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159 ギルドマスターは食べ物を粗末にすることを許しません

pv&ブクマ&評価&感想、ありがとうございます!!


ちょっとトラブルがあって特大遅刻です・・・(汗

 ルゥとの鼻チューなら何回でもします!

 ルゥとならね。

 あのプニッと可愛い黒いお鼻とか、きゅっていう可愛い鳴き声とかもう最高!

 でもステータス画面で確認してみたら、例の備考欄に書いてあったのよ。


『ルゥは泳げないためお船には乗れません。

 気をつけてあげてね。

 その代わり浜で一杯遊んであげて下さい』


 ……だって。

 イベントのたびにいちいちこれを書くのって面倒じゃない?

 わたしもステータス画面を開くのは面倒だから、メッセージで送ってくれないかしら?

 しかもこの可愛さを演出した文面とか……小林さんってまめね。

 そんなわけでクロエたちと合流してすぐにルゥは腕輪に戻ってもらって、今はおねんね中。

 時間的にお昼寝ね。

 だからって代わりに骸骨と鼻チューはしません。


 絶対に嫌!!


 それこそ死んでも……っていうか落ちろ、骸骨!

 そもそも骸骨って鼻先がないのよね。

 だから出来ないわけなんだけれど、出来てもしません。

 クロエとぽぽの二人が増えて、今度は十六人での期間限定イベント 『ダンジョン 【treasure ship】』 攻略に挑戦したんだけれど、人数が増えた分骸骨の数まで増えてない?

 しかも銃士(ガンナー)の攻撃が効くかを確認しようと思ったのに……


『ここ、武器は装備不可なんだね』


 そうなの、銃の装備が出来ないっていうとんでもないオチ。

 この期間限定エリア 【海】 に入るには水着の着用が条件なんだけれど、武器を装備出来ない。

 そしてエリアに入ると装備の変更は出来ない。

 ちなみにわたしの日傘は一応武器としての装備になるんだけれど、火力はゼロ。

 だから役に立たなくて、むしろ骸骨船員たちから奪った剣とか、その骨とかのほうが強度があるってちょっと腹が立つ。

 だから攻撃手段としての銃撃はなし。

 しかも今回はクロエとぽぽが船内のどこかに閉じ込められた。

 参加プレイヤーの何名かが必ずどこかに閉じ込められるっていうのがこのダンジョンの仕様みたいなんだけれど、必ずしも二名じゃないらしい。

 そりゃそうよね、二名での参加だと二人とも閉じ込められちゃって詰みだもの。

 で、今回はクロエ、ぽぽと一緒にJBが閉じ込められた。

 三人が閉じ込められているってことは、すぐに鍵が三本揃うのかと思って探してもらったんだけれど見つけたのはぽぽだけ。

 性格的にJBはちょっと怪しいんだけれど、クロエが見逃すとは思えない。

 まして探索に手を抜くことだってない。

 代わりにあったのは金貨二枚と花火が三本。

 ぽぽは鍵の他に金貨一枚と花火が四本。

 JBは花火だけを六本も見つけたらしい。


 どういう法則?


 脳筋班を動かして別行動をとっているカニやんとも相談してみたんだけれど、法則が予測出来ないのよね。


『あるいはさっき、俺たちがいた部屋に鍵があったのは偶然だった』


 もちろんその可能性はあるわよね。

 三人を探すためにも手当たり次第開く扉を開けて探索するしかないんだけれど、鍵探しをしつつとなるとなかなか進めない。

 もちろん見つけた金貨と花火も回収しつつ、さっきより出現数の多い骸骨を倒しながら。

 転送直後に一度甲板に全員集合して班分けをしたんだけれど、今回は恭平さん班からJBが抜けてちょっと火力に不安があるんだけれど、代わりにベリンダに入ってもらっている。

 そういえば甲板に集まった時、ベリンダが例の見張り台を確認してくれたんだけれどそこに鍵はなかったのよね。

 これはやっぱり法則はないってことかしら?

 でもそれじゃ攻略難易度高くない?


『すでに十分高いと思うけど?』


 暇を持て余しているクロエの機嫌が悪い。

 みんな一所懸命探してるんだから、ちょっと待っていてよ。

 インカムからは他に、明らかに遊んでいると思われるラウラの声が聞こえてくる。

 危ないことをしたら本日三度目の拳骨制裁が落ちるだけ。

 本人がわかっているかどうかは知らないけれど、止めるつもりはないし。

 ただ、おかげでクロエの機嫌を損ねているっていうね。

 カニやんが空気を読んでくれたらいいけれど、実害がなければスルーかな。


『スルーする』


 やっぱりね。


『クロエの機嫌なんて知ったことか。

 それより鍵、あった』


 えっ? どこにっ?

