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大魔王の娘も楽じゃない  作者: 癒しの妖精
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大魔王グリフェル登場

消されたら嫌だな~。そんなにエロくないよね?

この世は、3つの国に分かれている。 大天神ゼウスが治める天界、英雄王アーサーが治める人間界、魔王サタンが治める魔界、3つの国は力が均衡しているためお互いを侵さず、多少の小競り合いはあるが、それなりに平和に暮らしていた。

 魔界にグリフェルという男がいる。彼は魔王サタンの3番目の弟の息子である。グリフェルの父は、先代の魔王によりサタンに絶対の服従を誓わされていた。父であり、魔王であった人の命令は絶対、グリフェルの父はその言いつけを固く守っていた。そのため強大な力を持ちながらも地方の司令長官に任じられてその任に全力を注いでいる。しかしサタンは自分よりも力を持つ弟を憎らしく思っていた。サタンは、この目障りな弟を殺そうと策を弄した。すなわち、人間界に攻め込むように弟に命じ、その情報をアーサー王に流したのである。そうとは知らないグリフェルの父は、息子もそろそろ戦を経験していい頃とグリフォンを連れて行った。グリフェルの家系は子供ができにくい家系で、グリフェルはようやく授かった一人息子である。今回攻める場所は、重要な土地ではないので大した戦いにはなるまいとグリフェルの父は高を括っていたが、アーサー王直々の万全の構えにあい父は慌てた。しかし、父はアーサー王の万全な構えを突破する勢いと強さを持っていた。初陣であるグリフェルの予想以上の活躍も大きい。(この子は天才かもしれない)父は心の中で驚いた。とても初陣とは思えない落ち着きである。このまさかの展開に慌てたのはサタンである。このまま突破されては全面戦争になる。サタンは急いで退却の命令を出した。この命令にグリフェルは憤慨した。負けているなら分かる。もう少しで勝てそうなのに何故退却しなくてはならないのか?しかし、彼の父はその命令に従った。激戦中の退却は攻めるよりも格段に難しい。父は自分の側近であるソフィーにグリフェルを守らせ先に退却させ、自分は殿しんがりを務めた。ソフィーは長い金髪とやや青白い肌を持つ美しい女性である。グリフェルはこの美しくも強い女性に憧れを持っていた。グリフェルは安全なところまで逃げると父を待った。しかし、父は現れない。その後、父がアーサーに討ち取られたという情報が入った。グリフェルは両手を地面につき哭いた。

「グリフェル様、悲しみは分かりますがお逃げにならないと、せっかくの我が殿の心が無駄になります。どうかお立ちになって・・・、もうあそこに敵影が見えます。さあ、行きましょう。」

父の側近中の側近であるソフィー隊長が促す。グリフェルは顔を上げると敵影を睨み、

「殺す」と呟き右手を翳す。すると敵の周りに黒い霧が生じ始めた。何だ?状況が良くわからない敵は動きを止める。

「殺す」

今度は叫ぶと、黒い霧が濃くなる。すると凄い絶叫を残し、敵兵が粉々に砕け散っていく。

その中を黄金の球体をまといながら急いで引き返す者が居た。シールドを張りながら逃げ出すアーサー王である。それを見つけたグリフェルは、「殺す」といいその後を追おうとしたが、ソフィー隊長がそれを押し止めた。

「グリフェル様、殿の仇はアーサーではございません。此度の戦そのものが魔王サタンの仕業かと思われます。」

その言葉に反応しグリフェルは右手を下ろし、ソフィーの方を向く。すると黒い霧は無くなり、自由になった敵兵は大急ぎで逃げ出し始めた。ソフィーは自分の推論を述べ始めた。

今回の出兵は重要な地ではない、それにも関わらず敵王アーサーが万全の構えで待ち構えていたことはどうもおかしい。サタンが事前に情報を流したのではないか?そういえばとソフィーは日頃から行われていたサタンによる数々の嫌がらせを話し始めた。グリフェルは憤怒し、魔王城を睨みつける。

「俺は父の仇を討つ。お前はどうする?」

ソフィーは魔族では非常に珍しい金色の髪をなびかせながら跪くと、

「グリフェル様に従い、我が主の仇を討ちます」

と毅然と言う。

「では二人で乗り込もう」

「二人で・・・ですか?」

ソフィーが驚いた顔をする。驚いた顔も素敵だ。グリフェルは不謹慎なことを思った。

「後の者は足手まといになる。そうだな・・・。東に森がある。あそこで待機するように命じよう」

そういうとグリフェルは背中に黒い羽根を生やし、隊長の一人であるアルサの元にいった。

(速い!私では到底追いつけない)

そのスピードにソフィーは驚いた。あっという間にグリフェルは戻ってくる。

「では、行こう!」

空中で羽ばたきながらグリフェルが呼びかける。

「はい」

ソフィーも金色の羽根を生やすと飛び上がる。

「俺の手に掴まれ」

グリフェルが右手を差し出す。ソフィーがその手を握ると、とんでもない速さで空中を移動し始めた。それはソフィーの経験したことのない速度である。胸がドキドキして息が苦しくなる。しかし、彼女は軍団の長を務める者、弱音はプライドが許さない。その美しい唇を噛みしめて必死に耐える。

