306 ギルドマスターはカボチャに相談します
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えっと……ルゥもすりすりして欲しい? ……と訊いても、悲しそうにきゅーきゅー鳴くばかり。
カニやんは放っておくとして、ルゥはにゃんとかしにゃくちゃって思うんだけれど、どうしたらいいのよ?
同じ動物ににゃったからって言葉が通じるわけじゃにゃいし。
「俺は放置プレイ?」
「諦めたら?
人類が二足歩行を始めた時に腰痛を運命づけられたように、人類はモフに勝てない運命だからね。
仕方がないよ」
ハルさん、その例えは意味がわからにゃい。
でもわかったらしいカニやんは、頭を抱えてうずくまる。
え? 今の例えでわかったのっ?
凄いっ! て思ったら……
「人類がモフに勝てないのは間違いない」
ああ、そこね。
たぶんそこしかわからにゃかったというか、そこしか聞いていにゃかったというか。
理解しがたい例えでカニやんの説得を試みたハルさんは、久々にダンジョンに潜ってみんにゃと遊ぶことにしたらしく、モフ切れ中毒を起こしているカニやんを連れてギルドルームをあとに。
残ったのはわたしとクロウ、それにルゥのモフ塗れ……じゃにゃくて、二人と一匹だけににゃる。
視覚的には一人と二匹だけど、二人と一匹よ!
クロウも一緒に行かにゃいの? と訊いてみたら、にゃにかしたいことがあるらしい。
あまりにもルゥが悲しそうに鳴くからって、わたしとひとまとめに抱えて……あら、このむぎゅっと感はいいわね。
もっふりむぎゅむぎゅ
ちょっと息苦しいけれど、全然我慢出来る。
そのままソファに移動してにゃにをするのかと思ったら、クロウったらひどいのよ。
わたしとルゥをぽいっと放り投げちゃったりして。
もう少し丁寧に扱ってよ!
軽くバウンドしているわたしの横で、表情一杯に疑問符を浮かべて寝っ転がっているルゥを仰向けに転がしたかと思ったら、その上にまたわたしを放り投げるし。
「クロウ!」
「しばらく大人しくしていろ」
わたしとルゥをひとまとめにしたクロウは、すぐ横にどっかりとすわってウィンドウを開く。
そしてメッセージを打ち始めたら、まるっきりわたしたちのことにゃんて無視しちゃって。
しかたにゃいから仰向けに寝転がるルゥの腹毛にモフモフモフモフ……あ、これ気持ちいい。
自分の小っちゃにゃ肉球で踏み踏みしたり、顔を埋めてみたり、そのもっふりを存分に堪能する。
端から見るとわたしがルゥを虐めてるみたいに見えるかもしれにゃいけれど、全然違うから。
そもそもルゥは 【幻獣】 で、高STRの高VIT。
魔法使いのSTRで渾身の一撃を食らわせたって、あくびをしにゃがら受け止めてくれる。
しかもハルさん曰く、わたしのこの姿は猫の中でも仔猫らしく、とにかく手も足も短くて全然力も入らない。
実際に全然痛くにゃいらしく、ルゥはきゅきゅきゅ~と、まるで歌でも歌うように、楽しそうにゃ声とリズムで鳴いている。
そしてわたしにされるがまま任せるように、腹毛を放り出している……じゃにゃくて、無防備にお腹をさらけ出している。
ルゥはルゥでチビフェンリルだから、人も動物も共通の幼児体型でお腹がポンポコりん。
普段は全然そんにゃ感じはしにゃいけれど、仰向けににゃるとよくわかる。
可愛い
しかも気持ちいいって、ここはどんにゃ極楽よ?
イヌ科のわりに警戒心まるでにゃいのがちょっと心配だけれど、そのうち本当にカニやんが持ち逃げしそうで心配ににゃるけれど、ルゥの可愛さは超絶にゃんだから。
「まだそうしてるか?」
ん? …………しまった、クロウがいるのを完全に忘れてた。
いつの間にかルゥと二人っきりでいる気ににゃっちゃって、ルゥの肉球を嗅いだりもしちゃったんだけど……
見た?
「ああ」
いるにゃらいるって言ってよ!
ルゥのお腹の弾力を利用してクロウに飛びかかったわたしは……着地に失敗したのは内緒です。
失敗っていうか、その、跳躍距離が足りにゃくて、クロウに届かにゃかったっていうね。
まぁ体力筋力の退化したOLは、猫化してもそれは変わらにゃいってことね。
むしろさらに退化?
いや、それとも幼児化?
うん、この姿が仔猫にゃら幼児化が正解ね。
どっちでもいい
ま、まぁその、結局クロウに届かにゃくて落っこちたところを、またお腹の下に手を差し込まれて片手で持ち上げられる。
こういう時の猫は、確かシャーッ! って威嚇するのよね?
シャーッ!
ルゥを真似て小っちゃにゃ爪を全開にしてみたり……ルゥのあの小っちゃにゃ爪よりさらに小っちゃいって、クロウの老眼じゃ見えにゃいんじゃにゃい?
全然威嚇が通じにゃいから皮肉に変えてみたら、両手で持ってバンザーイをさせられた。
シャーッ!
「お前は……片手で持てるサイズになって、怖がられると思うか?」
「うるさい!」
爪を立てたまま、クロウの眉間に必殺の猫パンチを食らわせてやる!
一ぱーつ!
二はーつ!
三ぱーつ!
必殺のつもりで連打してるんだけれど、こう……ポフッポフッポフッて不発弾みたいにゃ音がする。
おかしい
動画で見たやつだと、目にも止まらぬ速さでパシパシっって感じで迫力があったのに、このスローモーにゃわたしの動きはにゃに?
