声を掛けようとしたけれど、どうやら違うらしい。

 ここで思い留まれたわたしを誰か褒めてくれない?

 だって美沙さんってば……その、ね。

 やだ、わたしがモジモジするようなことじゃないんだけど、その、トール君の隣を狙っていたっていうね。

 あ、わたしじゃないわよ、美沙さんよ。

 それでトール君がすわるのを、ドキドキワクワクしそわそわしながら待っていたの。


 邪魔しなくてよかった……


 一方のトール君はそんな美沙さんに全く気づいていなくて。

 まぁそこはトール君もトール君だし。

 特になにかを気にすることもなく、それこそそわそわしている美沙さんにすら気づかず、適当に空いている席にすわる。

 やはりその隣に、特に何も考えていない様子のJBがすわろうとしたけれど、いきなり恭平さんに腕を掴まれて無理矢理席を一つずらされていた。


 GJ


 さすが恭平さんね。

 JBがすわろうとするのを見て一瞬慌てた美沙さんは、恭平さんの働きによってホッと胸をなで下ろした……と思ったら、嬉しそうな顔でいそいそとトール君の隣の席をゲット。

 そこはほら、さっさとすわらないと他の人にとられてしまうからね。

 それこそアキヒトさんが追いついたら絶対すわるから。

 そういうキャラだから、アキヒトさんは。

 恭平さん大好きのくせに、こういう時は他の人の、そのこ……を邪魔して馬に蹴られるタイプよ。

 そしてお星様になるのが定番のキャラです。


 まだ到着していませんが……


 トール君の隣にすわった美沙さんったら、それはもう嬉しそうで。

 嬉しいけど恥ずかしくて、顔がすっかりにやけてる。

 しかもちょっと赤くなっていて、それに気づいたトール君も赤くなりました。

 照れ隠しにそっぽむいたりして。


 あ、あら?


 赤面とかドキドキとかって伝染するのね。

 ちょっとわたしも顔が熱くなってきた。

 二人とも可愛い……とか思って見ていたら、見ているこっちも恥ずかしくなってきたというか、顔が熱くなってきたというか。

 いや、うん、わかってる。

 これはそっちの赤面じゃないの。

 ドキドキの伝染ではなくて、その、わたし、なにも考えずにすわったな……とか気づいて。

 それこそクロウがどこにすわるかなんて全く気にしていなかったとか、いつも気にしてないなとか、そんなことに気づいて恥ずかしくなりました。

 そっちの赤面です。

 ちょっと美沙さんとアオハルを見習って、今度からはクロウの隣の狙ってみます。


 ガッツリ狙ってみる


「グレイ?」


 わたしの赤面に気づいたクロウが声を掛けてくれるけれど、か、女として恥ずかしいので、両手で顔を覆って隠しておきます。

 情けなさ過ぎる。


『アキヒト、まだ着かないのか?』

『だって途中で場所変えたじゃん!』


 カニやんの呼び掛けに、喚くように返すアキヒトさん。

 そうね、最初は 【ナゴヤドーム】 の出入り口集合になっていたもの。

 それが急遽ギルドルームに変更され、たまたまその時アキヒトさんがいた場所が悪くてぐるーっと遠回りする羽目になったらしい。

 すぐさまクロエに 『アキヒトさん、うるさい』 と言われたことはいうまでもないと思う。

 とりあえずアキヒトさんには頑張って走ってもらうとして、わたしは、ギルドルーム内にいるのならいいかなと思ってルゥを呼び出す。


「きゅ♪」


 おいたをゆりこさんに叱られて格納されたことなんてすっかり忘れたルゥは……まぁほら、そこはルゥだからね、ルゥなのよ。

 中空にポンッと現われて、いつものように謎の可愛いポーズをとってテーブルの真ん中に着地。

 みんなの注目を集めながらもわたししか見ていないところが凄く可愛い。

 お昼寝から覚めたという感じなのかしら?

 わたしのすぐ前まで来ると、テーブルから身を乗り出すように鼻チューでご挨拶をしてくれる。

 そのままわたしの膝に乗るのかと思ったけれど、ヒラリと飛び降り、いつものようにギルドルーム内の床をフンフンフンフン……しながら探索を始めた。


「……それで、しつこいようだけど、グレイさんは魔法で女王蜂を攻撃したんだよな?」


 わたしの斜め前にすわる恭平さんが、アキヒトさんの到着を待たずに話を切り出してくる。

 当然まだ走っているアキヒトさんは 『キョウちゃん、待って!』 とか言っているけれど完全に無視(スルー)です。

 そして恭平さんの質問に対してのわたしの返事は 『是』 です。

 確かに最後の 【避雷針】 はエリアの境界の都合上無効判定されたけれど、働き蜂の群れを上手く使って 【業火】 や 【百花繚乱】 などの範囲魔法は、蝶のように華麗にかわされた。

 でも 【焔獄(えんごく)】 は当てたわ。


「反射せず?」


 ん? 反射?


 ………………ちょっと待って。

 ひょっとして恭平さんの言った 「その……話が噛み合ってないというか、アキヒトじゃないけど、ちょっと意味がわからない」 というのはそういう意味?

 ちょっと待って。

 つまり何?

 アキヒトさんは魔法使い(モヤシ)のくせに接近戦仕掛けて物理攻撃反射で吹っ飛ばされたのではなく、魔法攻撃を仕掛けて反射された……そういうこと?


「そういうこと」

「アッキーのSTR(腕力)じゃ、あんな気前よく吹っ飛ばされないっすよ」

「面白いぐらい吹っ飛んでたんですよー」


 恭平さんはともかく、JBや美沙さんにまで言われ、やはりまだ到着しないアキヒトさんは 『ちょっと二人ともぉぉぉぉ!』 と叫んでいたのは、クロエの 『だからうるさいって言ってるだろ』 で静かになる。

 その場に居合わせていないわたしはもちろん見ていないけれど、クロウが(おも)し……ゲフゲフ……えっと、クロウが気前よく吹っ飛ぶのを見ているから、なんとなく見当がつくというか、想像出来る。

 吹っ飛んでいくアキヒトさんの姿がね。


 なるほど、確かにそれだとわたしの話に恭平さんが違和感を覚えたのも無理はない。

 だってわたしたちが話していたのは物理攻撃反射の女王蜂。

 でもアキヒトさんの魔法攻撃を反射したということは、恭平さん班が入った蜂の巣で遭遇したのは魔法攻撃反射の女王蜂。


 属性が違う……

・・・進まない・・・なぜ?(汗



アールグレイ班

 アールグレイ / ソーサラー

 クロウ   / 剣士

 ゆりこ   / ヒーラー

 パパしゃん / 盾剣士

 トール   / 剣士


カニやん班

 カニやん / ソーサラー

 しば漬け / 剣士

 ミンムー / 剣士

 ぽぽ   / 銃士

 キンキー / ヒーラー

 タマ   / 妖獣


クロエ班

 クロエ  / 銃士

 の~りん / ソーサラー

 ベリンダ / 短剣使い

 マコト  / 剣士

 ジャック / 剣士


恭平班

 恭平   / 剣士

 くるくる / 銃士

 ジャック・バウアー / 剣士

 アキヒト / ソーサラー

 サミー  / ソーサラー

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― 新着の感想 ―
[一言] 物理無効←壁のせい 魔法無効←え(笑) まさか、遠距離無効とかもあったり? 話が進まないのは、グレイの思考がとっちらかってるから(笑)
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