表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ギルドマスターは今日もギルドを運営します! ~今日のお仕事はなんですか?  作者: 藤瀬京祥


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

456/808

456 ギルドマスターはツンデレになります

PV&ブクマ&評価&感想&誤字報告、ありがとうございます!!

information スキル 【ツンデレ】 を覚えました


 久々に出たわ、謎スキル。

 しかも 【ツンデレ】 ってなに?

 今までで一番の謎スキルじゃない、これ。

 今度こそ、これはルゥが取得したってことでいいのよね?

 だってわたし、ツンデレなんてしてないわよ。

 そりゃカニやんがタマちゃんをモフるのを見て羨ましくなって、でもルゥがモフらせてくれないからタマちゃんをモフろうとしたけれど、でもこれはツンデレっていわないでしょ?


 普通のデレ


 わたし以上にカニやんはデレデレだけど。

 鼻の下伸ばしちゃって、やぁ~らし。

 それでも男前ってところがムカつきます!


「そりゃどうも」


 にひっと笑うカニやんは、インベントリからHPポーションを取り出してわたしを回復しながら話す。

 焼餅を焼いたルゥに豆鉄砲で撃たれて、手の甲に穴が開いちゃって。

 貫通攻撃とはいえ継続ダメージ扱いじゃないけど、それなりのHPが流出しちゃったからね。


「毎度ながら、けったいなスキルだな」


 そうね、運営の考えることは理解出来ません。

 それ以上にルゥってば、どれだけ飼い主(わたし)のことが好きなのよ?

 今だって、さっきプイッてそっぽを向いたくせにチラチラこっち見ちゃって。

 でもこれって 【ツンデレ】 じゃなくて、ただの嫉妬じゃない。


 ちょっと重いわ


「え? 全然。

 モフってそんなもんだから。

 ってか俺は物足りない」


 そういうカニやんは、現実で飼っているワンコに足をマジ噛みされたことがあるらしい。

 どうやらじゃれついて遊んでいるうちに、何かと錯覚して噛んじゃったみたい。

 痛がるカニやんを見て飼い犬もすぐに気がついて、あとは可哀相なくらい反省してたって。

 そっかぁ、そこまでやらないと駄目かぁ~。


 頑張るわ


 ただルゥの場合、マジ噛みされるとたぶん、腕一本くらい持っていかれちゃうけどね。

 前はわたしがタマちゃんをモフったらイジイジ泣いてたくせに、まさかこんな前向きな嫉妬をしてくるとは思わなかった。

 飼い主としては、これを成長と受け取るべきかどうか。

 しかもそれで 【ツンデレ】 なんて意味不明すぎるスキルを取得するなんて、相変わらずルゥってば謎すぎる。


 可愛いけど


 今もこちらをチラチラ見ては、わたしと目が合うと嬉しそうに尻尾をフリフリ鬼退治。

 うん、超絶可愛いです!


「まぁチラチラ見てるのはワンコだけじゃないけど」


 今のわたしたちの状況で、他の誰にそんな余裕があるのか……あ、わたしとカニやんはちょっと手空きだけどね。

 それでも一応やることはあるし、完全に暇を持て余してるわけじゃない。

 だったらの他のメンバーはもっと大変なわけで……と思ったらクロウだって。


 暇なの?


 いやいやいや、全然暇じゃないでしょ?

 しかも全然暇じゃないくせに、さっきルゥがわたしの手の甲を撃つ瞬間をバッチリ見ていたって……暇? ……じゃないわよね?

 弓を使わない弓使い(アーチャー)の相手に忙しいはずなのに、あんな一瞬を見ていたって、クロウもどんだけわたしのこと……その、えっと……だから……す……今のはなしでお願いします。


 顔が熱い


「あの人表情変えないからわからないけど、あとでワンコ、お仕置きするつもりじゃね?」


 ヤバっ!!


