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175 ギルドマスターは銅鑼の音に埋もれます

pv&ブクマ&評価&感想、ありがとうございます!!


なんだかおかしな今話のタイトルですが 『銅鑼の音』 を 『G』 に置き換えて本文をお読みいただければと思います。

 ボーナスステージのボスは通常ステージの 【幻獣(ボス)】 と同じだけれど、あくまで 【幻獣】 じゃない。

 辿り着くまでは通常ステージと同じで、それこそ攻撃に遭ってみなければ通常ステージなのかボーナスステージなのか分からないんだけれど、ボーナスステージのボスはあっけないほど簡単に落ちてくれる。

 物量作戦(わるあがき)が酷いけど、あくまで 【幻獣】 じゃないのよ。

 だから直接攻撃されると凄く弱くて、どれだけ弱いかといえば物理攻撃無効のはずなのに……まぁエリアアウトっていうちょっと特殊な結末だったんだけれど、ボーナス甲板長は脳筋の物理攻撃(ムーさんの蹴り)で落ちるっていうね。


information ダンジョン 『treasure ship bonus stage1』 をクリアしました


 これでボーナスステージは四つクリア、通常ステージは三つクリアね。

 でもさっきのムーさんの蹴りが爽快に見えたらしく、次に潜ったダンジョンは通常ステージだっていうのに、勘違いをしたJBが舳先にいる甲板長に跳び蹴りを食らわせ、ものの見事にはね飛ばされ、嵐の海の藻屑になった。


 南無南無……


『俺、仏教徒なんすか?』


 そんなことは知りません。

 あとでログアウトして、お父さんになりお母さんになり聞いて下さい!

 あれは 【幻獣】 だって、わたしやカニやんが叫んだのに、恭平さんなんて、海に放り投げられそうになりながらも止めようとしたのに、STR任せに振り切って走り出しちゃって。

 もう、なにを考えてるのよ?


『なにって、面白そうなことっすよ』


 うん、そうね。

 それがJBよね。

 でもまたラウラが真似をして、JBに続いて海の藻屑に……あんた、なにを考えてるのよ?


『ラウラも楽しいことでーす!』


 ちょっとマメ化してきたわね。

 まぁいいけど。

 これは通常ステージだからクリア報酬はないし。

 でもレベルを上げたいラウラには 【幻獣(ボス)】 撃破の経験値が欲しいところだけれど、楽しいことをしたらそうなるのよ! ……ってことで学習してもらうわ。

 こういうイベントだと経験値は結構美味しいのに、ラウラってば二連続で中途離脱(リタイア)しちゃってお馬鹿さん。

 そこはラウラも分かっていて悔しがっていたけれど、後の祭りよ。

 これまで同じように育成を進めていたキンキーと、少しばかり差がついちゃうかもしれないけれどいいわよね。

 これから先、違う(クラス)で個別に活動を始めたらどうせついちゃうんだもの。

 うん、でも本当に二人で一緒にいるのが嫌になったのなら相談してね、こっそりと。


「双子って微妙だよな」


 みんながボチボチ晩ご飯タイムに入り出す18時を以てこのゲームは夜時間になる。

 もちろん急に暗くなるわけじゃなくて、日没みたいに徐々に暗くなっていくんだけれど、夜時間になると、進行中のダンジョンをのぞき、それこそ一瞬で骸骨がゾンビに代わってゲームの進行が遅くなる。

 その前にもう一周潜っておきましょうってことで移動している最中、カニやんが言うの。


「あの二人を比べているつもりはないけど、そう感じることってあるのかな?」


 う~ん、どうだろう?

 ラウラとキンキーの場合、男女の双子だからあまり比較対象にはならないと思うんだけど。


「というか、ラウラは自分も男に生まれたかったとか、そんな感じもするけど。

 でも男同士で生まれたら、それはそれで露骨に比べられて面白くないと思うけど」


 ん~、別に男同士でも必ずしも比較されるとは限らないし、張り合ったりもするわけでもないと思う。


「その根拠はどこ?」


 えっとね、わたしの兄が双子なの。

 泰輝(たいき)琉輝(りゅうき)っていう双子の兄。


「ああ、例の貢いでくれるお兄さんね」


 そういえばカニやんには前に話したことがあったっけ?

 あのあと、ペンダントとイヤリングを買ってもらったの。

 凄く可愛いのよ。


「どうせそれ、値段知らないだろ?」


 うん、知らない。

 二人で上手くわたしをたぶらかして値札を見せないんだもの。

 身長に物を言わされたら、180㎝を超えるあの二人に、158㎝のわたしが敵うわけないでしょ。

 しかも気がついたらカードで精算済みで、どっちのカードを切ったのかも知らない。


「店の中でコントをするなよ、いい迷惑だな。

 まさかと思うけど、お兄さんたちの見分けがつかないってことはないよな?」


 兄さんたちの?

