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ギルドマスターは今日もギルドを運営します! ~今日のお仕事はなんですか?  作者: 藤瀬京祥


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460 ギルドマスターはアドバイスを間違えます

PV&ブクマ&評価&感想&誤字報告、ありがとうございます!!

 わたしとクロウの身長の差は約30㎝。

 わたしの頭越しにローズと話す様子は、まるでわたしの存在をガン無視してるみたいで正直面白くない。

 ローズの慌てっぷりとか、わたし並み……ううん、わたし以上に顔を赤くしているところとかを見ると余計に腹立たしくなる。

 普段、運営とチキンレースをしているんじゃないかって思うくらいきわどさギリギリのビキニアーマーを装備しているくせに、その鬼装備をクロウに見られるのが恥ずかしいとか。

 その変さがローズといえばローズなんだけれど、益々面白くない。


 ちなみに、鬼装備の上に何かしら別のアイテムを装備するということは出来ないらしい。

 なぜかと思ってJBがステータスを確認したんだけれど、データ上はいつものアイテムを装備していることになっていた。

 つまり見た目だけが鬼装備になっているってことらしい。

 だからバロームさんも、鬼装備を隠すためにいつものローブを装備しようとしたけれど出来なかった。


 ご愁傷様


 しかも追い打ちを掛けるようにノーキーさんに、マジマジと見られた挙げ句 「思ったより胸、小さいな、お前」 とかいわれて激しく落ち込んでます。

 地面にへたり込む彼女を見て 「どしたぁ~?」 なんて言っているノーキーさんを切り刻みたくなってきた。


 刻みましょう


「よかったらわたしが刻んであげるぅ~」


 軽快なサンバを踊りながらちゅるんさんが言ってくれるんだけれど、【特許庁】 的に主催者(マスター)を切り刻むのはOKなわけ?


「全然OKぇ~」


 すぐそこで副主催者(サブマスター)の真田さんまでが 「好きにしてくれていいよ」 とか言って笑ってるし、ほんと 【特許庁】 ってよくわからない。

 どうでもいいんだけどちゅるんさんって、それだけ派手に踊りまくっていても全然息切れしないのね。

 しかもその動きに合わせて、その……胸が揺れてる。


 お、大きい……


「そこの喪、女の胸見て照れてんじゃねぇよ」

「女王は男の胸見ても照れてるけどな」

「節操なし?」


 違うわよ!


 そりゃ男の人は、同性の裸を見て 「立派な胸筋」 とは思っても照れることはないんだろうけど、女同士だと恥ずかしいというか、羨ましいというか……。


「大丈夫っすよ。

 ギルマスの胸も立派っす」


 ありがとう、JB。

 でも全然嬉しくないから。

 そういうことを言われると余計に恥ずかしくなるだけだから。

 世間的には立派なセクハラだからね。


「え? そうなんすか?」


 JBに意見を求められたカニやんたち三人は、ほぼ同じタイミングで大きく頷く。

 つまり、なに?

 カニやんはともかく、脳筋コンビもそのへんはちゃんと世間の一般良識を知ってるってこと?


「女王は俺らのこと、なんだと思ってるわけ?」

「こう見えて頭はいいほうだと思う」


 その根拠は何? ……と尋ねたら、二人とも現実(リアル)ではお医者さんなんだって。

 え? お医者さんなのっ?

