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663 ギルドマスターはデンデンを鞭打ちます

PV&ブクマ&評価&感想&誤字報告&いいね、ありがとうございます!!



もうお気づきと思われますが、しばらくのあいだ、サブタイトルにデンデンが溢れます。

ご了承ください。

 仰ぎ見たそのサイズは……説明しがたい。

 だってカタツムリのサイズなんてどこを測ればいいのよ?

 そうね、えっと……殻の直径が3メートルくらい?

 疑問形ばかりになってしまうけれどメジャーなんて持ってないもの、計れないわよ。

 ルゥばかり見ていてはっきり見ていなかったし、それこそ目分量というか、目視も記憶頼り。

 それでだいたい3メートルくらいという感じ。

 そんな巨大な殻を背負うナメクジ……ではなくて、そのサイズの殻を背負ったカタツムリを想像してくれればいいと思う。

 とにかく巨大。

 横幅だって、この迷路の横幅が、場所によって少しずつ変わるけれどだいたい3メートルくらい。

 中央をあの巨体に歩かれると、おそらくプレイヤーに逃げ場はない。

 だからNPCか動く置物(オブジェ)か、なるべく早いうちに判別しておきたい……と思う間もなく消失した。

 NPCなのか? あるいは動く置物(オブジェ)なのか?

 疑問に思うことは思ったけれど、さすがにそのサイズと道幅の関係にまで気がいかなかったというか、そこまでの時間がなかったというか。


 正直に告白します


 ルゥのお尻としっぽに見とれていて、カタツムリに気がつくのが遅れました。

 そのため色々と考える間もなく消失しました。

 それこそカタツムリに気がついて驚いたら消えた感じ。

 しかもダメージ過多による消滅ではなく忽然と消えた感じ……ということは、やはり動く置物(オブジェ)

 もちろんNPCの中には、ダメージを受けなくても一定時間が経てば消失する種類もある。

 沸き溜まりを防ぐためにね。

 でもさっきのカタツムリは、こんななにもない場所で消えた……ということは、やはり……。

 とりあえずルゥを確保します。

 逃がさない……じゃなくて、見失わないようにというのももちろんだけれど、なぜかクロウを蹴ってるの。


 短い足で


 カタツムリが消失した直後、今にも狼の本能……はないと思う。

 ひょっとしたら 【幻獣】 の本能というか、矜持(プライド)のようなものはあるかもしれないけれど、まぁそこはルゥだから、ルゥなのよ。

 やりたいようにやる。

 そうしてカタツムリに仕掛けようとしたら、直前で逃げられたというか、忽然と消えてしまった。

 刹那、全身の癖っ毛を逆立てて驚いたルゥ。

 つまりルゥもあれが消えることを知らなかったのね。

 すぐに不機嫌そうな 「ぎゆ~」 という声を上げて悔しがったと思ったら、わたしのところに戻らず、なぜか天敵であるクロウの足下へ。

 そしてクロウの、腹が立つくらい長い足を、対照的なくらい短い足で蹴り始めた。

 きっとこれはあれね。


 八つ当たり


 折角わたしにいいところを見せられると思ったのに、逃げられてしまったから。

 褒めてもらう機会が無くなってしまったからね。

 もちろんそうやって悔しがるルゥもかわいい。

 でも見ているだけでどうすることも出来ないマコト君や美沙さんが困っているから、ここはとりあえず回収しておきます。


『少しは旦那を労れよ』

『PKエリアだから蹴らせるな』

『やべーのわかってる?』


 あ…………


 その事実を思い出して慌ててルゥを回収すると、ルゥってば本当に悔しそうに目に涙を浮かべていました。

 あのカタツムリを見つけてくれたことだけでも十分立派よ。

 全然悔しがる必要なんてないの。

 そういってもっふりと抱き上げると、すぐさま機嫌を直して 「きゅ~♪」 とご機嫌な声を上げてくれる。

 うん、通常運転です。

 とりあえずクロウには謝っておきます。


 回復いる?


「いや、大丈夫だ。

 一応加減はしてくれているらしい」


 ルゥが搭載しているのは残念なAIだけれど、一応こういうところはわかっているのかもしれない。

 PKエリアで 【幻獣(ルゥ)】 が本気を出せば、プレイヤーは一撃で落ちるということを。

 そのことも含めて褒めてあげないとね。


 いい子ね


「きゅ!」

『そのカタツムリ、動いてたの?』


 可愛らしいルゥの鳴き声に耳から癒されたと思ったら、インカムの向こうから金髪の美少年が割り込んでくる。

 その声の陰での~りんの 『やっと抜けた』 という、溜息混じりのつぶやきは聞こえなかったことにしておく。

 とりあえずクロエ班も慌ただしい状況からは脱することが出来たらしい。


「カタツムリ?

