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471 ギルドマスターは色を間違えます

PV&ブクマ&評価&感想&誤字報告、ありがとうございます!!



国分先輩GJ!

理由は本文にて・・・

 ………………疲れた………………


 プレゼンじゃなくて打ち合わせよね、これ?

 違いましたっけ?

 わたしは都実(さとみ)課長代理からそう聞いていたんですけど、どうして今さら 「そこ、変更出来ません?」 とか 「どうしてそうなんです?」 とか言ってくるわけ?

 百歩譲って、「そこ、変更出来ません?」 はいいわよ。

 だけど今さら 「どうしてそうなんです?」 はないでしょっ?

 これまでのプレゼンや打ち合わせで決めていったことなのに、「変更出来ません?」 を言うなら代案を出してよ!

 ただ 「変更出来ません?」 じゃ、こっちの答えは 「出来ません」 としかいいようがないでしょう。

 代案をもってそちらに変更出来ないかと尋ねられれば、時間をもらってこちらも検討し直す。

 その部分に限っては日を改めて答えるわ。

 それをただ 「変更出来ません?」 じゃ、ただこちらを困らせたいだけにしか聞こえない。

 しかもこの人、課長代理じゃなくてアシスタントに過ぎないわたしに質問してくるんだけど。


 なんなのっ?


 しかも課長代理が答えようとしたら 「彼女に訊いてるんですけど」 とか言って遮ってくるし。

 わたしはただのアシスタントで担当は自分だって、何度も都実課長代理は説明して、先方の同行者も皆さん 「質問は都実さんにして」 と言ってるのに全然聞かないんだから。

 あとで聞いた話では、今回の打ち合わせ直前に追加参加に決まったのがこの人。

 元々いた人ではなく、先方の都合で急遽参入してきた人で、課長も数回しか会ったことがなくよく知らないらしいんだけれど、終始この調子。


 挙げ句にようやく打ち合わせが終わったと思ったらわたしのところに来て、名刺交換を迫ってきた。

 ちなみに内勤のわたしは名刺なんて持っていません。

 そしたらその人、「じゃあ電話番号を教えて」 というから、社用携帯電話も持っていないと答えたら 「個人の携帯番号でいいよ」 だって。

 そんな個人情報を教えるわけないでしょ。


 なんなの、この人?


 一応取引先だから顔を引き攣らせながらもなんとか笑顔で対応したけれど、あとで思えば露骨に嫌な顔をしてやればよかったかも。

 大人げないと思われそうだけれど、ちょっとしつこい。

 挙げ句に名前をフルネームで教えろとか、どこに住んでるのとか、年齢とか訊いてくるから、これはもう確実にアウトな奴だってわたしにだってわかったわよ。

 そして最後はこれ。


「そういえばもうすぐヴァレンタインですよね」


 だからなに?


 もちろん心で思っても口には出さないけど。

 そもそも我が社は義理チョコをしない習慣なので、用意なんてあるはずがない。

 とりあえず 「そうですね」 とだけ答えておいた。


安積(あさか)さんは誰にあげるの?」


 余計なことを訊いてきたので、聞こえない振りをして課長代理に話を振る。


「課長代理、そろそろお時間が……」


 ちょっと秘書っぽいことをしてみたら、課長代理も話を合わせるようにご自分の腕時計を見ながら 「ああ」 と答えてくれる。

 もちろん全然時間なんて切羽詰まってないけれど、ね。

 課長代理は表情の変化には乏しいけれど、空気が読めない人じゃないから。


「申し訳ありません。

 次の約束がありますので、そろそろ……」

「いえ、こちらこそ長々と申し訳ありません」


 先方の一番偉い人が少し慌て気味に頭を下げる。

 そしてしつこくわたしに話しかけようとする人を 「ほら、行くぞ」 と肩を押すようにして自分の前を歩かせる。


「見送りをしてくるから、安積は片付けをしておいてくれ」

「わかりました」


 例の人は 「安積さんも()見送りしてよ」 なんて言っていたけれど、お辞儀をして相手の顔も見ず、聞こえない振りをして片付けを始める。

 この日の夕方、先方の偉い方から課長代理宛に電話があった。

 もちろん部下の非礼のお詫び。

 打ち合わせの担当者を無視してその部下に話しかけるとか、どう考えても失礼でしょ。


 あり得ない


 先方の話では、どうもあの人は元々問題のある人で、つい最近も問題を起こして異動してきたばかり。

 それで中途半端に参入してきたってことらしいんだけれど、今回はたまたま先方の会議室が使えずうちの会議室を提供したけれど、いつもうちの社からは、担当者以外に同行者があっても男性社員だったから大丈夫と思って油断していた……って、なによ、それ?