 なんてヤバい人にヤバいところを見られちゃったんだろ。

 もう! こんなんじゃ、うっかりタマちゃんと浮気も出来ないじゃない。


「堂々と浮気宣言するなよ。

 振られても知らねぇーぞ」

「え? ……誰に、誰が?」

「…………」


 訊き返したら、なぜかカニやんが黙り込んでしまった。

 その沈黙が怖い……と思っていたら事態が動く。


 弓使い(アーチャー)は、どうやら槍使い(ランサー)転職(クラスチェンジ)したらしい。

 でもややこしくなるから弓使い(アーチャー)はこのまま弓使い(アーチャー)と呼ぶことにして、先に落ちた元祖槍使い(ランサー)並みに華麗な槍術を存分すぎるほどに披露してくれる。

 これ、プレイヤーだと難しい……というか、まず出来ない。

 装備の変更は出来るけれど、(クラス)を変えるとステータスが合わないし、スキルもない。

 具体的にいえば、STRのないわたしが、一時的とはいえ転職(クラスチェンジ)をして剣士(アタッカー)として戦うなんて出来ないってこと。

 いや、出来るわよ、真似事程度ならね。

 でも本職の剣士(アタッカー)が相手じゃ勝負にもならない。

 それこそ一撃でぶった斬られて終わり。


 でも弓使い(アーチャー)はNPCだから、槍使い(ランサー)の華麗なる槍術を完コピ。

 まぁ所詮AIだし、プログラムだからね。

 そこまでは出来てもいいし、簡単にできると思う。

 でも同じ簡単でも、チート能力まで完コピっていうのはどうなの?


 反則でしょ


 さっき爽快に吹っ飛ばされたことに怒っているのか、槍を扱う弓使い(アーチャー)に猛攻を仕掛けるノーキーさん。

 槍の長さに対し、クロウは長刀、ノーキーさんは大剣で十分に対応出来ている。

 たいしたダメージも食らっていないし、これは行けるんじゃない? ……と思っていたら甘かった。

 槍使い(ランサー)から、遺品として槍を受け継いだだけでなく、その華麗なる槍術も相続した弓使い(アーチャー)はチート能力まで相続していたっていうね。


 これ、もし槍使い(ランサー)より剣士(アタッカー)を先に落としていたら、弓使い(アーチャー)剣士(アタッカー)の剣を相続しただけで終わっていたのかしら?

 流れで先に槍使い(ランサー)を落としてしまったけれど、わかっていたら先に剣士(アタッカー)を落としていたわ……っていうか、ひょっとしてだけど、この 【相続】 は弓使い(アーチャー)のチート能力だったのかしら?

 まぁとっくに槍使い(ランサー)を落としちゃったから今さらだけど。


 しかも槍使い(ランサー)を落としたことで状況も変わっていて、本家本元の槍使い(ランサー)は、中距離攻撃(ミドルレンジ)(タイプ)弓使い(アーチャー)を救助するためにそのチート能力を解放していた。

 じゃあそのチート能力を 【相続】 した弓使い(アーチャー)は、どのタイミングでそのチート能力を解放するのか?


 もちろん宝の持ち腐れでもいいの。

 このまま終了まで解放させず、大人しく……っていうのは無理だろうけれど、暴れるだけ暴れても、クロウやノーキーさんでも抑えられないようなチート能力は持ち腐らせて欲しかった。

 ま、無理だったんだけどね。


 そもそもこの三体の 【幻獣】 の狙いは高DEXのプレイヤー。

 今の状況だとクロエね。

 今のこのゲームで、トップの高DEXを誇るのはクロエとセブン君の二人。

 すでにセブン君が落とされたからクロエ一択で、弓使い(アーチャー)はもちろん、剣士(アタッカー)もクロエを狙っていて、重火力たちに阻まれているこの状況を打破すべく弓使い(アーチャー)が動いた。


 遠投


 この状況では、ピタゴ○スイッチもどきは作用しない。

 でも 【幻獣】 たちのそもそもの狙いは高DEXプレイヤー(クロエ)で、高DEXプレイヤーは往々にして接近戦に弱い。

 弓使い(アーチャー)は槍という近接武器を得て、その接近戦を自分で仕掛けられるようになったわけで、当然仕掛けに行きたい。

 それをクロウとノーキーさんが邪魔をしていて、振り払うためにチート能力を発動……うん、思考としては順当だと思う。


 もちろん剣士(アタッカー)もずっと狙いに行こうとしているんだけれど、あっちは脳筋コンビが地道に、それでいて着実な足止めをしてくれていて、ほぼ最初の遭遇位置から動けていない。

 だから本当に大変なはずの二人なんだけれど、カニやんへの突っ込みだけは忘れない。

 本当にこの二人、どんだけカニやんのことが好きなのよ?