 ちょっと前のめりに聞いたら普通に通路に落ちてたとか……なんだかこう、隠し忘れたとか、持ち歩いていたのを落としちゃったとか、そんなお粗末さを感じるぞんざいな扱い。

 このダンジョン 【treasure ship】 を構成する重要なアイテムのはずなのに……。

 しかもこの数の骸骨を相手にしながらよく見つけたわね。


『こっちは人数が多いからな。

 脳筋、優秀だし』


 珍しく褒めてるわ……って思ったんだけれど、そこはカニやんだからね、カニやんなのよ。


『だからずーっと下向いて歩いてるわ、俺。

 他に仕事ないし』


 そうして鍵の他にも金貨を二枚と花火を一〇本ほど拾ったらしい。

 ものは考えようね。

 脳筋コンビとカニやんの相性っていいと思うんだけれど、どこか状況とズレているような気もして判断に困る。

 でもここはカニやんをならってスルーしとこ、わたしたちには実害ないし。

 もちろん全く実害がないわけじゃなくて、別のところからちょっと問題が発生。

 よりによってクロエを救出しちゃったのよね。


「あ、いた……」

「なに?

 そのしまった! って顔は?」


 扉を開けた瞬間にクロエと目が合って、思わずそういう顔をしていたらしい正直者過ぎるわたし。

 だって脳筋コンビとカニやんの相性がいいのとは逆に、クロエとトール君の相性がよくないのよね。

 一方的にクロエがトール君に絡んでる感じなんだけれど、それにトール君が気づいているかどうか。


『気づいてないから余計に苛立ってるんじゃないのか、クロエは』


 これはカニやんからの直通会話。

 見ているカニやんにも気付かれているからクロエが無意識ってことはないんだろうけれど、トール君が気づいていない可能性は十分にある。

 でもこの状況だと、気づいていないほうがいいかな。

 というわけでわたしたちの班にクロエが加入した少し後、幸いにして恭平さん班がJBを回収。

 これで少し火力の不安が(やわ)らぐ。


「あ、これ楽しい。

 頭のてっぺんをガンガン殴ればいいんだ」


 このダンジョン初挑戦のクロエは、骸骨から奪った剣で楽しそうに殴っている。

 魔法使い(わたしたち)と同じくほとんどSTRを持たないモヤシな銃士(ガンナー)

 やっぱり二、三回殴ったくらいじゃ骸骨を落とせなくて、でもDEXの差かしら?

 それともAGIの差?

 どちらかのステータスにカバーされているらしくギリギリ、でも確実に落としている。

 ちょっと待って、これって本当に魔法使い(わたしたち)が一番役立たずじゃない!

 主体(メイン)となる三つの攻撃(クラス)剣士(アタッカー)銃士(ガンナー)、魔法使い。

 その中で唯一、武器を装備しなければ攻撃出来ない銃士(ガンナー)が銃を装備出来ないのに、その銃士(ガンナー)より役立たずとか、なによこれ?


『ボス戦まで温存してもらおうぜ』


 同じ魔法使いのカニやんに慰められる。

 きっと自分にもそう言い聞かせてるのね。


『せっかく鍵見つけたと思ったら、また (偽) って書いてあるっす』


 JBってばよく偽物ばっかり拾うわね。

 本物はカニやんが見つけた鍵と、ぽぽが持っている鍵で二本。

 あと一本がどこかにあるはずなんだけれど……とりあえず先にぽぽを回収しましょう。

 転送された初期位置に閉じ込められているからぽぽに部屋の外の様子はわからないんだけれど、何かヒントはないの?

 今回はちょっと要領がわかったから、真っ先に甲板に集まって班分けをしてすぐに捜索を開始。

 骸骨の落とし方もわかっているからさくさく進められていると思うのに、全然ぽぽだけが見つからない。


『ここですか?

 たぶん台所です』


 ぽぽの話によると大きな鍋や包丁があり、水道らしき設備はないけれど流しもある。

 その脇に置かれた樽の中に水が入っていた痕跡があり、おそらくそこから汲んで使っていたと思われる。

 コンロももちろんないけれど(かまど)のような設備があり、やっぱりその周辺には薪とおぼしき残骸が散乱している。

 食器棚なんていいものはなくて、床に直置きされた木箱の中に欠けた皿やフォーク、スプーンが放り込まれているらしい。

 他には長机が幾つか不規則に並べられ、その周りに椅子が乱雑に置かれているという。

 台所っていうか、食堂というかその両方?