しかもクロウは全然痛がってくれにゃいし、疲れたからもう止める。
「もういいのか?」
笑いにゃがら、嫌味ったらしくわざわざ聞いてくるからぷいっとそっぽを向いておく。
にゃにがそんにゃにおかしいのか知らにゃいけど。
「一度試してみたかったんだが……」
ん? にゃにを? ……と思ったら、クロウの顔面に貼り付けられた。
え? ……っとぉ、クロウはにゃにをしてるのかしら?
というか、わたしのお腹をモフらにゃいで!
いーやー!
『まぁそこは、元が人間なんでモフのほうは喜ばんわな』
『モフになっても感覚は人間か』
『カニやんは一度、モフになってみたほうがいいかもね』
『なれるもんならなりてぇ』
インカムの向こうで、いつもの三人と一緒ににゃってハルさんまでが突っ込んでくる。
他のメンバーも一緒ににゃって笑っているっていうね。
ええ、ええ、今日もみんにゃ健康増進で結構!
にゃにを思ってクロウがこんにゃことをしようと考えたのかを訊けば、いつもわたしがルゥにしているのを見て不思議に思っていたから。
にゃにがどう不思議にゃのかはわからないけれど、とりあえず止めて。
くすぐったいというか、恥ずかしいというか。
無理!
わたしが無理。
自力で脱出するべく、頑張って両手猫パンチに猫キックをしてみたんだけれど、この短さとSTRじゃね。
却ってクロウを喜ばせているみたい。
嬉しそうにゃ顔をして笑っちゃって、もう!
実はクロウって、隠れM?
しかも抵抗に疲れて脱力していたら、ぷらぁ~んと下がったわたしの尻尾にまたルゥがじゃれついてきた。
先に言っておきますが、もう噛んだら駄目よ!
シャーッ!
『ますます猫化してやがる』
『あれ、もう戻れないんじゃね?』
『それでもいいけど』
『可愛いしね』
トール君にゃんかは 『え? グレイさん、まだ猫なんですか? 大丈夫なんですか?』 って心配してくれるんだけれど、他の連中ときたら言いたい放題。
ちょっとは心配してよ。
一応クロウが運営に問い合わせを出してくれたっていうんだけれど……さっき、ギルドルームのソファに座って打っていたあれね。
でもよりによって今日は日曜日じゃにゃい。
それこそ緊急メンテナンスを行うくらいの不具合でも起こらにゃければ対応してくれにゃい。
そりゃ運営の人だって会社員だから休日はあるけれど、一種のサービス業にゃんだからシフト制とかで対応してくれにゃいかしら?
ユーザーの利用率が高いのって、普通に考えて休日にゃんだし。
「ここにいても仕方がないし、外に出るか」
うん、出てもいいけど下ろして。
「歩くのか?」
ちょっとクロウ、今、わたしの足を見たでしょ?
その短い足で? ……って、目が語ってるわよ。
シャーッ!
「下りたければ自力で下りろ」
シャーッ! ……じゃにゃくて、クロウのSTRにわたしがかにゃうわけにゃいでしょ!
わかってていってるんだから、ちょっと性格が悪いわよ。
歩くのに邪魔ににゃるのか肩に乗せられたから、とりあえずこのあいだの仕返しに首を噛んでおく。
頑張って噛み続けていたらいつの間にかニャゴヤジョーに着いていて、気がつくとカニやんたちが大笑いしにゃがら、必死ににゃってクロウの首に噛みつくわたしを見ていた。
シャーッ!
「グレイさんさ、それ、意味がわかっててやってるの?
いや、改めて訊くのも何だけどさ」
「わかってるわよ、意味がにゃいって。
噛み痕にゃんて残らにゃいっていいたいんでしょ」
わかってるわよ、そんにゃこと。
残ったとしても、この小っちゃにゃ歯の噛み痕にゃんて見えにゃいわよ。
ここでシャチ銅をクリアして転送されてきたキンキーが、初めて見るわたしのこの姿にびっくり。
「え? グレイさんっ?」
ええ、アールグレイですがにゃにか?
「えぇーっ?」
他のメンバーから話は聞いていたはずのキンキーだけれど、実物を見るとやっぱり驚きを隠せにゃくて。
もちろんそれは仕方がにゃいとして、触って確かめようとでもしたのか、わたし……というかクロウに近づいてくるんだけれど、足下をよく見ていにゃかった。
実はクロウの前方1メートルほどのところでルゥがお行儀よくおすわりをしていて、そこに誰かが立とうとするのを阻んでいた。
それこそまるで駐車禁止を示す赤いコーンのように鎮座していた。
しかもルゥはただのコーンじゃにゃくて、中にコンクリートを詰めるという細工を施されたコーンで、可愛い姿とは裏腹に重さは 【幻獣】。
魔法使いのキンキーはSTRがモヤシで、この一人と一匹が遭遇すればどうにゃるか。
しかも猫にばかり気をとられていたキンキーは足下を全然見ていにゃかったから、それはそれは見事にルゥを蹴り飛ば……す寸前、小っちゃにゃ爪をシャキーンと伸ばしたルゥに片手で足を払われ、転けつつも何事かとようやく足下を見た瞬間にバックリ。
「グレイさーん、助けてくださーい!」
えっと……この姿のわたしにどうしろと?
結局昨日分の更新は間に合わず。
申し訳ございません。
更新するする詐欺をしてしまいました。
理由は、よろしければ活動報告をご覧下さい。
2020/11/16 是非言い訳をきいて欲しい藤瀬京祥