(もうだめ、苦しい・・・)

彼女が気を失う寸前、飛行が終わった。

「よし、着いたぞ!」

グリフェルが手を放すとソフィーはぐったりとし、下に落ちようとする。グリフェルは慌てて彼女を抱きとめた。彼女は気が付くと、

「す、すみません。グリフェル様・・・、あまりにも速くて・・・」

ソフィーは無理に笑う。しかし呼吸は荒く、顔は蒸気し、びっしょりと汗をかいていた。

「すまない。言ってくれればいいのに」

「いえ、軍団長たるもの弱音は厳禁です」

うるんだ目でソフィーが毅然という。

(めちゃくちゃ可愛い)

グリフェルは完全に惚れた。抱きしめる腕に力を込める。

「あっ、グリフェル様、何を?」

見つめ合う。

「君が大好きになった。今までも好きだったが、今までとは段違いに・・・。」

ソフィーは顔を赤らめて下を向いた。

「サタンを殺してくる。その間に考えておいてくれ」

「お一人で行かれるのですか?」

グリフェルは頷く。

「心配しなくていい。俺はサタンよりも圧倒的に強い」

「しかし・・・」

心配するソフィーにグリフェルは、

「ならば、離れてみているがいい。もしも、俺がやられそうになったら助けに来てくれ」

ソフィーが頷く。グリフェルは魔王城の前に飛んで行くと城門の前に降り立った。手のひらからエネルギー弾を作ると城門を吹っ飛ばす。

「サタン居るか?お前を消しに来た。出てこい」

(真正面から行くのですか?)ソフィーは驚くと同時に心配になった。彼女は忍び込んで暗殺するものだと思っていたのだ。すぐに近衛隊長と兵が飛び出してくる。この男、魔界でも5本の指に入る手練れである。(まずい)彼女は急いでグリフェルの加勢に向かう。

「なんだ貴様は?」

「誰でもいい。サタンを呼んで来い。消してやる!」

「お前馬鹿だろう。そう言われて・・・」

次の瞬間、近衛隊長の首は胴から離れていた。グリフェルは近衛隊長の横に居る。(瞬間移動?)ソフィーには、グリフェルがどのように動いたのか見えなかった。

「ならば自分で探す。用は無い」

(グリフェル様、順番が違うのではないでしょうか?もう死んじゃって聞こえないはずですけど・・・)ソフィーは心の中で思った。

グリフェルは近づいてくるソフィーに気付くと、力強く抱きしめた。

「ソフィー、危ないじゃないか。さっきの場所でじっとしていてくれ。それとも先ほどの返事に来たのか?」

ソフィーは真っ赤な顔をして、

「いえ、先ほどの男、相当な手練れだと伺っていたものですから助けにと思いまして・・・」

「そうか。心配しなくてもいい。俺にかなう者はこの世界に存在しない。さあ、危ないから安全な場所に居てくれ」

「はい・・・」

二人の目と目が合う。

「あの~、グリフェル様?」

「なんだい?」グリフェルが優しい声で聞き返す。

「腕を放していただけますか?」

「ああ、すまない」

グリフェルが腕を放すとソフィーは元に居た場所に戻ろうとする。

逃がすな。追えーという近衛兵達の声がする。

「追えねぇよ」

グリフェルが近衛兵たちを睨みつけると近衛兵たちは次々に蒸発してゆく。近衛兵たちは絶叫と骨だけを残して全滅した。この騒ぎを聞きつけてサタンと三大将軍が現れた。三大将軍とは、魔王軍の中で実力が抜きんでている三人の将軍で、天将軍、地将軍、海将軍と呼ばれている。

「なんだ、お前は?」

サタンがグリフェルに尋ねる。

「ようやく出てきたか。親父の仇だ、死ね」

「親父?あー、弟の息子・・・、名は確かグリフェルだったかな?」

「俺の名を呼ぶな。汚らわしい。」

「貴様、魔王様に何て口を、控えろ!」

地将軍と呼ばれる男が一喝してきた。

「お前ら三人には用はない。五数えるまでにここから立ち去れ」

三代将軍は顔を見合わせて大いに笑った。

「サタン様、あの者はそう言っておりますが、いかがいたしましょうか?」

笑いながら天将軍がサタンに話しかける。その間も、グリフェルのカウントは進み、ついに5という数字を読み上げた。その瞬間、3大将軍の身体は爆発し粉々になった。サタンの顔色が変わる。

