677 ギルドマスターはデンデンを振りまきながらやって来ます
PV&ブクマ&評価&感想&誤字報告&いいね、ありがとうございます!!
やはり班分けリストは後書きのほうがいいというご意見をいただいたので戻しました。
ココちゃんがよりによって 【浸食】 を取得した可能性を、知っていてわたしたちに教えてくれなかったの~りん
その罰として、代わりに頑張ったルゥを撫でるように言ったらの~りんに悲鳴を上げられた。
ひどいわね
そりゃたぶん……というか、ほぼ間違いなくバックリされてしまうだろうけど。
だってそこが罰ゲームだもの。
そこは腹を据えてバックリされてよね。
で、その肝心のルゥはといえば、わたしにたかってきた蜂をバックンして満足したのか。
あるいはわたしに抱っこをねだっていたことを綺麗さっぱり忘れてしまったのか。
いつのまにかいつもの調子を取り戻し、興味の赴くままにフンフンフンフン……と散策を始めてしまった。
ちょっとルゥーっ!!
何度も何度も言ってるけどここは迷路なの!
勝手に一人で行っちゃダメなの!
ほぼ100%の確率で迷子になっちゃうから!!
「また目ぇ離してんじゃねぇよ」
幸いにしてルゥは、筋肉が並んで壁を作れるくらいある道幅を有効活用して右に左にとフラフラしながらフンフンフンフン……していたためなかなか前に進めず。
頑張って走って追いかけて、ようやくのことでもっふりと捕獲して戻ってきたところ、カニやんも美沙さんに遊んでもらっていたタマちゃんを回収。
可愛らしく 「にゃ~ん」 と鳴くタマちゃんの頭を、大きな手で優しく撫でてあげる。
「とりあえずキンキーも戻ってきたし、俺らは一旦戻るから」
『ゆっくりでいいですよー』
中学生にしてこの気遣い。
さっさと戻れ、おっさんども!
ルゥも一緒に 「きゅ!」 と鳴き声を揃えてくれた……と思ったら、またカニやんの目がルゥを見る。
あげないから。
絶対にあげないしモフらせないから。
そもそもその両手、タマちゃんを抱っこしてモフるのに塞がってるじゃない。
「そうじゃなくて、闇属性って 【幻獣】 は無効じゃん」
「そうね」
嫌な予感を覚えつつ、とりあえず言っていることは合っているので同意しておく。
でもね、わたしの嫌な予感は当たりました。
「だったらワンコ、【浸食】 もOKだったりする?」
ほら当たったー!!
言っておきますが、絶対に試させないから。
実験なんてさせないからね。
そもそもこのメンバーで 【浸食】 を所持しているのはわたしだけだし、実験出来ないから。
わたしは絶対に合意しないから。
「大丈夫じゃね?」
獣の下僕がなに言ってるのよっ?
ルゥの可愛いもっふりに、あの気持ち悪い文様が浮かんだらどうしてくれるのよっ?!
「いや、あれ肌に浮かび上がるもんだからワンコの場合、モフ毛の下だろ?
見えねぇじゃん」
でーもーいーやー!
決まってるでしょ?
何をサラッと恐ろしいこと言ってるのよっ?
【浸食】 なんて、【灰燼】 に次ぐ最悪スキルじゃない。
試す試さないに限らず、そもそも発動させる気なんてないから!
「あ……感染した状態でワンコ抱いたら女王もヤバくね?」
「女王に感染したらカニの命がねぇぞ」
不意にさらなる恐ろしい事実に気がついた脳筋コンビ。
それは確かに恐ろしいわね。
だって高HPの 【幻獣】 は、ひょっとしたら落ちないかもしれない。
HP0になる前に呪いが解ける可能性がある……というか、たぶん 【幻獣】 は落ちない。
そしてわたしは非力な魔法使いのくせに、ルゥに抱っこをねだられたら絶対に断れません。
感染覚悟で抱っこします。
………………
わかってる、わかってます、馬鹿だって。
でもルゥに抱っこをねだられて断れるわけがないでしょ?
