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152 ギルドマスターは船に乗り込みます

pv&ブクマ&評価&感想、ありがとうございます!!

 わたしと同じく絶対に泳げないと思われるルゥ。

 なので急いで腕輪に収納する。

 泳げないくせにわたしに付いてこようとするだろうし、かといって浜辺で待たせていたら何人のプレイヤーが噛まれるかわかったものじゃない。

 それこそ誰にも止められないから記録を打ち立てそうだわ。

 そんなわけでルゥを腕輪に収納するのがギリギリ。

 次の瞬間には柴さんとムーさんに腕を掴まれ、再び海上を飛ばされた。


 もうっ!!


「あまり乱暴に扱うな」


 わたしは一瞬で飛ばされて目的地近くに水没したんだけれど、それを追うようにクロウが、柴さんたちと一緒に海を泳いでくる。


『この難破船、探索出来そうなんだけれど、ひょっとしたらひょっとするんで、参加者は集合。

 あとではなしで』


 カニやんの誘いに、一緒に水に入っていたらしい男性陣はともかく、わたしと一緒に水遊びをしていた女性陣が参加を意思表示する。

 ラウラを含めてみんな参加するみたい。

 そういえばコンテスト中どこかに行っていたらしいトール君たちも合流していて、今は先に難破船のところにいるらしい。

 頭から着水したわたしは、気分はもうどうとでもなれって感じ。

 しかも脳筋コンビが手を抜いたのか、目的地点の近くは近くなんだけれど寸足らず。

 カニやんにも 『どこに落ちてんの?』 ってぼやかれたんだけれど、わたしのせいじゃないわよ。

 脳筋コンビの手抜きです! ……というわけでクロウ、二人よりも先に辿り着いてね。


 脳筋コンビに回収されるのは嫌!!


『そんなに嫌わんでも』

『俺らも一応傷つくから』


 だったら放り投げないでよ。

 とりあえずクロウは早く来て、沈んじゃう。


「見つけた。

 もう少しだけ待て」


 はぁ~い。

 大人しく沈みながら待つけれど、脳筋コンビにはお願いがある。


『あ?』

『何?』


 文句をいいつつも、結局お願いを聞いてくれる男前な二人。

 ほんと、喋らなきゃいいのに。

 お願いっていうのは簡単なことなんだけれど、ちょっと戻って後続の女性陣のカバーに入って。

 泳げないわたしにはわからないんだけれど、この距離を泳ぐのって結構大変じゃないの? って思ったから。


『美味しい役だから行く』

『了解した』


 実際に美味しい役だったらしく、ゆりこさんとラウラが二人に運んでもらって難破船のところにやってきた。

 さすがにゆりこさんは少し恥ずかしげだったんだけれど、ラウラと柴さんは楽しそう。

 歳の離れた兄妹……はちょっと無理があるかな?

 若いお父さんとか、年長の従兄弟に遊んでもらっている女子中学生って感じ?

 今後、ラウラとキンキーをマスコット的に売り出すのもいいかもしれない。

 JBが脳筋コンビを羨んだんだけれど、今回は不参加のクロエからインカムで鋭い突っ込みが入った。


『だったらJB、グレイさんを放り投げられる?』


 そもそもわたしを回収するという建前で放り投げに来た二人。

 その二人と役を代わりたいなら、当然わたしを投げなきゃならないわけで、クロエの突っ込みにJBは 「それはちょっと」 とか尻込みしてるから即時却下。

 わたしに逃げる暇を与えないため、二人のように言われたら即実行出来ない意気地なしはダメということらしい。

 色んな意味でちょっと酷い。

 でもそこがクロエなんだけどね。

 コンテストには間に合わなかったけれど、ついさっきログインしてきたぽぽと一緒に遊んでいるらしく、こちらには不参加。

 相変わらず忙しいハルさんとマメはともかく、コンテストの宣伝が効いたのか、依頼はともかく、来客数だけは増えたということでりりか様も店から離れられず不参加。

 他は全員参加ということで……何人?


『文章も読まないけど、数も数えないのかよ』


 だって前にわたしが数えたら合わなかったんだもの。


『そんなこともあったな。

 えっと……俺とグレイさん、クロウさん、JB、恭平、脳筋、脳筋、トール君、マコト君、ジャック君にキンキーで、ゆりこさんとベリンダ、ラウラだっけ? そっちは』


 つまり14人かな?