 そんなわけないじゃない。

 わたしは生まれた時からあの二人を見てるのよ。

 みんなはあの二人を 「似てる」 っていうけれど、それは双子だから当たり前で、でも全然別の顔をしているし、性格だってまるで違うんだから。

 そもそもあの二人の場合、家族には見分けて欲しいって思っているから自分を隠したりしないもの。

 逆に、どうでもいい……というと誤解があるけれど、見分けてくれなくてもいい程度の関係者……具体例としてあげると、女の子を釣るために二人揃って借り出された合コンの席とか。

 そういう場で知り合う女の子にはたいてい興味がないから、わざと見分けがつかないように振る舞って話のネタにしちゃうくらい。

 女の子には失礼だけれど、顔の良さだけに釣られるっていうのもどうかと思うわ。

 あの二人は顔だけじゃなくて背も高いし、お仕事も出来て収入もいいし、性格だって全然悪くない……あ、でも、興味のない相手には誠意がないっていうところはとても性格が悪いけれど、女の子のほうだってちゃんと見分けて一方に決めるならともかく、同じ顔で同じスペックなら 「どっちでもいいわ」 じゃあおあいこじゃない。


「ごめん、モテる側の心理は分からん」


 うん? カニやんだってモテるわよね?

 わたしはお世辞抜きに思ってるんだけれど、カニやんはちょっと考え込む感じ。


「……妹がいうには、平均よりは少し上程度らしい」


 へぇー、カニやんって妹さんがいるんだ。

 何歳(いくつ)違い?

 可愛い?

 ゲームとかしないの?


「えっと……グレイさんと同じくらいじゃなかったっけ?

 そのうち会うかもしれないけど、深入りしないことを勧める。

 あれはとんでもない()!」


 フ? ……お()

 それは喪の間違いじゃなくて、フなの?


「腐!

 あいつらが羞恥なんて喪要素、持ち合わせてるわけねぇだろが!

 あの阿呆、てめぇの兄貴までBLネタにしやがって!」


 しかもそれが受けて、妹さんの、とっても広く深い(ディープな)お友達のあいだでカニやんは有名らしい。

 えっと……ようやく腐女子のことをいっているってわたしにも分かったんだけれど、ごめんなさい。

 一見同類に見える腐女と喪女だけれど、生態が全く違うの。

 喪女のわたしに、腐女子(いもうとさん)の生態は理解出来ません。


「安心して、俺も腐の生態は理解不能だけど、喪女はまだ理解の範疇内だから。

 せっかくお兄さんに買ってもらった高価なアクセ、まだ付けてないんだろ?」


 うん。

 今度ね、美味しいレストランに連れて行ってくれるってお母さんがいうから、その時に付けようと思ってるの。

 なんかお仕事関係の人に教えてもらったお店らしいんだけれど、前に連れて行ってくれたお店も美味しかったし、期待値特大。


「デートの相手がお母さんってところが喪女だよな。

 兄貴や父親ですらないって」


 呆れるカニやんには 「根深く拗らせ中」 とまで言われた。

 拗らせついでにダンジョン攻略も拗れていて、またボーナスステージ。

 それも 【bonus stage2】 の料理長で、ステージ全体が昼時間で明るいからGのガサゴソが全部丸見えで地獄。


 き、気持ち悪い!!


 ボス部屋に辿り着くまでの船内でももちろん出てくるんだけれど、だいたい一匹ずつ。

 通路に比べれば広いステージとはいえこんなに大量に、しかも銅鑼代わりの音でどんどん増えるし……泣きそう。

 こうなったら泣く前にケリを付けるわ。


「俺が行きます!」

「起動……業火!」


 このイベントが始まってから多いにお役立ちの範囲魔法・業火の焔でボーナス料理長までの道を空ける。

 Gが焼け落ちる中をクロウが走るのかと思ったら、わたしが業火を放つ前にジャック君が立候補。

 相手はボスでも 【幻獣】 じゃないからとクロウもジャック君に譲ったんだけれど……けれど、蹴りはなしだと思う。

 ジャック君てばボーナス料理長にムーさんやJBを真似て跳び蹴りを食らわせたんだけれど、ちょっとSTRが足りなかったのかしら?

 そういえばボーナス機関長も、ベリンダのファイアーボール一撃では落ちなかったっけ?

 似非(えせ) 【幻獣】 とはいえ、さすがにそこまでHPは低くないし、VITも弱くないってことね。

 ボーナス料理長はノックバックしながらもジャック君の蹴り一撃では落ちなくて、持っていた銅鑼代わりのフライパンをお玉で気前よく打ち鳴らす。

 まぁそうすると景気よく沸くのよね。

 なにが? ……ってもちろんGが。

 ボーナス料理長をノックバックさせながら自身も弾かれたジャック君は床に尻餅をついて、そこにGが沸けばどうなるか……ご愁傷様。

 よりによってご飯前にGに埋もれるなんて、不幸以外の何ものでもないかも……。

 ジャック君の悲鳴を聞きながら、わたしに代わってカニやんがサラマンダーを放つ。

 得意の氷水系魔法は、このイベントじゃほとんど使えないのよね。

 再び開いた道を、ジャック君をまたいでボーナス料理長に斬り掛かるのはマコト君。


 よし、決まった!


 ダンジョンクリア後、浜に戻ってすぐにジャック君は海に飛び込んで全身洗浄。

 ゲームだし、アバターだし、データだし……でも気持ち悪いものは気持ち悪いわよね。

 凄くよく分かるわ。


 Gは全人類の敵!!

次話は 『逆襲のG』 をお送りする予定です。

このGは決してガ○ダムの略ではありませんのでご了承下さいw 

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