 動いてたわよ」


 それがどうかしたの? と尋ねると、少しばかり間を空けて返事がある。


『向こうに見えてるんだけど、全然動いてないから』


 えっ?


 クロエからもカタツムリが見えている?

 そう聞いて思わず身を伏せてしまうわたしに、押し潰されたルゥが楽しそうに 「きゅ~♪」 と鳴き声を上げる。

 一瞬クロエも同じエリアにいて、それもカタツムリが見えているというからそれなりに近い場所かと思った。

 それで慌てて身を伏せたけれど、クロエの照準器(サイト)は今もカタツムリを捉えているというから違うわね。

 だってわたしたちのそばにいたカタツムリはとっくに消失してしまったもの。

 しかもクロエが見つけたカタツムリは動いていないらしい。


 どういうこと?


『どうって、僕に訊かないでくれる?

 でも全然動かないから、ただの置物(オブジェ)だと思って気にしてなかった』


 自分が起こした慌ただしい状況を離脱すべく、移動を続けている最中にそのカタツムリを見つけたらしいクロエ。

 でも見つけてからずっと動いている様子がないらしい。

 マップがないからクロエもはっきりしたことは言えないけれど、おそらくずっと同じ座標に留まっている。

 しかも離脱を優先したため様子見だけに留めていたが、一応安全なところまで移動出来たからとか言って、今こうやって話しながらも撃ってみたらしい。

 するとすぐさま心配性のの~りんが声を上げる。


『ちょ、クロエ!』

『この距離なら大丈夫だよ』


 折角慌ただしい状況を離脱したというのに、そんなことをすればまた新たなプレイヤーを呼び集めかねない。

 それをわかっていてやったのかどうかはともかく、結果を訊いてもいい?


『反応なし……というか、【音速】 が跳弾した。

 ここからだと距離があって魔弾は使えないから属性は調べられないけど、とりあえず通常弾はダメみたい』


 するとすぐさまぽぽとくるくるが 『了解した』『わかった』 と応える。

 二人も同じ銃士(ガンナー)だからね。

 特に跳弾は身内に被害を及ぼしかねないから、情報の共有は重要です。

 ううん、身内どころか自分に跳ね返ってくる可能性だってある。

 超近距離射撃 【ラピッドマスター】 なんて、絶対自分に跳ね返ってくるわ。


 しかもクロエが見つけたカタツムリは動いていないというから、ハーピーみたいに、高速で飛行することで跳弾させたのとは違う。

 ハーピーは、超高速での急降下時以外は通常弾でダメージを出せたからね。

 動いていないのに跳弾したということは、少なくともカタツムリは通常弾は効かない。

 下手をすると物理攻撃自体が無効の可能性もある。

 そういう意味で、クロエの試し撃ちは剣士(アタッカー)たちにも警鐘を鳴らす。


 でもおかしな話ね。

 わたしたちが見つけたカタツムリは間違いなく動いていて、地面にその這った跡を残していた。

 クロエが見つけたカタツムリとは種類が違う、あるいは役目が違うということ?

 とりあえずわたしたちがカタツムリを発見した経緯も共有しておくわ。


銃士(ガンナー)の狙撃に注意しながら足もと見ろって、どんだけやねん』

『なかなか急がしいっすね』

『首、鞭打ちとかなりそう』


 いや、そこは大丈夫だと思う。

 だってここは仮想現実(ゲームの中)だからね。

 いくらここの運営が演出過剰でも、さすがに鞭打ちの症状までは実装していないと思う……というか、思いたい。

 ここの運営は本当に演出過多だからどうしても気になるというか、信じ切れないというか。

 すると突然ムーさんが張り切り出す。


『安心しろ。

 そん時は俺が治療してやる』


 あー……そういえばムーさんのお仕事って、整形外科医だっけ?

 なるほど、なるほど。

 じゃあ安心ね。


『んなわけあるかい。

 首、ねじ切られそうで怖いわ』


 カニやんの言うこともごもっとも。

 ついうっかり柔道の絞め技とかかけられそうよね。

 そしてついうっかり加減を間違えてゴキッと……ムーさんならやりそう。

 ひょっとしてこの手のうっかりは脳筋あるあるとか?