 最大の特徴は、なんといっても……


『凄く沢山Gが出るんだけど……しかも大きい』


 …………誰か助けに行ってあげて。

 思わずぼやいたら、各班にいるほかの女性陣からも同じような声が上がり、それぞれの班長を悩ませ、そしてぽぽを泣かせる。


『そんなこといわないで来て下さい』


 気づかず扉を開けちゃったらそれまでだから、まぁそういうことで各班よろしく。

 まだ見つかっていない三つ目の鍵のこともあるし…………う~ん、どうしようかな?


「考えても仕方ないし、とりあえず進むしかないんじゃない?」


 クロエの言うことももっともよね。

 でも結局ぽぽとはラストまで会えなかった。

 理由は、ぽぽがいた台所兼食堂がボスの出現場所だったから。

 骸骨甲板長の時も甲板に三つ目の鍵が隠されていた。

 これって偶然じゃないのかしら?

 三つ目の鍵を見つけたのはキンキー。

 つまりカニやん班が三本の内の二本を見つけてあとはぽぽを回収……って思ったのにまた急に骸骨たちの沸きが急に増え、わたしたちは身動きがとれなくなる。

 前回と似ているような似ていないような……展開が懲りすぎていて判断に悩む。


『微妙に違う気がするけど』


 考えながらのカニやんだけれど、それ以上は走りながらじゃ考えられないってことでお互いにあとにする。

 ぽぽには悪いけれど、一度甲板に出て体勢を整え直すわ。

 あそこならとりあえず凌げるって思ったのに、確かに青空を見ながら甲板に出る階段を上ったはずのわたしたちは、気がつくとそこはまたもや船内。

 でも高い天井に広い奥行きと、おそらく広さは甲板と同じくらい。

 しかもぽぽに聞いた台所らしい場所で、しかもぽぽがいた……ってことはここがそうなのよね。

 船内にしては広さがおかしいけれどここはダンジョンだもの、常識的理屈は通じない。

 今回はわたしたちが一番乗り。

 続いて恭平さん班が到着し、ラストに残る二本の鍵を持ったカニやん班が到着して鍵が三本揃う。


alert 骸骨料理長 / 種族・幻獣


 …………今度は料理長なの?


「らしいね。

 ぽぽ、下がれ」

「うん」


 カニやんの指示に、回収を待ちわびていたぽぽは勢いよく後方に下がる。

 現われた料理長はやはり巨大な骨格標本なんだけれど、コック帽っていうの?

 あの背の高い帽子を被り、白い前掛け。

 そして両手には剣じゃなくて巨大な出刃包丁を持ち、胸の前で交差させている。

 これって、調理されるのはわたしたちってこと?


 お断りです


 食べるのは好きだけれど、食べられるのは絶対嫌。

 そもそもわたしなんて食べても美味しくないわよ、モヤシだから肉なんてほとんどないし。

 食べ応えならやっぱり脳筋コンビよね。

 あの見事な筋肉!


「こういう時だけ褒めるのか!」

「褒められても微妙!」

「大丈夫、料理長は食べるんじゃなくて調理する人だから」


 えっとカニやん、その出来上がった料理はどうなるわけ?


「調理されてみたら?」


 嫌です!

 逆にこっちが料理してあげるわよ! ……ということで早速仕掛けたんだけれど、あまり効いていない?

 骸骨甲板長の経験から、氷水系を避けてわたしが得意とする火焔系を中心に魔法攻撃で攻めたんだけれど、被弾効果(ダメージエフェクト)があまり出ない。

 うん? これはひょっとして魔法耐性が高い?

 念のためスパイラルウィンドも試してみたら、火焔系よりは高い被ダメが出るけれど手応えとしては今ひとつ。

 一計を案じ、骸骨料理長の出刃を受けていたクロウに深く斬り込んでもらう。

 魔法攻撃よりHPのドレイン量が多い。

 ボスによって弱点が違うのは良くあることだから驚きはしなかったけれど、完全に剣士(アタッカー)を前衛に据えて物理攻撃主体に変えるには別の問題がある。

 骸骨甲板長は剣による攻撃だけ、つまり物理攻撃オンリーだったんだけれど、骸骨料理長は、もちろん二本持った出刃包丁での攻撃が主体(メイン)なんだけれど、どこからともなく取り出した大きなジャガイモを頭上高くに放り投げ、それを持った二本の包丁で輪切りにして投げてくるっていうか、撃ってくるっていうか……これ、どう表現したらいいのかしら?