 てっきり筋肉関係のインストラクターとか指導者あたりだと思っていたのに、よりによってお医者様……悪い夢でも見てる感じがしてきた。


「俺は整形外科だから、当たらずとも遠からずだが」

「俺はハズレだな、内科医だから。

 実家が小児内科でな」


 柴さんは最近まで病院勤務していたらしく、それで夜勤があったわけだ。

 今は実家の医院でご両親と一緒に働いているけれど、頼まれて、時々元の病院の夜間診療を担当するのだとか。

 ムーさんは整形外科とはいえ、やっぱり頼まれてご近所の病院で夜間診療を担当するため、夜勤があった、そういうことらしい。


 はー……お医者さんなんだ、この二人


「クズでもローズでも、どっちでも斬るよぉ~」


 まだまだ立派なお胸を揺らして踊り続けているちゅるんさんは、本当に息切れ知らず。

 本人も 「この程度じゃまだまだねぇ~」 と余裕で笑えるくらい。

 趣味のサンバダンスは、イベントなんかで踊り出すと数時間踊りっぱなし。

 それで肺活量を鍛えられているらしい。


 なるほど


 とりあえずちゅるんさんには、バロームさんに、その、えっとですね、少しでもこう……胸が、ね、大きく見える方法とか?

 そのへんのことを教えてあげるといいんじゃない? ……と思ったらすでにアドバイスをしていて、でもそれがビキニアーマーっていうのは間違っていると思う。


 だからなのっ?!


 だからバロームさんは、魔法使いなのにビキニアーマーなんて装備してるわけ?

 しかもそれを真に受けて装備しちゃうバロームさんもどうなのっ?

 素直すぎるというか、無知すぎるっていうか……わたしが言うのもなんだけど、でもね、でもでもでも、少なくともそのアドバイスが間違ってることぐらいはわかるわよ!


「だなー」

「運動時の乳は固定してだな……」

「でもノーキー釣るにはあれでよくね?」


 お医者様らしいことを言い出す柴さんだけど、横からムーさんが極論を持ちだしてくる。

 それを聞いて真田さんや不破さんが 「大正解!」 とか 「クズだからな」 とか言ってるし……そっかぁ~だからノーキーさんはクズなんだ……はぁ~。

 なんだか闇が深くなってきそうだから、とりあえず不快なローズを斬りたい。

 斬ってすっきりしたいから、クロウ、屍鬼を貸して。


「グレイさんは屍鬼がお気に入りなんですね。

 よかったら俺のを使いますか?」


 このゲームに二本しかない稀少装備(レアアイテム)の長刀・屍鬼。

 その一本の所持者である不破さんが、背に負っていた屍鬼を鞘ごと差し出してくる。

 いやいやいや、それはちょっと。

 不破さんの屍鬼で、同じ 【特許庁】 のローズを斬るのはちょっと躊躇われるというか、申し訳ないというか……もちろん不破さんにね。

 ローズには申し訳ないなんてこれっぽちも思いません!


「ローズを斬ればいいのか?」


 ん? いやいやいや、ここでクロウが出てくる必要はないから。

 せいぜい好きなだけローズと話してて頂戴。

 あ、その前に屍鬼を出してってば……とクロウにせがんだけれど、なにを思ったのか不破さんが……


「ああ、ローズを斬ればよろしいんですね。

 では僭越ながら俺が……」


 へ……えっ?! ちょっと待って……と止める間もなく屍鬼でローズをザックリ。

 ザックリというかバックリというかサックリ? ……斬っちゃった。


 速いっ!!


 さすがランカー。

 しかも屍鬼を使うだけあって、不破さんはスピードプレイヤーだから速い、速い。

 スラリと鞘を抜く仕草が綺麗……と思っているあいだに大きく踏み、躊躇なくローズを背中から袈裟斬りにしてしまった。


「不破っ?!」


 まさか斬られるとは思っていなかったローズは油断しまくりで、不破さんに向けていた隙だらけの背中を斬られてビックリ。

 クロウを見て赤くしていた顔をさらに赤くし……まだ赤くなるのね。

 ついでに頭のてっぺんから湯気でも噴き上げそうな勢いで、振り返って不破さんを怒鳴りつける。


「てめぇ、なにしやがる!!」

「グレイさんに斬れと言われたので斬った」


 それが何? ……といわんばかりのふてぶてしい不破さんに、ローズの怒りが収らない。


「あのドブスの腰巾着してんじゃねぇーぞ!」

「グレイさんがブスに見えるのは、お前の機材が壊れてるからだろう?