さっきは蜂のせいで落っことしたけれど、それは不可抗力というか、重力には逆らえないというか。
とりあえずさっさとキンキーを迎えに行け!!
「はいはい」
「んじゃ、そっちは探索継続よろー」
「よろー」
ぽぽだけは苦笑を浮かべたまま、ちょっと手を上げてわたしたちに挨拶。
三人に続いて中途離脱した。
実際ね、四人が一般エリアに戻るまでのあいだ一人で待っていたキンキーは、見知らぬお姉さんたちにナンパされまくっていたそうです。
火力のないキンキーでも 【ナゴヤドーム】 周辺には慣れてきて、同じ 【中部・東海エリア】 にある 【ナゴヤジョー】 くらいなら一人でも歩いて行けるようになっている。
だから四人が戻ってくるのを待つあいだも、『ゆっくりでいいですよー』 なんておっさんどもに気を遣いつつ 【ナゴヤドーム】 周辺で一人カタツムリを探していた。
そこをね、通りかかったのは偶然なのか。
あるいはどこからともなく噂を聞きつけたのか、通りすがりを装った全然知らないお姉さんたちに声を掛けまくられたらしい。
なに、それ?
中にはギルドに勧誘する女性プレイヤーもいたらしい。
ダメじゃない、キンキー。
そこは逆ナンよ、逆ナン。
『え? 逆ナンって……』
『それ、間違ってるから』
『逆ナンの意味違ってね?』
『やったことねぇから仕方ねぇよ、女王は』
キンキーが戸惑ったのはいい。
わたしも無茶振りしたと、言ってから後悔したから。
でも最後のムーさんの言葉に、カニやんや柴さんだけでなくキンキーまでが 『あー……』 とか言ったのはどういう意味かしら?
『はいはい、すぐそっち戻るから』
気を利かせたキンキーの捜索によりすでにカタツムリを見つけていたらしい。
一度ログアウトしたキンキーは自動的にパーティを抜けているから、改めて勧誘し直して元の五人と一匹に戻ったカニやん班は、キンキーの見つけたカタツムリを使ってすぐイベントエリアに舞い戻ってきた。
幸いにして確認したイベントエリアはわたしたちとは違ったけど、別の人たちが同じエリアでした。
うん、まぁそれはギルドが違うから遭遇するまでわからなかったけれど、とりあえずイベントエリアに転送されたカニやん班は早速霧に包まれるという災難に遭いました。
『なんでやねん?』
やっぱ日頃の行いじゃない?
とりあえず恭平さん、記録お願いします。
各班がどこのイベントエリアにいるかは、ギルドメンバーリストにあるメンバーそれぞれの位置情報を見ればわかるから、恭平さんの返事は 『OK』 とだけ。
カニやん班と分かれて銃士がいなくなったわたしたちにはわからないけれど、クロエ、くるくるの話では、先程見つけた雨雲がまだ見えるという。
つまり雨だけでなく、霧も同時発生ということでいいのかな。
『そうかも』
『お前は喋らんとさっさと走れや』
『俺、自分で走れますよっ!』
『ええねん、ええねん、おいちゃんが連れてったるから』
濃霧注意報……いや、警報かな?