『ねぇよ!』

『とんだヤブ医者だな』

『この名医を捕まえてなに言ってやがる』

『自分で名医なんて言う奴に名医はいねぇよ』


 あ、それはなんとなくわかる。

 人が言ってくれないから自分で言うのよね。

 つまり名医じゃない。


『あとで俺のゴッドハンドを見せてやる』

『いらねぇよ!』


 一瞬自分がされるのかと思って焦ったけれど、どうやら対象はカニやんらしい。

 だったらいいわ、好きにして頂戴。

 なんだったら今でもいいけどね。

 とりあえず恭平さんの提案で、各班、地面の痕跡を探す役を一人決め、残りで周囲の哨戒をすることになった。

 同じ四人のクロエ班はジャック君がするらしいから、じゃあうちは美沙さんで……と思ったら、腕の中でルゥが 「きゅ♪」 と立候補。

 早速下りるべく腕の中でモゾモゾし始めた。

 お、下ろしてもいいけど、もう迷子というか、一人で勝手に行っちゃわないでよ!


「きゅ♪」


 凜々しく返事をしてくれるけれど、これが返事だけなのをわたしは知っています。

 それこそ 「任せろ!」 みたいにキリッとしていたけれど、100%はったりです。

 大嘘です。

 ルゥが口先だけワンコで、常に飼い主(わたし)を騙そうとしていることはもうわかっています。

 そして飼い主(わたし)はルゥにだけは騙されてもいいと思っているというか、騙されたいと思っているというか。

 ルゥってば残念なAI搭載のくせに、ひょっとしてそんなわたしの気持ちを知っていてわざとやっているのかしら?


 でもまぁ地面の探し物なら、確かにルゥが適任と言えるかもしれない。

 ほら、足がみじ……ゲフゲフ……えっと、一番地面に近いところに顔があるというか、背が低いというか。

 ここでワンコのお鼻が探し物に適任とならなのがルゥの残念なところで、そもそもあの跡に臭いなんてないと思われる。

 でもルゥは……あら? そういえば一般エリアでも、イベントエリアに入るためのキーアイテムのカタツムリを見つけたのもルゥだったわね。

 確かその時も這ったあとが残っていたから、運営なりに、実はヒントを出していたのかもしれない。

 そしてそのことに、【素敵なお茶会】 で一番最初に気がついたのがルゥだった。

 でもそのカタツムリをバックンと、それはそれは美味しそうに食べてしまったところがさすがルゥと言うべきか、残念なところと言うべきか。


 食べた……


 このままでは蹴り飛ばされかねないから仕方なくルゥを下ろす。

 だってほら、ここはPKエリアだからね。

 【幻獣(ルゥ)】 に蹴り飛ばされたらわたしは一溜まりもありません。

 だから仕方なく下ろすことにして、屈みながらこのイベント開始直後のことを思い出す。

 そういえば食べたのよね、ルゥったら。

 まさかと思うけど、さっき消えてしまった巨大カタツムリも食べるつもりだったの?

 食べる前に消えてしまったのが悔しくてクロウに八つ当たりしてたのっ?

 え? ダメよ、あんなに大きなカタツムリ。

 大きさからして丸呑みは絶対に出来ない。

 まさかハーピー戦の時のように、獣の本能丸出しにして食い千切るつもりじゃ……


 ちょっとルゥ!!

いよいよ本イベントの片鱗が見え始めました。

とりあえずルゥが食べ過ぎでゲ○らないことを目指します。

お腹を壊すことはあるかもしれませんが・・・w


あとツイッターでこっそり呟いていたのですが、前話の後書きからメンバーリストにこっそりとルゥとタマちゃんが追加されております。

よろしければご確認ください(意味不



アールグレイ班

 アールグレイ / 魔法使い

 クロウ / 剣士

 マコト / 剣士

 サミー / 魔法使い

 ルゥ  / 幻獣


カニやん班

 カニやん / 魔法使い

 しば漬け / 剣士

 ミンムー / 剣士

 ぽぽ   / 銃士

 キンキー / 魔法使い

 タマ   / 妖獣


クロエ班

 クロエ  / 銃士

 の~りん / 魔法使い

 ジャック・バウアー / 剣士

 ジャック / 剣士


恭平班

 恭平   / 剣士

 くるくる / 銃士

 ベリンダ / 短剣使い

 トール  / 剣士

 アキヒト / 魔法使い

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― 新着の感想 ―
[一言] (@-@)でんでん、おいちかったの←ルゥ
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