 今日はの~りんとパパしゃん、くるくるはお休み。

 あ、でもパパしゃんは夜にはログインしてくるかもしれない。

 だいたいパパしゃんは、休みの日でもログインは夜だけ。

 イベントがある時だけ朝からログインする感じのスケジュールになっている。

 子供は聞いたことがないけれど、奥様がいるから休みの日も暇じゃないのよね。

 クロウに回収されたわたしが難破船に辿り着くと、先に待っていたカニやんたちと合流。

 そのまま後続の女性陣の到着を待つ。


「これ、どうなってると思う?」


 船の横っ腹に開いた大穴をのぞき込むように尋ねてくるカニやん。

 外からだと内部は暗くてよく見えないんだけれど、何かが出てくるような気配はない。

 でもこれって、ひょっとするんだけれど……インスタンスダンジョン生成?


「そう思うよな」


 だからカニやんは、後からの合流はなしっていったわけ。

 インスタンスダンジョンは一緒に入らないと同じダンジョンには入れないからね。

 後続の女性陣が合流していよいよ中に入ってみることになった。

 水の中だから真っ直ぐ進むのにも時間が掛かり、全員が難破船の横穴から中に潜り込むのにちょっと手間取ったんだけれど……もちろんわたしはクロウにへばりついてます。

 全員が中に入ったのはいいけれど、暗くて何がどこにあるのかさっぱり。

 でもどこかに何かしら仕掛け(ギミック)があると思われ、それを手分けして探していたんだけれど、不意にインフォメーションが出た。


information ダンジョン 【Treasure ship】 を生成しますか?


 ひょっとして仕掛け(ギミック)は時間?

 一定時間以上船内に留まることが条件とか。

 あるいはそれと気づかず誰かが仕掛け(ギミック)に触れたか?

 もちろんわたしは 【YES】 をポチる。

 次の瞬間、転送されたのが反応でわかった。

 気がついた場所は晴天の下、大海原を進む船の上……なのはいいんだけれど、みんなバラバラに転送されちゃったみたい。


「ここ、どこ?」

『どこだろうな?』


 すぐに答えてくれたカニやんはどこに?


『んっとな、船倉っぽい。

 樽とか一杯置いてあって……ドアに鍵かけてんじゃねーよ!』


 開かないドアにキレている。

 その声の感じからドアを開けようとして体当たりとか試してると思われるんだけれど、モヤシなSTRじゃね。


『うるせぇよ。

 そっちは?』

「甲板。

 いい天気よ」

『あ、そ。

 クロウさん、向かってくれる?』

『わかった』


 そのクロウも船倉らしき場所にいるらしいんだけれど、甲板で見る船首から船尾の距離が結構あって、船自体がかなり大きいからカニやんとは別の船倉と思われる。

 他のメンバーもバラバラで、早速始めた探索ですぐに遭遇したのはトール君と恭平さん。

 意外なコンビなんだけれど、とりあえず一緒に甲板を目指してくれる?


『わかりました』


 わたしは船内に一歩も入っていないけれど、たぶん上に上に目指してもらえば出られるんじゃないかな?


『そうですね』

『トール君、こっちに階段がある』

『上ってみましょう』

『あ! トールさん、恭平さん!』


 ちょっと耳が痛いくらいの大きな声で割り込んできたのはキンキー。

 どうやら二人と合流出来たらしい。

 となると心配なのはラウラとゆりこさん、ベリンダね。

 そのベリンダが凶悪な叫びを上げる。


『Gがデカい!!』


 ……………………今、なにか言った?

 わたしは顔を引き攣らせたんだけれど、ベリンダはちょっと錯乱気味で叫んでいる。


『Gよ、G!

 なんでこいつが出てくるのよ!

 しかもデカい!!』


 えっと、前にも紹介したと思うけれどGっていうのはあれよ、あれ。

 人類にもっとも嫌われている昆虫。

 夏に現われる……今は年中生息というか活動しているらしいんだけれど、一応夏をメインに活動している茶色いあいつ。

 ちなみに名前を言うのもおぞましくてGって呼んでるんじゃなくて、キャラ名がGなの。

 【中部東海エリア】 の安全地帯ナゴヤドームを中心に現われる雑魚なんだけれど、見た目はアレそっくりで、しかも大きい。

 少し耐久力が高いところもあれにそっくりという凶悪さ。

 一度は運営に削除依頼を出してみたけれどものの見事にスルーされ、せめてデフォルメして欲しいと提案してもやっぱりスルー。

 どんだけあのフォルムに固執してるのよ、ここの運営は!!

 しかもベリンダの話では、【中部東海エリア】 でも見る物よりも大きいって……その話を聞くだけでも背筋がゾッとする……と思ったら、本当に誰かの指が背筋をなぞっていた。


 気持ち悪ぅ~い!!


 こんな悪戯をするのは脳筋コンビかっ! ……と怒りを込めて振り返ったわたしの前にいたのは見慣れた男前ではなくて、それどころか顔すらない骨だけで……骨、だけ? ……って、がいこつ……?

 えっと……骸骨って、これ、なに???

まだまだ夏は始まったばかりですね・・・(笑

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