一帯に立ち籠める霧の中を懸命に移動するカニやん班。
幸いにして毒霧ではなかったらしいけれど、それでも十分に視界が悪い中を、全身からふわ~とHPを流出させる。
高レベルの高HPで高VITの脳筋コンビは全然心配ないけれど、カニやんは魔法使いだからね。
タマちゃんに、しっぽで手首を掴まれて引き摺られそうになりながら走っているらしい。
でもキンキーは、回復スキルを持っているけれどそれほどレベルは高くなく、当然VITは魔法使い。
回復しながら移動するため、柴さんが担いで走っているらしい。
まぁキンキーが下りたがってもあの豪腕にかなうはずないけど。
VITの低さではぽぽも心配だけど、キンキーよりはレベルも高い。
それに短剣使いのベリンダほどではないけれど、実は銃士もそれなりにAGIを持ってるのよね。
というわけでカニやん、頑張ってね。
『わかってるわ!』
『カニさん、ヤバい時は言ってください。
俺、回復しますから』
やっぱりキンキーはしっかりしてるわね。
そのキンキーを、仕事がしやすいよう担いでいる柴さんもGJです。
まぁ迷路の中だから思うように脱出出来ず、このあとも五人と一匹は濃霧の中を走り回る羽目になるわけだけど、その様子をインカムで聞いていると、後ろから来ていたマコト君が呼びかけてくる。
「グレイさん、あの人って……」
どうかした?
誰が来たのかと思ってわたしが振り返るのと、マコト君のすぐ前を歩いていた美沙さんが振り返ったのがほぼ同じタイミング。
そのプレイヤーをわたしが認識するのとほぼ同時に声をあげる。
「げ! なに、あれ?」
なにって、その……ホスト?
ちょっと違うけど、まぁホストよね。
うん、露出が高くて目のやりどころに困るのはいつものこととして、美沙さんは初めて会うんだっけ?
「ホストっていうよりただの露出狂の間違いじゃ?」
待って!
美沙さん、ちょーっと待ってね。
あの、たしかにちょっと……いえ、凄ーく困るくらい露出が高いけど、その、は、犯罪者ではないの。
あれはあの人たちのスタイルというか、ああいうギルドというか、まぁそういう感じのもので、決して犯罪者ではないというか、一緒にしてはいけないというか……。
『あの、ひょっとして不破さんですか?』
わたしの困惑を察してくれたトール君が……いえ、たぶんみんな察しているというか、理解しているというか。
まぁでもいつものことだから的にみんなスルーだったんだけど、美沙さん絡みということでトール君が遠慮がちに割り込んでくる。
不破さんです
【特許庁】 内においては他にも露出の高いプレイヤーはいるけれど、ホストと言えばやっぱり不破さんよね。
だって他のメンバーは、ただ露出が高いだけだもの。
あの妖しさというか、ふぇ、ふ……ろもんっていうの?
ああいうのを振りまきながら登場するのは不破さんだけよね。
その不破さんがすぐ隣の通路を、うしろから一人でこちらに向かって歩いてくる。
ん? 一人?
なんだか珍しくない?
だって不破さんが一人だなんて。
だいたい蝶々夫人か真田さんと一緒だし、運が悪い時はノーキーさんのお目付をやらされていたりして、たいてい誰かと一緒にいる。
その不破さんが一人で歩いているなんて、これはひょっとしてまた雨が降るとか?
『だからもう雨はいらないってば!』
『アキヒト、うるさい』
『こっちはまだ霧の中。
雨まで降らすなよ!』
霧の中にいて雨まで降るかどうかはわからないけれど、降らせるのはわたしじゃなくて不破さんだから。
そこんところを間違えないでね、カニやん。
とりあえず不破さんが一人というのは何かおかしい。
ひょっとして……
毒ネタがもう一つ残っていたことを忘れておりました、申し訳ございません。
とりあえずこれで本編が進行すると思います。
ちょっと不破が出て来ましたが、デンデン情報が手に入る・・・?
アールグレイ班
アールグレイ / 魔法使い
クロウ / 剣士
マコト / 剣士
サミー / 魔法使い
ルゥ / 幻獣
カニやん班
カニやん / 魔法使い
しば漬け / 剣士
ミンムー / 剣士
ぽぽ / 銃士
キンキー / 魔法使い
タマ / 妖獣
クロエ班
クロエ / 銃士
の~りん / 魔法使い
ジャック・バウアー / 剣士
ジャック / 剣士
恭平班
恭平 / 剣士
くるくる / 銃士
ベリンダ / 短剣使い
トール / 剣士
アキヒト / 魔法使い