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370 ギルドマスターは哲学(?)をします

PV&ブクマ&評価&感想&誤字報告、ありがとうございます!!


 2020年1月22日から掲載を始めました本作は、お陰様をもちまして本日で満一年を迎えることが出来ました。

 お付き合いくださいました皆様に、感謝とお礼を申し上げます。

 どうぞ、今後ともよろしくお付き合いくださいませ。 2021/01/21 藤瀬京祥

 どうやらホラー的なものが苦手らしいアキヒトさん。

 無残な殺戮現場に驚いて反射的に恭平さんにしがみついたところを、なぜかSSに撮っていた脳筋コンビ。

 さりげなくその使途を聞いてみたところ、なぜか脳筋コンビ共々わたしまでカニやんに怒られた。


「お前ら、海希(みき)になに頼まれたっ?」

「ちょっとバイトを」

「軽くバイトを」

「一緒に腐ってまえ!」

「ちなみに依頼人は3B」

「海希ちゃん個人ではない」

「同じ意味だろうが!」


 3Bというのはカニやんの妹、ミッキーさん(本名:蟹江海希さん)が所属する身内ギルド 【3年B組ドンパチ戦線】 の略称のことなんだけど、そういえば彼女たちってりりか様のお店で会った時、やたらとSSを撮りたがっていたわね。

 それと関係あるのかしら? ……という質問はもちろん無視(スルー)された。

 画力がどうとかっていう話もしていたけれど、それと関係あるのかしら? ……という質問ももちろん無視(スルー)された。


 ちょっとカニやん?


「奴らには近づくな。

 特にグレイさんなんて、すぐに餌食にされるから」


 餌食って、どんな肉食系よ?


「肉食も肉食。

 守備範囲の広すぎる貪欲だし、悪食だからなんでも食いやがるし」


 えっと、それはつまり、わたしやアキヒトさんとか恭平さんが痛んでいるとでも?

 腐ってるとでもいいたいわけ?


「腐ってるのは奴ら!」


 それはカニやんが常々話している腐女子さんとなにか関係があるのかしら? ……という質問には驚かれた。


「グレイさん、そこからっ?」


 ビックリし過ぎちゃって声まで大きくなってるんだけど……そこからというのはどこからかしら?


「あー……まぁ女王はな」

「女王だしな」

「頑張れ、カニ」

「女王を救えるのはお前しかいない」

「もう知らねぇーよ、こんな究極喪女」


 励ましているつもりなのか、カニやんの肩とか背中とかをバシバシ叩く脳筋コンビ。

 加減をしていないのか、それともわざとやっているのか?

 微妙にHPが漏れてるから止めてあげて。

 なぜかすっかり落ち込んでしまったカニやんはその場にへたり込んで頭を抱え込むんだけれど、「お詫びに」 なんて殊勝なことをいいながら例のお菓子を差し出すのはやめて頂戴。

 また外れを引いたら大変なことになるから!


 駄目よっ!!


 わたしの制止なんてどこ吹く風の二人は、STRに任せて強引にカニやん(モヤシ)の口にチョコレートを突っ込む。

 このチョコレートは、わたしが外れを引いたあのチョコレートなんだけれど、外れにも色々なパターンがあるらしく今回は半端ない外れ方をしてくれた。

 そもそもチョコレートは本来MPの回復アイテムだから、HP漏れの対応に使ったところから間違えてるわけなんだけど、あまりのまずさに吐き出したってことなのかしら?


「ゲロまず!」


 声を上げて開けるカニやんの口から、まるでゲ○のようにキラキラと吐き出されるそれってHPよねっ?

 というかそれって、いわゆるHP流出現象(ドレイン)よねっ?

 なんでっ? どうしてHP吐いてるのっ?!

 しかもこのお菓子専用の現象(エフェクト)なのか、通常の流出現象(ドレイン)は風にキラキラと散って消えるんだけれど、まるで滝のように真下に流れ落ちる落ちる。

 滝壺まであって、飛沫となって最終的に消えるというか、やっと消えるというか。


 ダダ漏れ


 なに、これ?

 どんな嫌がらせ?

 これからボス戦だっていうのになんなのよ、これは。

 ただのHPだってわかっているけれど、飛沫を浴びるのも嫌な感じで思わずカニやんから離れてしまった。


 脳筋コンビ的には、最初からチョコレートはMP回復アイテムだってことは知っていて、間違えましたというオチにしたかったらしい。

 つまり関西人的にボケただけなのね。

 いや、正しくはボケたかったというべきかもしれない。

 結果としてスベったというか、色んな意味で外しまくったというか、目論見どおりには行かずカニやんが○ロを吐く結果に。


 関西人のボケを見事にスベらせ突っ込みを寄せ付けない運営の斜め上の発想は、どんな明後日の方向から着想を得ているのか。

 疑問に思うことすら不毛に思えてくる。

 だってもう、ここまで掛け離れると 地球人 v.s. 宇宙人 じゃない。

 もちろん運営が宇宙人よ、いうまでもないと思うけれど。

 だから絶対に理解し合えない。

 どんなに頑張っても無理。

 生命の根源からして別物なんだから、当然だわ。


 気がついたトール君とマコト君に背中を押され、キンキーが慌ててカニやんの回復を始める。

 もちろんゆりこさんも気がついていたけれど、カニやんが落ちるとは思っていなかったと思う。


 当然


 魔法使い(わたしたち)はSTRに比例してHPも高くないけれど、それは同じレベルの剣士(アタッカー)と比べた場合の話。

 カニやんだって40越えの高レベルなんだから、基本パラメーターはそれほど低くないのよ。

 だから簡単に落ちることはなく、ゆりこさんはキンキーが気がついて自発的に動くのを待っていたらしい。

 先にトール君たちが気がついちゃったけど、まぁ今回はよしとしましょう。

 だって状況がね。

 わたしやキンキーに限らず、みんな呆気にとられちゃってたし。

 他の誰よりも、ゲ○を吐くカニやん自身が一番呆気にとられていたけれど。

 被弾箇所から流出するならともかく、まさか口から自発的にHPを吐き出すなんて思わないわよ。

 内臓を被弾したってことかしらね?