 つまりそういう人なのね


 実際にこの数日後、会社に(くだん)の人から電話が掛かってきた。

 取り次ぎ(オペレーター)から名前を聞いて露骨に嫌な顔をしちゃったら、隣の席にいた国分(こくぶ)先輩が 「代わる」 といって腕を伸ばしてきたから受話器を渡したんだけど、きっと取り次ぎ(オペレーター)をビックリさせちゃったわね。

 急に相手が変わったから。

 電話を掛けてきた(くだん)の人も、てっきりわたしが出ると思っていただろうから驚いたかもしれない。


「安積は席を外しております。

 代わりにご用件を承ります」

『なんだ、安積さんいないんだ。

 でもすぐ戻るよね?

 いまおたくの会社近くまで来てるんだ。

 せっかくだから安積さんと話がしたいと思って。

 戻ったら、前に渡した名刺の番号に連絡頂戴って伝えてくれる?』


 絶対に嫌!


 スピーカーにしていたから、わたしだけでなく、偶然社に戻っていた会川(あいかわ)さんや他の営業さんたちも聞いちゃって、みんなビックリ。

 でも次の瞬間形相を変えて、両腕で胸の前や顔の前で大きな×(バツ)をつくって国分先輩に知らせる。

 もちろんわたしも一緒に。


「生憎そういったご用件は承っておりません。

 なおこのことは御社の上役にご報告させて頂きますので、そのおつもりで」


 きっぱりと言い切った国分先輩は、スピーカーから 『ちょっと待ってよ!』 と聞こえてくる声を無視してガチャ切りを決めてくれた。

 この時ばかりは、打ち合わせのあと、お昼休みに国分先輩に愚痴をきいてもらってよかったと思ったわ。

 そりゃ愚痴なんて人に聞かせるものじゃないってわかっているけれど、実はこの日、もう一つ不快なことがあった。


 打ち合わせを終え、課長代理が先方を玄関まで見送りに出ているあいだ、わたしは一人で会議室を片付けていたんだけれど、ちょっと手間取ってしまって……前にシステム管理部の人に、手順を守って接続を切らないとPCかモニター、どちらかが駄目になるって聞いていたからちょっと慎重になりすぎていたのかもしれない。

 それで課長代理が戻ってくるまでに片付けを終えられず、手伝ってもらうことになってしまった。


 ここまでは問題なし


 いえ、あると言えばある。

 課長代理にお手伝いしてもらったのはちょっと駄目よね。

 置いてあったご自分のパソコンだけを持って先に戻ってもらえばよかったんだけど、うっかり机や椅子の片付けをしてもらってしまった。

 そのうえ総務に鍵を返してから部署に戻ると伝えると、わたしのパソコンまで持ってくれるし。

 これは走って戻ってこいってことかしら……と思ったら、隣の会議室の準備に来ていた仙川さんと、廊下に出て施錠したところで遭遇。

 運良く鍵を返せたんだけど……


「ねぇ安積ちゃん、うちの有坂(ありさか)、見なかった?」


 えーっと、それは確かさっきのマウント彼女よね?

 そういえば打ち合わせ前、彼女が会議室を出て行ってそれほど経たずに課長代理が入ってきたけれど、廊下で鉢合わせたりしなかったのかしら?


「課長代理?

 オフショルでミニスカ穿いた女の子、見ませんでした?」

「いや、見てないな」

「……だそうです」

「もう、どこ行ったのよ。

 あのサボり魔!」


 わたしと都実課長代理の返事に怒り出す仙川さんだったんだけど、不意に 「ん?」 という顔をし、改めてわたしに尋ねてくる。


「オフショルのミニスカって何?」

「今日の彼女の服装」

「は?」


 仙川さんによると、今日の彼女の出社は可愛めコーデだったというから、どうやら社内のどこかで着替えたらしい。

 それも例の追加準備をするため、総務部を出たあとで。

 つまりあの黄昏ポーズは都実課長代理を待っていたってことかな?

 それなのにわたしが来ちゃって、しかも準備をするとか言い出して出て行く気配がない。

 諦めて着替えに行ったとしても、まだ戻らないっていうのはちょっとおかしい。

 でもそれ以上に気になったことがあって、わたしは仙川さんに尋ねてみた。


「さっきの気をつけてって、有坂さんのこと?」

「あの子さ……前に話したことなかったっけ?