 射撃ではないけれど、投擲(とうてき)してくるのよね。

 もちろん飛んでくるジャガイモのスライスに当たればダメージを食らう。


 この罰当たり!


 食べ物を粗末にするなんて、それでも料理長なのっ?

 食材を扱う人の風上にも置けないわ!


「そこ、怒るところ?」


 え? 違う?


「合ってるような、違うような」


 ちょっとカニやん、悩むのはあとにして頂戴。

 うちのメンバーで盾を持っているのはパパしゃんだけ。

 他の剣士(アタッカー)は、クロウをはじめとするベテラン剣士(アタッカー)は両断して回避出来るけれど、スライスされたジャガイモは弧を描いて飛んでくるため、軌道を読み違えて真っ二つにし損ねると少なからずダメージを食らう。

 おかげでゆりこさんが忙しい。

 あれ、燃やすことって出来ないの?


「やってみたら?」


 了解!


「起動……業火!」


 何しろスライスジャガイモは飛んでいる、つまり動いてるのよね。

 だから単体魔法じゃ外すんじゃないかと思って範囲魔法で、ついでに料理長も巻き込んでみた。

 まぁ料理長は軽度の火傷で終わっちゃうんだけれど、ジャガイモは真っ黒に焦げて消失してくれた。

 ほんと、凝った設定だわ。

 でもこれでスライスジャガイモは魔法で処理出来ることがわかった。

 ただ、ここでも若手剣士(アタッカー)たちとベテラン剣士(アタッカー)たちの差が出てちょっと連携がとりにくいのは仕方がない。

 (こう)(ぼう)のタイミングが合わないというか、合わせ辛いというか……。

 しかも骸骨料理長の攻撃は他にも。

 なぜか後ろで大鍋の中で湯がグツラグツラと沸いていて、それを 「卓袱台(ちゃぶだい)返し」 ならぬ 「熱湯の入った大鍋返し」 をしてくるの。

 カニやんには 「長すぎるからその命名却下」 とか言われたんだけれど、じゃあカニやんが命名してよ。

 重そうな大鍋を軽々と持ち上げた料理長は、中の熱湯をプレイヤー(わたしたち)に向かってぶちまけるんだもの。

 これ、物理攻撃っ?

 それとも魔法攻撃っ?

 わからないんだけれど、料理長の真正面にいたわたしを含めた数人が被ることになったんだけれど、クロウが代わりに被ってくれてわたしはほとんど被害なし。


 だからどうしてっ?


 とにかく回復回復!

 わたしだってヒールくらいは使えるんだから、他のメンバーの回復は本職のゆりこさんに任せ、わたしはクロウ専属で回復。

 しかもクロウってば、大鍋をひっくり返すために一度武器を解除した料理長は丸腰。

 そこを狙ってすかさず反撃。


「一刀両断!」


 あら、珍しい詠唱スキル。

 すぐさま料理長も自分の骨だけの腕で防御(ガード)しようとしたけれど、ポッキリと砕かれ、肋骨のあいだを抜けて腰椎あたりを直撃する。

 さすがにスキルの効果は腕を折って消費済み。

 それでもさすがクロウの鉄骨STR。

 愛剣・砂鉄ほどの威力は出せないはずなのに、骨格標本を支える中心に大きくヒビが走る。

 それと同時に派手に流れ出るHP。


「柴、ムー」

「あいよ」

「了解」


 すぐさま骸骨料理長は武器を出刃包丁に戻したけれど、クロウに折られた腕は戻らず包丁は一本。

 攻撃力の落ちた相手に、脳筋コンビの追撃が始まる。

 こうなれば時間の問題よね。

 今回は一人の中途離脱(リタイア)も出さずに無事クリア。

 まぁ骸骨甲板長以外にもボス(クラス)がいることは想定内だったけれど、わたしたちのウィンドウ表示は


『期間限定イベント 【treasure ship1】 クリア』


 これに並んで


『期間限定イベント 【treasure ship2】 クリア』


 と表示されたんだけれど、前回中途離脱(リタイア)してしまったマコト君と今回初挑戦のクロエとぽぽは


『期間限定イベント 【treasure ship2】 クリア』


 とあるだけ。

 これってつまり順序不同?

そういえば台所でGを活躍させるのを忘れました・・・(涙

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