 まぁそういうことなら理屈は……やっぱりわからないわ。


 カニやんの回復が終わったら、装備を戻してボス戦に行きましょうか。

 あ、でもルゥとタマちゃんはそのままでいてね。

 せっかくもらったクリスマスコス……いや、これはクリスマスアクセサリーというべきかしら。

 凄く似合っていて可愛いし。

 もちろんこんな物で運営に懐柔されたりはしないけどね。


 わたしの呼び掛けに二匹とも可愛い声で返事をしてくれたんだけれど、なぜかルゥが怒り出してカニやんの足を蹴りにいくっていう……どうしたの?


「マジで俺の足、もたねぇ」


 でも避けたりせず大人しく蹴られている(モフ)下僕(シモベ)レベルMAX。

 奴隷根性丸出しで、どんな理不尽な扱いを受けても絶対モフ(ご主人様)には逆らわない。


「ワンコはさ、妄信的にグレイさん大好きなんだよね。

 もちろんプログラムだけど」


 わかってる


 わたしだってルゥが大好きよ。

 それがプログラムされたものだってわかっていてもね。

 ここは仮想現実で、ルゥは実在しない。

 それももちろん分かっているけれど、ルゥを可愛いと思うわたしの感情は本物よ。

 プログラムされたものであっても、ルゥがわたしを好きでいてくれるのも事実。


 嘘はない


 だから……いつかお別れも来る。

 あ、駄目だ。

 考えただけで悲しくなってきた。

 永遠はないってわかっているから絶対に別れの時は来るし、その時を想像するだけで悲しくなるこの感情も本物だもの。

 だからね、わたし、ルゥを目一杯可愛がるって決めてるの。

 それでもきっと、何かしらの後悔は残ると思うけれど……。


「愛されてるな、お前(・・)は……っててて!

 ちょっとは加減しろよ……じゃなくて、加減してください。

 たぶん、ご主人様を独占したいだけだと思う。

 相手がプレイヤーであっても、同じNPCであっても。

 でもだからってお前(・・)、タマじゃなくて俺を蹴るっていうのはどうよっ?

 あ、ごめんなさい、お前じゃない。

 そこ、取り消させてください」


 まぁつまり、タマちゃんの代わりにカニやんが蹴られる理由はわからないってことね。

 ちょっと鼻が垂れてきた……。

 ちなみにもう一つカニやんがいうには、ルゥがわたしのすぐ後ろを、やたら目をキラキラさせてついてきていたのは、たぶんヒラヒラするスカートに興味をもったんじゃないかって。

 適当なところで叱ったからやらなかったけれど、あのままにしておいたら、そのうちにきっと飛びついてじゃれていただろうって。


 なるほど


 このスカートのフワフワヒラヒラが気になってたのね。

 そういえば夏イベントの時も、パレオの裾がなびくのが気になってじゃれついたっけ。


 …………


 余計なことまで思い出した。

 そのままパレオの結び目が解けて、赤っ恥をかいたことまで思い出して恥ずかしくなってきた。


「すっかり忘れていたとはいえ、一応今回は防げたし。

 よかったんじゃね?」


 全然よくないわよ!

 だってルゥもわたしも同じことを繰り返してるわけでしょ?

 ルゥはプログラムだから仕方がないっていうか、ワンコにありがちな習性としてプログラムされているんだろうけれど、正しくはワンコでも犬でもなくて(フェンリル)なんだけど、じゃあわたしは?


「進歩なし?」


 そうよね? そうなるわよね。

 どこからどう見てもそうなるわよね。


「グレイさんの場合、進歩の前に喪女の卒業が先でしょ。

 進化論なんてまだまだ早いって、ダーウィンも笑ってるよ」


 そう言ってカニやん(インテリ野郎)はにひっと笑うんだけど……笑うんだけど……わたしって類人猿以前っ?!

 それって、ただの猿よね?

 お猿さんよね?

 それともアメーバまで行く?


「そこまで退化する?

 だったらいっそ生命の起源まで行く?」


 さすがにそこまではちょっと。

 だってそこまでいっちゃったら、喪女の卒業どころか自我すら危うくなるじゃない。

 進化の道が遠すぎて、人類まで辿り着けるかわからない。

 それこそダーウィン先生すらいなくて辿り着く自信がない。

 道しるべもなにもなさ過ぎて、たぶん無理。

 もうあれよ、あれの心境。


 人間になりたぁ~い!!

そろそろ本線に戻らないと、収拾がつかなくなってきた(汗


明日からは掲載二年目だ、頑張ろう!


・・・ということで、ラスボス戦(仮)に進もうと思います(大汗

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[一言] 小説満1歳、おめでとう~ヽ(^o^)丿
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