 大好きよね


 しかも剣士(アタッカー)にはチート能力らしきものがないみたいで、ものの見事に二人に足止めされちゃってるんだけれど、弓使い(アーチャー)槍使い(ランサー)のチート能力を 【相続】 した。

 ただ槍使い(ランサー)のチート能力は投げた槍を回収しに行く時にだけ発動するものだから、槍を投げなければならないわけで、どうせ回収に行くのならそのチート能力を利用して攻撃目標(ターゲット)に近づきたい。

 そう考えればどこに槍を投げるのが一番効率的かといえば、当然攻撃目標(ターゲット)よね。

 というわけでクロエがぶっ刺されました。


 ………………


 ま、まぁね、攻撃目標(ターゲット)の近くを狙うなんて遠慮はいらないもの。

 攻撃目標(ターゲット)をぶっ刺すのが一番手っ取り早いと思う。

 わたしが弓使い(アーチャー)の立場でも、わざわざ外す理由がわからないもの。

 絶対にぶっ刺すと思う。


 出来ないけど


 ………………あ………………いや、えっと、なんか過去に、見ず知らずのプレイヤーの脳天に、誰かの剣をぶっ刺したことがあるような気もする。

 こう、記憶の片隅にうっすらと何かが残っていて、そこに触れかけた瞬間に変な汗が吹き出した。

 でも確か、あれは不可抗力で……だって狙ってやったわけじゃないもの。

 狙っても出来ることじゃないし。

 少なくともわたしにはね。

 器用なクロウとか、ノギさん、あと不破さんとか真田さんなら狙って易々と出来そうだけど、わたしには無理です。

 ノーキーさんもまぐれの天才っぽいから出来そうだけど、槍使い(ランサー)のこれはスキルじゃないかな?


 百発百中!


 槍は物凄い速さで飛ぶけど、寸前に気がついたパパしゃんがカバーに入ろうとしてくれたんだけれど、クロエ本人がそれを阻んだ。

 クロウたちと同じ剣士(アタッカー)とはいえ、STRよりもVITにステータスを振っている盾剣士(ガード)のパパしゃん。

 魔法使い(モヤシ)のわたしでも耐えられた槍の直撃を、VIT高めのパパしゃんが耐えられないとは思わない。

 パパしゃんもそこは自信があったと思う。

 でもクロエが寸前で制止した。


「持ち場を離れるな!」


 そう言い放った直後、槍がクロエを直撃。

 うん、まぁクロエだからね、クロエなのよ。


「……いってぇ!!

 …………あいつ、絶対撃ち殺す!!」


 うん、クロエよね。

 肩あたりから槍をぶっ刺した状態で暴言を吐き出した。

 まぁ直撃した瞬間のHP大量流出にさえ耐えられれば、あそこには蝶々夫人がいる。

 パパしゃんがすぐに槍を抜いてくれたおかげで、継続ダメージも最小限に抑えられたと思う。

 あの位置に槍が刺さったままの状態だと銃士(ガンナー)のクロエが銃を構えられず、最低限の自己防衛も出来なくなってしまうしね。


「グレイさんが落ちなかったのに、どうして僕が落ちるのさ?」


 その一言は余計です。

 レベルは似たようなものだけど、(クラス)が違うんだから比較対象にしないで欲しい。

 基本パラメーターは似たようなものでも、その時のHP残量が違ったりするんだから。

 とりあえずクロエの危機は去った……いや、去ってないか。

 だって槍はクロエのすぐそこにあって、弓使い(アーチャー)は大絶賛チート能力解放中。

 そして狙うは高DEXプレイヤー(クロエ)……。


 弓使いの動きに投擲を警戒したクロウとノーキーさんだったけど、槍使い(ランサー)のチート能力は槍が手から離れた瞬間に発動するらしい。

 投げるとわかっていても、相手は高STRを誇る 【幻獣】。

 さすがの二人でも迂闊には踏み込めなくて、まんまと槍は投げられ、弓使い(アーチャー)にチート能力を解放させてしまった。


 こうなると弓使い(アーチャー)を抑えることは難しい。

 ううん、抑えるわ。


「起動……演蛇(えんじゃ)

「起動…………氷雪乱舞」


 丁度いいスキルが再起動準備(クールタイム)を終えたことだし、ちょっとお仕事をするわ……と思ったらカニやんまで。

 付き合いがいいわね。

 STRやVITが馬鹿みたいに高い弓使い(アーチャー)は、スキルダメージによる硬直が短い。

 でもカニやんのおかげで余裕をもって詠唱することが出来た。


 ありがとう


「起動……避雷針」

脱線から本線回帰のお話でした。

そしてこのままラストへ・・・たぶん……(汗

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