「いや、悪かった。この通り謝る。そうだ、何が欲しい。何でもやるぞ」

グリフェルは薄ら笑いを浮かべると

「いいねぇ~、めちゃくちゃ魔王らしいじゃない。それじゃ、せっかくだから望もうか」

サタンの顔が希望で輝く。

「何が欲しい?」

「お前の命だ、よこせ。」

「ウォ~~~」

サタンは一声唸ると、巨大な黒竜に変身した。

「さらにいいよ、まさに魔王!」

グリフェルが馬鹿にして笑う。

黒竜は口から蒼黒い炎を這いた。グリフェルの身体を炎が包む。

「いいねぇ~、冷えていたところだ。暖かいぜ。」と楽しそうに笑っている。さらに右手を振り上げると鋭い爪でグリフェルの身体を引き裂こうとする。グリフェルは避けようとしない。爪が当たる。「ガキン」鈍い音がして黒竜の爪が折れる。苦痛で黒竜が悲鳴を上げる。

「お前さぁ~、俺に狙われたときに詰んでんだよ。」

そういうと、グリフェルはエネルギー弾を作り黒竜の右足を吹き飛ばす。凄い声を上げながら倒れる。サタンは元の姿に戻った。倒れているサタンの左足を吹き飛ばす。サタンがのたうち回る。

「さっきからお前最高!そういうリアクションたまんねぇ~わ」

右手を踏みつけ、固定すると吹き飛ばした傷口を蹴り始める。絶叫が響き渡る。

「父の100倍は苦しめねぇとなぁー」悦に入った顔をして痛めつけていると、上空から冷たい視線を感じた。

(あっ、ソフィーがひいてる・・・・)

グリフェルは、急に顔を引き締めると、

「父の仇、消えてなくなれ」

といい、エネルギーの黒い球体の中にサタンを閉じ込めた。

「消えろ」

黒い球体の中が勢い良く燃える。もの凄い絶叫を上げながらサタンは灰になった。

「グリフェル様!」

「ソフィー、仇は討ったぞ。」

「お見事です!」

向かって来るソフィーをぎゅっと抱きしめる。ソフィーの身体が震えている。

「ごめん、怖かったかい?」

ソフィーが左右に顔を振る。

「で、さっきの返事を聞かせてくれ」

突然ソフィーはグリフェルの腕を払うと片膝を付いて頭を下げる。

「ご命令に従います」と毅然と答えた。

「あっ、そう」

グリフェルは複雑な表情をした。

(これ喜んでいいの?微妙じゃねぇ~)


 この噂は瞬く間に広がった。彼の元には多くの士官者が現れ、自然と魔界を統治することになった。「大魔王グリフェル」彼はそう呼ばれるようになった。ソフィーは近衛隊長としてグリフェルの側にいつも控えていた。グリフェルは圧倒的な強さを持っているが、政治には疎く自分が統治者として何をしたらいいかさっぱり思いつかない。

「ソフィー、何したらいいと思う?」

聞かれたソフィーも根っからの武人である。その美しい顔を傾げ考えこんでいるが良い考えは無いようだ。

「ごめんごめん。難しいこと聞いちゃった。そうだな?取り合えず減税しようか?市民の暮らし大変そうだし・・・。あとサタンの奴は賄賂を好んだから、役人が賄賂を当たり前に取っている。賄賂は禁止にしよう。どうだろう?」

「はっ、よろしいかと存じます。グリフェル様、私も一つ思いつきました」

「何だい?」優しい笑顔を向けグリフェルが先を促す。

「国は世継ぎ問題で乱れる場合が多いと聞きます。お世継ぎを設けるのが宜しいかと思います。」

グリフェルは耳を疑った。

(これって愛の告白?)

「お・・・、俺の世継ぎを作ってくれないか?」

「はっ、ご命令に従います。」

片膝をついて頭を下げ毅然と答える。

(ま、まじか。やった!憧れのソフィーと・・・、でも何だろう。何か罪悪感があるんだけど・・・)

「ソフィー・・・、嫌じゃないよね?」

グリフェルが恐る恐る聞く。ソフィーは、同じ姿勢のまま、

「グリフェル様のお望みを叶えるのが私の役目、決して嫌ではございません。むしろ光栄でございます」

生真面目な表情で頭を下げ続け、睨みつけるような目つきで床を見ている。

「あっ、そう・・・」

(もっとこう、愛してます!とか、大好きです!とかそういうのが欲しいんだけど?)

とグリフェルは思ったが、超真面目な女性だからなと思いこむことにした。

 その日の夜、・・・・・。


 割愛(そういう読み物ではないです。ご想像にお任せです)


 グリフェルは兄弟が居ない。彼の父は子宝になかなか恵まれなかったと聞いている。魔族に結婚という意識は無い。父は次から次へと女性と行為を行い子孫を残そうと頑張ったがなかなか子供が出来なかった。その遺伝だろうか。グリフェルとソフィーの間にもなかなか子供が出来なかった。しかし、彼女は超真面目で優秀な女性である。あらゆる情報を駆使し、研究を行い、見事子供を授かることに成功した。

(そういう読み物ではないです。ここら辺もご想像にお任せします)

 

 こうして生まれたのがグリフェル家の長女「シナヌ」である。待望の女の子にグリフェルは狂喜した。絶対に失いたくない宝物。彼は子供が絶対に死なないように「シナヌ」と名付けた。ここにシナヌは大魔王の娘としての生活を始めることになった。

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