 さっさと修理に出せ、修理に。

 ついでにお前も病院に行って、脳なり目なり、診てもらえ」

「煽るんじゃないわよ、不破。

 ローズも……お前さ、格闘センスがない上に口が悪いとか、救いがないわねぇ。

 とりあえずクロウが見てるから、その悪い口を仕舞いなさいって」


 横から仲裁に入る真田さんにまで噛みつこうとしたローズは、俄にクロウの存在を思い出して慌てるんだけど、その態度は今さらだと思う。

 これまでだって、散々クロウの前でわたしを罵ってきたくせに。

 ローズの口の悪さは、とっくの昔にクロウだって知ってるわよ。

 ついでに足癖の悪さもね。

 殴ろうと振り回した金棒を、難なく不破さんに受け止められてしまったからって、足で蹴ろうとしている。


「まだ斬りたいか?」


 そんな二人を前にクロウが訊いてくるんだけれど、もうどうでもいいです。

 気が抜けたというか、毒気が抜けたとでもいうのか。

 すっきりしたというより、力が抜けて虚無になった感じかしら?

 とにかく、どうでもよくなりました。


「そうか」


 えっと……あ、頭ポンポンされて恥ずかしいから、ルゥの頭に顔を埋めて隠しておきます。

 だって絶対いま、赤くなってると思うし、きっとにやけてると思う。

 表情筋っていうの? ゆるゆるに弛んじゃって、絶対変な顔をしてる。

 急いで引き締めようと思って、平常心を取り戻すためにモフを頑張って吸っていたらルゥの方が先にご機嫌になっちゃって、短い尻尾をブンブン振っているのがお腹あたりにあたってくすぐったい。


「どうして俺じゃ駄目なんでしょう?」


 頭の上あたりで不破さんがそう言っているのが聞こえた刹那、周囲からワァァァーと歓声が上がる。

 何事かと思って顔を上げたら、どこからともなく現われたいつものクマ。

 イベントがあるたびに、運営の代理人として現われる着ぐるみのクマよ。

 あのクマがどこかに転送されてきたらしく、見つけたプレイヤーたちが歓声を上げていた。

 イベントは終わったはずなんだけど……と思って見ていたら……見て……なに、あのクマ。

 クマまで鬼装備じゃない。

 着ぐるみがすでに装備のような気もしたんだけれど、その着ぐるみの頭に一本角を生やして鬼のパンツを穿かせ、金棒を肩に担がせている。


 なに、あれ?


 クマが鬼のコスプレって……ちょっと意味がわからないんだけど、これはひょっとして、まだイベントは終わってないの?

 だからJBたちはまだ鬼アバターのままなの?


 そういうことっ?!


「いつも 【the edge of twilight online】 をご利用頂きありがとうございます。

 この度もイベントに多くのプレイヤー様がご参加下しましたこと、運営一同感謝申し上げます。

 現在はサーバがダウンしないよう、鋭意努めております真っ最中です」


 話しながら歩くクマに、ここでプレイヤーの大爆笑が起こる。

 いや、別の意味で負荷が掛かってるんじゃないの?

 不具合(バグ)のお問い合わせ対応で手一杯なんじゃないの?

 その対応にいちいち答えている余裕がないから、こうやってクマが出て来たんじゃないの?

 直接説明したほうが早いと思って出て来たんじゃないの? ……と思ったら違うみたい。


「これよりプレイヤー全員参加となります、マメ撒き大会を始めたいと思いまーす!」


 なに、それ? ……っていうか、このクマ、いつもと中の人が違うんじゃない?

 ひょっとしてひょっとするんだけど……


 小林さん?

やはり予定はあくまでも予定でした。

今話で終わる予定だった 【追儺】 ですが、次話まで持ち越します。

予想以上に脱線要素が多かった・・・(涙

グレイが鼻血を出してショタ疑惑は次話にて。

そしてそのまま次のエピソードへ・・・という予定はあくまでも予定です(大汗

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