 総務(うち)の後輩で、都実さんと同じ部署になりたくて異動願いを出した子がいるって……」


 噂の新人さん


 なるほどという納得感と、まだ諦めていなかったのかといううんざり感がない混ざる。

 打ち合わせ前の追加準備は偶然の産物だったとして、まぁ服とか社内に準備しておいてチャンスを狙っていたってことかな。

 今も総務に戻っていないということはどこかで作戦を練っているのか、あるいはただ油を売っているだけか。

 それとも仙川さんと入れ替わりに戻ったか。

 まぁどれでもいいけれど、もう二度と会いたくない相手かな。

 同じ会社に勤めている以上、難しいけれど可能な限り関わり合いたくない。

 総務という仕事柄、難しいけれど……。


「見掛けたら戻るように伝えてくれる?」


 彼女がわたしの話なんてまともに聞くとは思えないけれど、この場は 「わかった」 と大人の対応をする。

 有坂さんがわたしの話を聞こうが聞くまいが、言うだけ言えば仙川さんとの約束は果たしたことになるもの。


 隣の会議室の電灯が切れていて、丁度取りに行こうとしているところでわたしたちと会った仙川さんは備品室へ。

 わたしと課長代理は、エレベーターとは逆方向へ歩き出す。

 人の出入りが多いせいかなかなか来ないのよね、エレベーター。

 営業部は2フロア上だから階段のほうが早いし……と考えて気がつく。

 どうしてさっき、有坂さんと課長代理が廊下ですれ違わなかったのか、ということに。

 彼女はエレベーターホールに向かったから、反対側の階段から下りてきた課長代理と会わなかったのね。


 なるほど


 そんなことを考えながら課長と廊下を歩いていたら、後ろから誰かが走ってくる。

 結構なヒールの音を響かせて、結構な勢いで近づいてきたその音はすぐにわたしたちの横を抜け、さらに前をどんどん引き離してゆく。

 あの後ろ姿は有坂さんよね。


 どこにいたの?


 彼女が何を慌てているのか、どこに向かっているかも知らないし、知りたくもないけれど、わたしたちをどんどん引き離して階段ホールに消える。

 ここで仙川さんの伝言を伝え忘れていたことに気づいてももう遅い……と思ったら、わたしたちが階段ホールに着いた時、彼女はそこにいた。


 そのヒールであれだけ頑張って走れば、そりゃ息も切れるでしょう。

 でも人が見ている前で、肩を忙しく上下させて息を弾ませる姿を見せたくなくて、人気が無く、扉があって廊下を通る人からも見えない階段ホールで息を整えるために小休止。

 その気持ちもわからなくもない。

 その行動も理解出来る。

 だって同じ事務員だもの、日頃の運動不足は同じよ……と思っていたのはわたしだけだったらしい。


 結局荷物を課長代理に持たせたままのわたしは、扉まで開けてもらうというお姫様待遇で階段ホールに足を踏み入れる。

 すると彼女はまるでわたしたちを待っていたかのように、一段目に足を掛けたポーズで立っていた。

 そして階段を上り出すんだけれど、わたしたちと距離を合わせるように時々チラチラとこちらを振り返り……といっても彼女が見ているのは間違いなく都実課長代理。

 これほどわかりやすいものはないっていうくらい露骨で、何かを企んでいることは間違いない。

 もちろん何を企んでいるのかはわからないんだけれど、隣を歩く課長代理が吐く溜息が聞こえた……と思ったタイミングで、カツンッと何か固い物が床に落ちる音がした。


 ペン?


 カツカツッと音を立てて数段を落ちてきたそれを確かめたわたしは、条件反射のように腰を屈めて拾い上げる。

 課長代理の前に落ちてきた感じだったんだけれど……彼女はずっと、たぶんわざと課長代理の前を歩いていたから。

 でも課長代理には荷物を持ってもらっているし、ここはわたしが拾うべきよね。

 両手が空いているんだもの。

 わたしが拾おうとするのを見て課長代理も足を止める。


「落としま……」


 ペンを拾い上げたわたしは、前を歩く有坂さんに声を掛けながら顔を上げて言葉を失った。

 パ……○ツが全開……よりによってパ○ツが……え……どうしてパ○ツが?

 しかも、なに?

 つまり課長代理はこれを見ながら階段を上っていたわけ?

 今の今まで表情一つ変えず、いつもの鉄面皮でこれを見続けていたわけ?

 このむっつりスケベ!

 しかも黒地に紫のフリル飾りのパ○ツって何?


 だって勝負パ○ツは赤じゃないのっ?!

藍月と都実に痴話喧嘩勃発?


有坂はこのあとで退場しますが、再登場予定なので覚えていて頂けると助かります!

(この話のあと仮想現実に戻るため、再登場まで少し間が空くため)

とてもウザい奴ですが、再登場でウザさ全開予定です。

パ○ツはすでに全開にしましたが・・・(涙

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― 新着の感想 ―
[一言] φ(..)メモメモ 紫ぱんちゅ全開丸出しの女 (//∇//)覚えた~
[良い点] 国分先輩カッコいい!! [気になる点] なぜみんなぱんつを見せたがるのか… #アン・フレコンビとかマダムとか。他の特許庁はぱんつどころか尻だし… 都実はラッキースケベを喜ぶタイプ? [一…
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